小児科病棟での患者様・ご家族への看護師対応のコツ

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#751 2019/07/02UP
小児科病棟での患者様・ご家族への看護師対応のコツ
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小児科病棟というと、入院している子供の患者様相手にどう接したらいいかわからない、ご家族の対応はどうしたらいいんだろう、と考える方が少なくないと思います。実際、成人患者様と違って困難を感じる場面も多いと思います。今回は私が小児科病棟での経験を経て感じた、患者様・ご家族の看護のコツをメンタルケアや関わりにポイントを絞ってお話しします。
   

看護師小児科病棟で働くためのコツ!

今回お話しするのは、私が小児科病棟で働いていた経験を基にしたものです。まず、どんな病院でもそうですが、入院患者様(以下患者様)は病気やケガの他に大きな不安を抱えています。小児看護では、入院中の子以外に、そのご家族も看護の対象に当たります。そこで、私が学んだ患者様(子供)・ご家族(主に両親)の看護のコツを、メンタルケアや関わりにポイントを絞ってお話ししたいと思います。

小児病棟での患者様との関わり

先がわからないって”怖い”

幼児期~学童期の患者様は基本的に私たち大人と違い、未知のことに対する予測というものが不足、または欠如しています。これは成人患者様にも言えることですが、これから先にどんな処置や治療を行うかを説明しなければいけません。これをプリパレーションといい、特に小児病棟に入院している患者様には成人患者様以上に細かく説明を行わなければ、その後の処置や治療での拒否を招きやすくなります。
患者様本人にどのようにプリパレーションを行うかのコツは以下に示します。

  • これから先に何を行うかを順序立てて説明する。
  • 処置・治療の必要性が理解できる発達段階の患者様には、疾患の説明から行い、その後必要性について説明する。
  • 発達段階に合わせた言葉・表現を用いる。
  • 必要時は写真や実際の物品・検査室への事前訪問等を行い、イメージを明確にする手助けをする。
  • 処置による痛みが伴うかどうかを説明する。
  • 処置や治療の方法がいくつか存在する場合は、患者様に提示し、相談する。
  • 可能であれば、ご家族の同席のもとで行う。

この時に大切なのは、患者様の理解や同意を置き去りにしないことです。

もちろん、緊急時の処置では必ずしもこのような段階を踏めるとは限りません。そのような場合には、事後になってしまっても構いません。緊急時にどのような処置や治療が行われたのか、それによってどのような結果がもたらされたのかを説明することが重要です。ただし、結果に関しては、ご家族の方と十分な話し合いを行い、本人に伝えるかどうかをあらかじめ相談しておく必要があります。

成功体験を作る

お話ししたようなプリパレーションを行い、処置や治療を乗り越えられた場合には、それを必ず患者様本人に直接評価してあげることも重要です。

単に褒めるだけでもいいですが、具体的にどんなことが良かったのかを本人に伝えてあげることが重要です。時には、おやつの前の時間やレクリエーションのような楽しいこと・嬉しいことの前に処置を行うことで、嫌な処置や治療も乗り越えやすくなったり、終わった後に“がんばったねシール”等を用意してあげることも効果的であったりします。

このような正のフィードバックを行うことにより、患者様の自己肯定感を高めるだけでなく、成功体験となることで次回以降の処置や治療の際にスムーズに進むことができます。逆に、頭ごなしに否定するような表現は、患者様との信頼関係を悪化させるだけでなく、ストレスにつながってしまうため避けたほうが良いでしょう。ではどんな表現を使ったら良いかを以下に例として挙げます。

  • 「これから検査するから動いちゃだめだよ。」→「じっとしていられたら、すぐに終わるからね。一緒に頑張ろうね。」終了後に「○○くんがじっとしていられるのが上手だったから、検査もすぐに終わったよ。えらいね。」
  • 「お薬飲まないと治らないよ。」→「お薬苦いかもしれないけど、これ飲んで、体の中の悪いバイキンマン(細菌)やっつけちゃおう。」終了後に「○○ちゃんは苦いお薬もちゃんと飲んでいてすごいね。頑張っているね。」
  • 「採血がんばったら、おやつがたべられるよ。」→「今日のおやつは○○くんの好きなドーナツだって!だけど、ちっくんの検査(採血)の後にしよう。嫌なことだけど、これを頑張ってから食べたら、もっとおいしいと思うよ。一緒に頑張ろう。」

この様な表現や関わりを行うことで、小児患者様と良好な関係を築き、処置や治療を円滑に進めることができるだけでなく、患者様の入院中の精神的負担を減らしてあげることができるでしょう。

