不穏状態のある患者さんへの対応のコツ

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#1235 2020/10/19UP
不穏状態のある患者さんへの対応のコツ
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不穏に対する対応のコツとして、不穏についての説明から不穏とせん妄の違い、入院時の情報収集のポイント、不穏時の対策としてケース別の対策などが解説しています。不穏の患者さんに対しては、原因を明確にして対策することが大切だと思います。今後の不穏対策として、参考にして頂けたら幸いです。

<不穏とは>

不穏とは、周囲への警戒心が強く、行動の増加した状態で落ち着きがなく興奮している状態のことを言います。自宅では問題なく生活をしていますが、入院による環境の変化から不穏に陥ることもあります。漢字のように、とにかく落ち着きのない様子です。不穏の原因として、痛みの強さや息苦しさなどの身体的苦痛と強度の不安なども挙げられます。正直なところ、不穏患者の対応を嫌がる、または苦手な看護師も多く見られます。不穏患者が入院をしていると、勤務者の少ない夜間帯は、対応に追われ業務に支障が生じます。不穏行動は、危険行動から転倒事故などのリスクが高まります。不穏を落ち着かせることが、看護のポイントとなります。

<不穏とせん妄の違い>

不穏と似たような状態として、せん妄があります。その違いについて、説明します。

・せん妄とは

せん妄は「ある種の意識・認知機能障害を呈する状態」で、結果的に不穏を呈することが多いです。せん妄の症状としては、見当識、記憶、注意力に障害、そして時間によって覚醒度にムラがあることが挙げられます。

意識障害をきたす疾患はせん妄につながりやすいです。以下のことが挙げられます。
・薬剤(オピオイド鎮痛薬、睡眠薬 など)
・電解質異常
・低血糖
・肝機能障害
・腎機能障害
・低酸素血症
・高炭酸ガス血症

・不穏とせん妄の違いとは

不穏は「行動に着目」しており、せん妄は「意識に着目」している点が異なります。不穏とせん妄は両方とも現れる場合と、どちらかが単独で現れる場合とがあります。

<入院時、不穏を予測するための情報収集のポイント>

不穏は、入院による環境の変化から生じることもあります。入院時の情報収集が不穏を予測し、予防する「カギ」となります。看護師は、入院時の情報を的確にアセスメントすることが求められます。
情報収集のポイントとして、以下のことが挙げられます。
・年齢 → 70歳以上
・認知度や理解度
・入院歴 → 入院歴の有無や前回入院したときの様子を聞く、前回入院時に不穏が見られた場合は、カルテより不穏行動について情報を得る
・基礎疾患 → 疾患による症状の有無や程度など
・内服薬 → 服用している内服の確認、内服薬の副作用、睡眠薬を常時服用しているか?
睡眠薬の服用したことがあるか?
・ADLの状態 → どの程度自力で動けるのかの確認、そして不穏による危険行動や転倒のリスクの把握
・自宅での活動量 → ADLの状態と自宅での活動状況を把握する、自宅での過ごし方を聞く
・食事状況 → 食事や水分摂取量は、補液の有無や排泄との関係がある
・排泄状況 → どの程度、排泄行為ができるのか確認する
日中と夜間の排泄回数、排泄時の器具(ポータブルトイレや尿瓶など)使用状況
・睡眠状況 → 自宅での睡眠時間や状況、夜間の排泄にて起きることはあるか?
・キーパーソンの確認
・趣味や嗜好など → 今後の対策として、情報を得る
・治療による影響 → 点滴、心電図モニター、膀胱留置カテーテルの有無など

<情報収集から不穏対策へ>

不穏は、入院初日の夜間から発生することがあります。入院をした日に、情報収集から
不穏が予測される場合は、対策を考える必要があります。

・70歳以上の患者さんが入院した場合、入院時から主治医に不眠時や不穏時の指示は出し
てもらうようにしましょう。
・ナースステーションから近い部屋、もしくは観察室のような部屋は空いているか確認し
ましょう。もし空いてない場合は、夜間の不穏行動時は、ナースステーションに連れて来
ることも考えましょう。

