体位交換時にいたいと訴えの多い患者さんに対するケアのコツ

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#698 2019/05/16UP
体位交換時にいたいと訴えの多い患者さんに対するケアのコツ
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入院している患者さんでも、在宅で寝たきりの利用者さんをケアするときでも、体位交換というのはとても大切であり、必ずだれもが自然と行っていることではないでしょうか。しかし時に体位交換時に痛いと訴える人もいます。痛いといわれないためには、どのような工夫をするといいのでしょうか。
 

体位交換をする際のコツ

私たちは、患者さんや利用者さんのために良かれと思って、体位交換を行います。褥瘡ができないように除圧をするため、また衣類などのしわを伸ばすため、背部をタッピングして痰の喀出を促すためなど、さまざまなシチュエーションで体位交換を行います。

しかし時には、体の向きを変えようとした瞬間から、痛い!という患者さんもいます。私たちは体位交換の必要性を知っているので、痛いといわれても体位交換をやめるわけではありませんが、痛いといわれたら心苦しいですよね。またほかの患者さんや家族が聞いていたら、看護師さんたちは何をしているの?と思われることもあるかもしれません。そのためできるだけ、患者さんに痛い思いをさせずに体位交換を行うことが重要です。

ではどのように行えば痛みを最小限に抑えて体位交換を行うことができるのでしょうか。そのコツをここではご紹介していきます。

体位交換をすることをよく説明し、患者さん自身に心構えをしてもらう

何か処置をするときには、患者さんに説明して納得してもらってから行うのが原則です。いきなりおこなったら、患者さんもびっくりしますね。

体位交換ひとつとっても、きちんと説明をしてから行うのが鉄則です。なぜなら、今から体位交換をするということを説明すると、患者さん自身も心構えができるからなんです。心構えをすることができると、体位交換をされるんだ、体を動かされるんだと意識することができるので、体位交換時の痛みに対しても少し覚悟をすることができるようになります。

看護師も体位交換をするといって、すぐに行うのではなく、数十秒くらい置いてから体位交換をするといいでしょう。それが覚悟を決める時間になります。

 

体位交換をする前に腰と膝を緩めよう

寝たきりの患者さん、疼痛などの強い患者さんは、体位交換をするといっても体が思うように動かないことが少なくありません。そのような時には、看護師の手で、患者さんの腰や膝を少し緩めてあげることが重要です。

具体的には、今から体の向きを変えますねといって、腰を少し揺らしてあげる、また膝を立てたり伸ばしたりして動かしやすくしてあげるのです。つまり体位交換前の準備運動になるのです。安静度があり腰や膝が動かせないという人は、できなくても仕方ありません。その時には、少しふくらはぎのマッサージをしてほぐしてあげるといいです。

時間をかけて行うリハビリとはことなり、体位交換前の準備運動なので、腰を揺らすのも5回くらいでも構いません。膝を動かすのも数秒でいいのです。しかし何も行わずに体位交換したときよりも、この準備運動を取り入れたほうが痛みの発生は少なるのは確実です。

私たちも同じ姿勢で何時間もいて、いきなり体の向きを変えようと思ったら、なかなか体のその姿勢で固まっているので難しいです。すぐに関節を動かそうとすると痛みが出るのは当然ですね。しかしながら、少し事前に関節を動かしてあげると、関節が柔らかくなり体を動かしやすくなるのです。

痛みの強い人は、体をひねらないように注意しよう

体位交換をするときには、まず膝を傾けてから、その後自然に腰の向きが変わるのを利用して体位交換を簡単に行う方法もあります。しかし疾患によっては、下肢、股関節、背中と少しひねるような状態になることで強い痛みを感じる人もいます。そのような時にはひねらないような体勢を維持することを目標にしましょう。

例えば、肩のラインと背中、お尻のラインを一枚の板のようにとらえ、肩とお尻を同時に同じ方向に向けるのです。特に腰の疾患の方は、ひねりは厳禁なのでこの方法を取り入れると、痛みを最小限に抑えることが可能になります。

そして体を側臥位にした時にも一つコツがあります。

それはしっかり横向きにしてから、少しお尻を後ろに引いてあげることです。

こうすることで側臥位が安定し、体のぐらつきを抑えることができます。また痛みの発生を抑えることもできるのです。

忙しい看護師は、一人で体位交換をすることも少なくありません。しかし患者さんの状態によっては、二人で体位交換をするのがおススメです。

特に腰のひねりによって痛みを強く訴えるような患者さんは、二人で体位交換をするとスムーズに体位交換をすることができますし、苦痛の発生を抑えることができるのです。

声掛けでうまく誘導しながら体位交換をしよう

看護師の力だけで体位交換を行おうとすると、やはり患者さんのタイミングと合わずに痛みを訴えることもあります。それを防ぐためには、患者さんを声掛けによってうまく誘導して体位交換に協力してもらうということが重要です。例えば、柵を持ってもらう。手を前に出してもらう。できない患者さんは、顔を横に向けてもらうだけでも違います。

少し協力があることで、体位交換もスムーズに行うことができるので、うまく誘導できるようなコミュニケーションをとることが重要です。

ここまで体位交換の方法を見てきました。

少しでも苦痛を感じないように体位交換を行うためには

  • 患者に意識をしてもらう
  • 事前に少し体を緩める
  • 声掛けをうまく行って患者さんと一緒に体位交換を行うことを意識する

ことが重要です。また疾患や状態に合わせてアセスメントをしながら体位交換の方法を考えていくことも重要なので、患者さんをしっかり把握してどのような方法で行うべきか考えて実践することが重要です。

患者さんも苦痛を感じず、また看護師も痛いといわれずに体位交換ができると、とてもスムーズに毎日のラウンドが進むことも少なくありません。そのために、少しできることから患者さんに実践してみてはいかがでしょうか。

まとめ

体位交換は看護技術の基本のひとつです。しかし時には強い苦痛を感じる人もいて、なかなかスムーズにはいきません。ここではそんな体位交換のコツをご紹介しました。患者さんもいろいろな疾患がありますし、難しいこともありますが、できることから行っていくと確実に体位交換がしやすくなります。ぜひ実践してみてください。

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