ご家族との関わり

どんな関わりが求められるか

では、ご家族への関わりはどうでしょう。

ご家族の方は基本的に入院中の患者様とは違い、身体的な苦痛はほとんどありませんが、その分精神的な苦痛や不安を抱えています。ご家族の多くは、“辛そうにしているのがかわいそう”“苦しみを変わってあげたい”と考えたり、“中には自分のせいでこうなってしまった”という思いを抱えている方もいます。

その部分に寄り添って看護を行っていくことが重要です。苦しんでいる子供を見ているのが辛そう、長時間の面会や付き添いで精神的に疲れが見えるという場合には、一度退席して気分を落ち着かせていただくことも視野に入れてもいいでしょう。

この様な場合は、“私がいると処置や治療の邪魔になるから追い出された”または、“そばにいても何もできないから”といった気持ちを抱かせないような注意が必要です。以下に声掛けの例を挙げます。

  • 「○○くんはすごく頑張っていますね。お母さん(お父さん)がいてくれるから頑張れるんですね。私たちも全力で治療・看護をしていきます。一緒に頑張りましょうね。」
  • 「病気や怪我は急に起こることです。それは決して○○ちゃんのせいではないし、もちろんお母さん(お父さん)のせいでもありません。自分を責めたりしないでくださいね。こうやって面会に来てくれるお母さんがいることが、○○ちゃんに力を与えているんですよ。」
  • 「いつも付き添いありがとうございます。大好きなママの元気な顔を見られることが○○くんは一番嬉しいと思いますよ。でも毎日大変ですよね。少しお疲れじゃないですか。今、私は少し時間がありますので、ママもたまには気分転換にお茶を飲んできたりしても大丈夫ですよ。」

このような一言をかけるだけでも、ご家族の方の精神的負担は減少します。

家族への説明のポイント

次にご家族への説明に関して話します。

患者様へのプリパレーションでも述べた通り、可能であればプリパレーションはご家族の同席が得られるとスムーズであり、その際、あらかじめどのような方法で説明を行うかを、事前にご家族と話し合っておくことが重要です。

ご家族の協力を得るには、まず、ご家族に患者様の疾患・処置・治療を理解していただくことが必要となります。わかりやすい言葉を選び、要点毎にちゃんと理解できているかを確認するのがコツです。

また、ご家族は特に先の見通しがつかないことを不安に思います。治療の結果がどうなるか、どんな検査が待っているのか、副作用があるのか等の説明は基本的には医師からされるものですが、余程の事情がない限りは医師からの説明の場に同席し、説明を聞くご家族の表情や理解度を観察しましょう。

急な入院の場合、気が動転していて医療スタッフの話はなかなか頭に入ってこないものです。医師の説明が終わった後は、「難しい話が続きましたが、分からなかったことはなかったですか。」等の声をかけ、その後も必要であれば情報を補填してあげることで、だんだんと理解に近づいて来るのです。ご家族が十分に理解されたところで、患者様への説明を行う相談をさせていただきましょう。

家族だって身体的不安はある

さて、先ほど身体的な苦痛はほとんどないと言いましたが、面会・付き添いはご家族にも疲労という名の身体的苦痛が蓄積していきます。小児科に入院する際、施設によりご家族の完全付き添いと自由付き添いに分かれます。完全付き添いの場合は患者様と24時間一緒にいることができますが、病院ですので家の様には過ごせません。可能な限りプライベートに配慮し、自宅での生活に近づけることができれば少しでも疲労を減少する手助けができるでしょう。どんなことを望んでいるのか話してみると良いです。声掛けの部分で話したように、休憩時間を取ってもらうのも有効です。

一方で、自由付き添い制の場合は自宅でのプライベートが確保されている反面、自宅と病院を往復することや、面会時間以外での患者様の様子が心配になることが辛いと感じるご家族が多いです。兄弟・姉妹がいる場合は付き添いも難しいため、否応なしに付き添いを選択肢から外すご家族もいます。この様な場合にはご帰宅された後の患者様の様子を伝えてあげることや、面会時間がわかっているのであれば処置の時間を予めずらして、面会時間を家族で過ごせる時間にすることで、少しでもご家族の負担を減らすことができるでしょう。

まとめ

今回お話ししたのはあくまでも初級編のようなものであり、一例にすぎませんが、患者様・ご家族共に、様々な不安や苦痛を抱えて入院生活を送っていることをわかってもらえたら嬉しく思います。それらに寄り添い、どんなことを望んでいるのかを考え、形にしていくことで、看護のレベルは上がっていくと思います。技術や知識面に目が行きがちになりますが、精神面でもフォローしてあげることで患者様・ご家族への安心感を与えることもまた、重要なことです。

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