前回入院したときに不穏行動が見られていた場合は、不穏行動についてカルテより情報
収集をします。どういう不穏行動だったのかをアセスメントし、再び対策を考えます。
注意点としては、前回の不穏行動に対する対策もしつつ、今回は異なる不穏行動をする可能性も考えて起きます。

<入院初日に不穏が見られたら>

・どのような不穏行動が見られているかを確認しましょう。環境が変わったことにより、眠れないのか、または不安が強いのか?最初は眠ったけど、排泄のために起きてから不穏行動が生じているのか?など、不穏行動を細かくアセスメントしましょう。アセスメントをすることで、今後の対策にも活かすことができます。そして、情報が共有できるよう、看護記録に残しましょう。

・入院時、主治医から不眠時や不穏時の指示を使用することもひとつの方法です。
※注意点として、不眠時や不穏時の指示はルーティン化されていることもあります。患者さんお既往歴から、睡眠薬や向精神薬の使用は問題ないか必ず確認しましょう。

・最終手段として、ナースステーションに連れてくることもあります。話をすることで、気持ちが落ち着く場合もあります。

<不穏に対する対策として>

・不穏患者さんの対策としては、夜間だけではなく、1日を通して患者さんが落ち着いた入院生活が送れるよう、個別性の計画を考えましょう。
・どのような不穏行動があり、原因を追究しましょう。
・看護師のスタッフ間で情報が共有できるように、看護記録には状況が把握できるよう、記載しましょう。
・夜間の不穏行動を軽減または消失するには、日中の活動もポイントとなります。
・不穏行動による危険行動から転倒転落のリスクもあるので、病室の環境整備もしましょう。
・不穏から危険行動があることによる抑制の使用は、できるだけ避けましょう。抑制は、不穏をさらに悪化させる場合があります。
・不穏により、医師からの不穏時や不眠時の指示を使用した場合は、評価をしましょう。効果がない場合は、医師と相談することも必要です。また、睡眠薬や向精神薬にばかり目を向けず、色んな視点から不穏対策をしましょう。睡眠薬や向精神薬の使用は、副作用のリスクも高いので、考えながら使用しましょう。

<ケース別の不穏対策>

(身体的苦痛が強い場合)
・痛みの強さや息苦しさなどの身体的苦痛により不穏が生じている場合は、身体的苦痛の軽減に視点を置きましょう。身体的苦痛が軽減されると、不穏も落ち着くこともあります。
・低酸素血症による不穏の出現もあります。いつもと様子が異なり、急に不穏になった場合に見られます。呼吸状態の確認をしましょう。
(不安が強い場合)
・入院による環境の変化は、不安が生じます。自宅のような環境に近づけることも、不穏の軽減に繋がります。自宅で使用している枕や布団を持参する。日中は、私服に着替える。普段使用している時計や洗面道具を持参する。これらのことを実施し、不穏が消失したこともあります。
(日中の活動不足)
日中の活動不足によって、不眠から不穏行動に移行する場合もあります。日中の活動例を挙げます。
・家族やスタッフの協力のもと、散歩を促しましょう。
・ベッド上での生活は、活動不足になるので、なるべく離床させましょう。活動不足は、昼夜逆転になることもあります。日中は、車いすで生活をしていたことで、夜間の睡眠に繋がったこともあります。
・趣味または好きなことを出来る範囲で行いましょう。

まとめ

不穏に対する対応としては、入院時の情報収集がポイントの「カギ」となります。患者さんの情報から不穏のリスクを予測します。そして、不穏行動が見られた場合は、原因を追究し、それに対しての対策を個別性に計画します。看護師のスタッフ間で共有できるように看護記録に記載していきます。不穏行動に対して、看護師が寄り添うことで、徐々に軽減や消失に繋がります。

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