切迫早産患者へのアセスメントについて

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#2545 2024/04/28UP
切迫早産患者へのアセスメントについて
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切迫早産患者には、できるだけ妊娠を継続することを目的として入院や治療が行われます。患者や胎児のどちらの状態も考えながら、妊娠継続に関する問題点を明らかにしてそれを解決するために精神的、身体的アセスメントは重要なものとなります。

●精神面のアセスメント

切迫早産だと診断されて病院で安静のため入院になったり、点滴でお腹の張りをおさえるために入院となった患者がいます。
予定で入院してくる患者もいますが、当日の外来検診で切迫早産の兆候がありそのまま入院になったり、または他の病院から緊急で入院する患者もいます。
入院することで心の動揺を感じる患者も多くいます。なのでまずは、客観的に見て、患者の言葉による表現や表情、態度を確認して自分自身の思っていることをありのままの言葉で伝えられるように手助けが必要です。
どうして今の状態で入院が必要なのか、子宮収縮をおさえ、早産を予防するためにどのような治療や処置が必要なのか医者に説明してもらう機会を準備して、理解度は十分か確認して必要時また説明を行います。
ベッド上安静の必要性についてや、子宮収縮の増強など異常が感じられた場合は看護師に知らせて貰うよう説明します。
そして、患者さんのストレス緩和の手助けとなるような精神的看護も非常に大切になります。

●日常生活の援助

安静や点滴治療を行った上で患者の不快感がなく過ごせるように日常生活などの看護を行う必要があります。
長時間ベッド上安静となることがあるので、その時に筋力低下や血栓症リスクを減らすためにその患者の今の状態を考慮した上で、どの程度の下肢など運動ができるのかアセスメントする必要があります。
そして、通常は外来の妊婦健診時に行われるはずの妊娠期に応じた指導なども、切迫早産患者で入院となると十分に受けられないことがあります。なので、今はこの患者は妊娠何週なのか、今の切迫早産の状態でできる指導や妊婦体操など、アセスメントしてその患者に合った指導を行う必要があります。
実際には、骨盤高位の姿勢や骨盤ベルトの使い方などを患者の状態によって適している場合には説明、指導を行ったりしました。
そして時にはあまり自分の今の状態がよくわからず、安静を守れないこともあります。そういった場合には、何故患者が安静を守れないのかアセスメントします。
現在の切迫早産という状態について病識が薄かったり、母性意識が薄い患者もいます。そんな時には今の状態をパンフレットや絵などで想像しやすいように説明し、今の段階で胎児が産まれてしまったらどのようなことが起きてしまうのかを根気強く説明していきます。そして妊娠週数が進むにつれて、安静度の調整もあることを説明し、入院中の見通しができるように説明します。
入院中、患者と関わり持つ中で、妊娠継続が行えるように看護をしながら母性意識の獲得を促進させる必要があります。
色々と考えてアセスメントしたが、目標が達成できなかった場合ももちろんあります。その時には患者の状態や性格、家族や背景など多くの情報収集し、再度アセスメントを行うことが必要となります。

●NST(ノンストレステスト)

日々、現在妊娠何週なのか、それに伴った胎児の状態は良好なのか、頚管長はどれくらいなのか、腹緊の程度などを確認することも必要となります。
看護師や助産師が行うのがNSTモニタです。NSTモニタとは、ノンストレステストのことで、このテストで胎児心拍数をモニタリングします。
このモニタは、子宮収縮を加えない状態で胎児心拍を観察し、胎児の状態が良好であることを確認するためとても大事なテストとなります。
モニタはある程度装着し続けてモニタリングしないといけないので、装着する前に患者にトイレへ行ってもらうことも必要です。そして患者は妊婦でお腹が大きくなっています。なので同一体位への不快感があったり、気分が悪くなることもあるため、その有無を確認しながら適宜体位変換を行ったりします。そして気分不良などあればいつでも呼んでもらうように伝えます。
検査中、胎動のために胎児心音がずれて音が拾えなくなることもあります。そのため、時折モニタがちゃんととれてるかなどの確認が必要です。
モニタはある程度の時間装着するので、患者も胎児心音が拾えるか気になったり、自由に体を動かすことができないのでとても疲れます。そのため、モニタが終了したらねぎらいの声をかけることも大事です。
そして、モニタ終了後、現在の子宮収縮はどれくらいなのか、胎児の状態は良好かをアセスメントします。そして医師にも結果を見せて確認して貰います。

●日々の確認

性器出血がないか、腹部の痛みがないか、腰痛などはないか、子宮収縮は定期的ではないかを毎日確認するようにします。お腹の張りなのか、便秘によるお腹の痛みなのか区別がつきにくいと言う患者さんもいます。なので実際に患者さんのお腹を触ってみて、張りは強くないか、訴える張りとモニタ上で確認できる子宮収縮のタイミングが一致するかなど確認します。
そしてモニタや患者さんから聞いた訴え、実際にお腹を触ってみてのお腹の張りの状態などを見て患者さんの現在の状態をアセスメントします。
そして時には子宮収縮の増強を感じたり、破水感を感じ、モニタ上でも子宮収縮が増加した患者もいます。その時にはお腹の張りを感じている時の腹部の硬さやその時の患者の顔つき、言動、腹部の他に痛みを感じる部位はないかなどを見て状態をアセスメントする必要があります。実際に、患者が子宮収縮が増強しているとの訴えがあったのでNSTをとってみると子宮収縮が以前より増加していて、医師の診察後にお腹の張り止めの増加を行った患者もいました。こういった場合もあるので、普段から患者にも子宮収縮の頻度や強さを意識して感じてもらう必要があります。

●便秘について

日々、便秘はないかの確認も行います。やはりベッド上安静となり、活動量が低下しますし、腹圧をかけてはいけないので便秘になる患者さんも多いです。
切迫早産患者さんが便秘になるとどう言うことが起きるのでしょうか。排便時に強くいきんだりすると、切迫早産が悪化してしまう恐れもあります。
なので食事や水分は取れているか、排便パターンを確認することが必要となります。便秘予防のために水分摂取量を多くして貰ったり、どうしたら便秘が解消されるのかアセスメントし必要な看護を提供します。

●点滴や内服薬について

切迫早産患者さんには、ベッド上安静だけの方やお腹の張り止めの点滴をする患者さんなど色々です。張り止めの点滴をしているのなら、その点滴がちゃんと体に入っていなければいけません。そのため、毎日、点滴刺入部位の腫れや発赤がないか、痛みがないか確認します。
そしてその点滴の内容や速度、点滴による副作用についても知っておかなければいけません。
点滴によっては、動悸や振戦などの副作用が現れることがあります。なのでそれらの副作用がないか、どの程度なのかなどの状態を確認します。その状態を知るためには、患者さんからの聞き取り、見た目の変化やバイタルサインを確認してアセスメントする必要があります。

まとめ

切迫早産の患者は、ベッド上安静を行った上で点滴や薬剤管理なども必要となることがあります。家族と離れて入院すること、胎児は大丈夫なのか、無事に産まれてくれるのかなど物凄く不安を感じていると思います。
その不安を軽減させるためにも、私たちは患者の思いが表出できるよう寄り添い手助けし、少しでも患者にとって入院生活が快適なものになるように看護していく必要があります。そして、精神的な看護の他にも、切迫早産の状態や、胎児の状態などを日々アセスメントしていき、少しでも妊娠継続ができるように看護していく必要があります。

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