ICT活用はさまざまな産業で活発に進められてきて成功事例も多くなりました。ICTは看護アセスメントにも利用できる便利なツールです。この記事では看護アセスメントにおけるICT活用の重要性と、ICTを生かせるシーンを紹介します。
#ICTとは?
ICTとは日本語では情報通信技術と言われています。Information and Communication Technologyの略称で、情報を処理して通信して伝えるための技術を一般的に指します。広い意味では、昔から使われている電話もICTの一つです。電話回線を通じて音声によるコミュニケーションを取る技術だからです。 現代でICTと呼ばれる技術はコミュニケーションの促進に応用できるIT(情報技術)を主に指します。以下のようなITはすべてICTの一部です。 ・メール ・SMS ・LINE ・Twitter ・Messenger ・Googleドキュメント ICTはソフトウェアだけでなくハードウェアを指す場合もあります。以下のようなデバイスも広い意味ではICTです。 ・パソコン ・スマートフォン ・タブレット ・無線LAN ・衛星システム 現代ではICTはあまりにも身近になっていて、ICTとして認識できていない場合もあります。次々に新しいICTが生み出されているため、進展に追いついていけないと思っている人もいるでしょう。確かに2000年以降の技術革新は著しいスピードで進んでいます。ICTの種類もサービスも刻々と増えているので、ユーザーとして有効な使い方を考えて取り入れることが重要になっています。
#看護アセスメントで有用なICT
看護アセスメントではICTを活用すると効率的で的確におこなえるようになります。電話やメールなどの日常的に使われているICTも看護アセスメントに利用可能です。ここでは看護アセスメントの効率を上げたい、品質を高めたいといったニーズに応えてくれる有用なICTの例を紹介します。
・看護記録システム
看護記録システムは看護アセスメントに直接利用できる便利なICTです。看護支援システム、看護システムなどと呼ばれている製品もあります。看護師の業務を総合的に支援し、看護に関するデータを記録できるシステムです。 看護記録システムは製品によって仕様は異なります。中心になっているのは看護過程を構成するアセスメント、看護診断、看護計画、看護介入、看護評価の5段階のプロセスを記録して一元的にまとめられることです。 電子カルテシステムと連携していて患者情報や検査結果などは自動入力されるシステムもあります。レセプト業務や看護業務支援などのさまざまな機能が搭載されていて、アセスメントだけでなく日常業務も効率的に進められるのが魅力です。
・チャットツール
チャットツールはテキストによるリアルタイムのコミュニケーションを取れるツールです。LINEはチャットツールとして個人間のコミュニケーションでよく用いられている代表例です。看護アセスメントでは情報共有のツールとしてチャットツールを活用できます。 看護師が患者のケアをしていて気になったことを同僚の看護師、あるいは医師や薬剤師にメッセージとして送り、返事をもらうことで適切な解釈をしてアセスメントができます。バイタルチェックや各種検査の結果をチャット上に残して共有し、他の看護師にも見てもらえるようにするという使い方もあります。
・ビデオ通話
ビデオ通話は日常的にもよく使われるようになってきたICTです。ZoomやGoogle Meetsなどのアプリで簡単にビデオ通話ができます。ビデオ通話は看護師同士の連絡をするときや、カンファレンスをするときに使えます。また、患者や家族と対話をする際にも使えるツールです。入院患者の容態が思わしくないときに、家族にビデオ通話で連絡をして様子を見せることもできます。患者だけでなく家族の主観的情報も踏まえて看護アセスメントをすると、より良い看護計画を立てられるでしょう。
#看護アセスメントにおけるICTの利用シーン
看護アセスメントではICTを活用できるシーンがたくさんあります。ここでは代表的な例を見ていきましょう。
・申し送り
次のシフトに入っている看護師に申し送りをする際にICTを活用できます。引き継ぎのときには、次の担当看護師がアセスメントをするときに必要な情報を申し送りすることは重要です。チャットツールで必要な情報を残すとリアリティがあってわかりやすいでしょう。チャットツールには入力した時刻も克明に残ります。写真を入れることもできるので、検査結果の出力画面をキャプチャーして残すといった工夫もできます。
・アセスメントの書類作成
アセスメントは結果を書類として作成して記録にします。ICTはアセスメントの書類作成を効率化するのに有効なツールです。看護記録システムでは検査データなどのアセスメントに必要な基礎データを自動入力できます。看護師は自分が気付いたことを病棟などで適宜入力していくとシステムに集約されていきます。患者ごとに管理すると他の看護師の記録もすべてまとめられるので、必要なデータが集まっている状況でアセスメントを始めることが可能です。書類のフォーマットも用意しておくとさらに看護アセスメントの効率を上げられます。
・アセスメント結果の共有
ICTを利用すると看護アセスメントの結果を広く共有できます。看護アセスメントは書類にまとめたら終わりというわけではありません。アセスメントをした患者にかかわる看護師や他の医療スタッフを共有し、計画に従って看護や医療を進めていくことが重要です。アセスメントの結果を看護記録システムで共有したり、電子カルテシステムに紐づけたりすると便利です。他の看護師のアセスメントの内容を見る機会も増えるので、アセスメントの書き方もお互いに参考にできます。
・患者や家族とのコミュニケーション
ICTは患者や家族とのコミュニケーションをするためのツールとして用いられています。通院患者の管理では特に有効です。通院患者の場合には、看護アセスメントをしたいと思っても情報が少なくて困る場合があります。月に1回くらいしか通院していなかった患者が突然入院になったときに適切な看護計画を立てるのは難しいでしょう。しかし、ビデオ通話で困ったときに相談してもらったり、チャットツールで様子を報告してもらったりしていると入院の時点で適切な看護アセスメントができます。
・訪問看護での連絡
訪問看護ステーションでは連絡手段としてICTは重要です。訪問予定の患者についての情報について他の看護師から申し送りを受けたり、訪問しておこなった看護内容を記録したりすることができるからです。当日の患者の様子を見て、アセスメントをして新しい看護計画を立てなければならないと気づくこともあります。その際に必要な情報を一元的に管理できるツールがあったり、他の看護師にリモート環境でも相談できたりすると適切な方針を立てられます。訪問看護では病院での看護と違って、看護師は一人で判断しなければならない場合がほとんどです。それでもICTを活用すれば安心して看護アセスメントをして最善の看護を進められます。
まとめ
ICTを看護アセスメントに使う方法について説明してきました。コミュニケーションツールとしてのICTが看護アセスメントで重要な役割を担うことがわかったでしょうか。ICT活用が進んでいる職場では情報を効率的に共有できるので、看護アセスメントをしやすい環境があります。転職先を探すときにはポイントの一つとして考慮しましょう。
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