ケアマネジャーの業務の中に「サービス担当者会議」がありますが、これはご利用者様に関わる全ての関係者・事業者が出席します。 もちろん、主治医にも参加をお願いすることになります。しかし多忙な医師に出席をお願いするのは難しく、依頼をしてもほとんど断られてしまいます。 そこで主治医の出席がなくても、意見を頂きやすくなる工夫をしましょう。
【病院やクリニックに足を運びましょう】
介護認定の際に発行される主治医意見書を依頼する際には郵送ではなく、可能な限り病院やクリニックに足を運びましょう。 その時に今後の生活上・介護上の留意点などについて主治医に尋ね、主治医の意見として支援記録にまとめておきます。訪問する際には必ず事前に連絡し、ご都合をお伺いするのは基本です。病院により異なりますが、診療終了間際、午後の診察開始直前が比較的お手すきのようです。とはいえ患者様が優先となりますので待ち時間が長くなることも想定し、後に予定を入れないようにしておきましょう。
【利用者様の受診に同行しましょう】
可能であれば利用者様の受診に同行し、診察の場に立ち会いましょう。利用者様やご家族が主治医からのお話を聞き逃している場合があり、思わぬ話を聞けることもあります。特に独居の利用者様は主治医の話が飲み込めず、指示が通っていないことがあります。薬の服用がうまくいっていない=訪問での薬剤師指導の導入など新たなニーズに気づけることもあります。また自宅に訪問診療を依頼している利用者様の場合は、その時間帯にお伺いし同席させていただくと良いでしょう。
【会うのが難しい主治医には文書でお願いしましょう】
主治医よりお話を伺うことが理想とはいえ、実際には難しいもの。 そんな場合は主治医意見書を依頼する際にアドバイスを求める文書を添えましょう。利用者様の身体的なことは主治医意見書にありますので、重複する内容にならないようにします。例えば「今後の療養上、生活上における注意点をお聞かせください」「骨折後のリハビリにおける注意点をお聞かせください」など具体的にかつ質問は2,3問程度に留めるようにしましょう。こちらから普段の生活やご様子など情報提供することも忘れずに。 事前に文書を送って良いか病院の受付やソーシャルワーカーに相談をしておくとスムーズです。 ほとんどの場合は無償で書いていただけますが、診断書のような扱いとなり利用者様に料金が発生する場合がありますので、その点についても事前に確認しておきましょう。郵送する場合は必ず依頼文書と返信用の封筒を添えるようにします。
【中には返事が返って来ないことも】
中には「主治医意見書の通りです」とだけお返事があったり、義務ではないことからお返事がない場合もありますが、その旨支援記録に残すようにしておきます。実地指導などで指摘されないように、こちらから主治医にアプローチをかけた実績は証拠として残す必要があるからです。 実際にあったことですが、私の同僚が主治医にご意見を伺う文書を送ったところ『こんなものは書かない、失礼である』と直接お叱りの電話を頂いたことがありました。そういった場合はお詫びし、以降はお送りしないようにします。そして同じ事業所内のケアマネジャーに情報共有し、同じことにならないよう配慮します。
【主治医にアプローチするコツ】
利用者様の主治医と顔見知りではない場合は、やはり実際にお会いすることをお勧めします。慣れないうちは負担に感じることもありますが、顔を覚えて頂くことで後々のコミュニケーションがスムーズになります。 何か困った時にご意見を伺う際に協力を得られやすくなりますし、電話での問い合わせなどもスムーズになります。 私の場合はたまたま自分のかかりつけ医が利用者様の主治医だったことがあり、その時はやりとりが大変楽でした。この経験から自分がどこかに受診する際に、関わりが増えそうな病院にあえて行くようにしています。先生や病院の雰囲気がわかりますし、「どこか良い整形外科はない?」といった利用者様の相談にも答えやすくなる利点もあります。 訪問診療を中心にされているクリニックの医師はケアマネジャーやサービス提供業者に協力的である傾向があります。 時には先方から積極的に連絡があることも珍しくありません。こちらからも日頃から情報を提供し、信頼をしてもらえるよう働きかけましょう。
【病院のスタッフと仲良くなりましょう】
病院によっては主治医の代わりに看護師さんや受付の方から情報提供をして頂くこともあります。 「近頃病院の予約を忘れがちになっている」「以前はきちんと化粧をして来ていたのに、整容がだらしなくなっている」など細かい情報を伝えてくれるのも関わっているスタッフだからこそできることです。 また医師が複数いる大きな病院ではソーシャルワーカーさんと親しくなりましょう。初めて関わる先生についてどうアプローチすればいいか相談に乗ってもらえれば強い味方になります。 「私が聞いておきましょう」と言っていただけることもあります。利用者様がご入院された時などに情報提供書を持参し、ご挨拶をすることで顔を覚えてもらいましょう。時には「この方を担当して欲しい」と利用者様を紹介いただけるというメリットもあります。
【医療系サービス提供事業所に相談してみましょう】
あらゆる手を使っても主治医からの意見を伺えないことだってあります。 その時は訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴など「主治医の指示がなければ利用できないサービス」を提供する事業所の方に、主治医からどういった指示や注意点が出ているか尋ねてみましょう。 悲しいことにケアマネジャーにはそっけない主治医でも、医療系サービス事業者にはきちんと指示を出しているといったことは珍しくありません。 サービス担当者会議の席で「どういった指示が出ていますか?」と医療系サービス提供事業者に質問し、会議の出席者と共有するといった手段でも良いでしょう。 少々強引ですがその会議の議事録に「主治医の意見」として残すことができます。
まとめ
以上、利用者様の主治医と上手に付き合うコツを挙げましたがいかがでしたでしょうか?あまり親しくない主治医と関わる際には緊張するものです。怒られないか、断られないか…と心配することも多いことでしょう。 しかし事前の準備や日頃の関わり次第で信頼関係を作ることができますので、焦らず基本的なことを押さえていきましょう。今後の参考になれば幸いです。
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