救急看護師であれば緊急でNGチューブや尿道バルーンを挿入しないといけない機会も多いはず。しかしなかなかうまく挿入することができず困った経験ありませんか?今回はそんな状況を打破すべく現場で医師とともに実践した技をご紹介します。
患者との共同作業!?NGチューブの挿入編
そもそもNGチューブってなんでしょう?
- イレウス患者への減圧、胃内容物の吸引
- 消化管出血時出血源の特定
- 大量服薬時適応があれば胃洗浄
などなど救急室で行われるNGチューブ挿入の場面は多々あります。医師が行うこともあるでしょうし、実際に看護師が挿入しなければならない場面も少なくないです。
そんな急を要する場面に起こる「あるある」。皆さん経験済みのはずです。
そうです、NGチューブってとぐろを巻いてなかなか胃まで挿入できない!そのような経験ありませんでしょうか?もしくは誤って気管に入り患者さんが思いっきりむせ込んで顔面が真っ赤に・・
私は何度かこのような経験があります。意識がある患者さんの辛そうな表情を見て何度も私の心も苦しくなりました。そんな経験がある方に今回は実際に行ってうまくいったお話をしてみたいと思います。
NGチューブ挿入時の必要準備を怠るな!
目的に合ったサイズ選び
なぜ今患者さんにNGチューブが必要なのかを考えサイズをチョイスして患者さんへのしっかりとした説明が大前提です。
(患者さんに意識がある場合ですが)私たち医療者はNGチューブとはどんなものか想像がつきますが初めての患者さんは「一体今から何をされるんだろう?早くこの痛みから解放されたいのに・・」と必ず思っています。
(苦しくて病院に来てるわけですから・・)ですからチューブを入れることでどのようなメリットがありどのような違和感などが発生するということをしっかりと説明しなければなりません。
ベッドをギャッチアップさせ体を起こす!
NGチューブを挿入する際には患者さんにチューブを飲み込ませることがポイントです。
仰臥位のままだと嚥下が難しくむせ込む可能性は高くなります。患者さんが起き上がることができるのなら体位は重要です。体を起こすことで患者さんの顎が下がり嚥下しやすくなります。想像してみてください。寝たまま水を飲むってきつくないですか?
チューブには潤滑油をしっかりとつける!
当たり前ですが潤滑油をつけなければ鼻腔から挿入したときに摩擦でとんでもなく痛いです。鼻腔、チューブの大きさにもよりますが成人であれば14Fr~16Frの挿入になると思います。摩擦で鼻腔を傷つけ出血する可能性もあるのです。
挿入後の確認のためにも聴診器もしっかり持って臨んでください!
準備が整ったらさあ挿入だ!
前述した物品の準備が整ったらいざ挿入です!充分ンなキシロカインゼリーをチューブに塗って鼻腔からゆっくりと挿入していきます。
患者さんの咽頭付近にチューブが来たら、ここから患者さんにも協力してもらい「チューブを飲み込むようにゴックン!してくださ~い」(手技する側の声かけも大切)このときにのコツとして手技側は甲状軟骨の動きを意識します。
そう喉仏です。
患者さんがゴックンするときには甲状軟骨が下がります。そのタイミングを狙ってチューブを押し込むのです。甲状軟骨が上がっているときに押し込むと声帯に入り込む可能性があるので注意が必要です。
挿入する目的にもよりますが、ゴックンさせる方法として挿入の際に少量の水を患者さんの口に含ませるという方法もあります。患者さんに飲み込ませやすくするのが狙いです。
あとは、チューブにキシロカインゼリーを塗るだけでなく、患者さんの鼻に直接キシロカインゼリーを入れ鼻から息を吸い込んでもらうという方法もあります。
ちょっと待って!それってコミュニケーション取れない患者さんに使えない!?
そうなんです、、、
今説明してきたNGチューブの挿入方法って患者さんが協力を得られる場合には有効なんですが、寝たきりでコミュニケーションの取れない患者さんには使えないんですね。(悲しいことに)
ですがそんな場合にも必殺技があるんです。それはNGチューブを冷凍室に入れアイスノンでサンドイッチ!チューブを冷やしてしまうんです。
これはチューブを冷やすことで固くなるんですね。固くなったチューブにはコシが出ます。コシがでたチューブは曲がりにくく口のなかで「とぐろ」を巻きにくくなります。
曲がりにくいチューブはそのまま胃まで到達できる!というわけなんです。たとえ意識がない患者さんの気管に入り込んでしまったとしても顔面が紅潮しむせ込むのですぐに抜いてしまえばいいのです。
それでもだめなら手技者の手を変えてみましょう。そのまますんなり入ってしまうこともあります。
尿道バルーンの挿入編
尿道バルーンはNGチューブよりも救急室で挿入する機会が多いのではないでしょうか。
- 尿量の測定
- おしっこが出なくて膀胱がパンパン!
- 尿路感染症でのドレナージ
- 心不全患者への利尿剤への反応の観察
など多岐にわたります
尿道バルーンにもいくつかのコツがありますので紹介したいと思います。
尿道から膀胱までの道のりをスムーズにする!
尿道バルーンを挿入する際にまずはNGチューブと同様に患者さんへの説明、声かけは必須です。あの小さい入口に固いモノが入っていくわけですから。(とても痛い・・)
ここでは男性への尿道バルーンの実際を説明します。
尿道バルーンを挿入する際、患者さんは仰臥位になっているかと思います。(というか立位や坐位で挿入することはほぼないですが)
ここでのポイントは仰臥位である患者さんの陰茎をとにかく上に引っ張りあげて垂直にした状態で挿入すること!男性は前立腺があるので尿道から膀胱までに曲がった道のりになるのです。その道を真っすぐにすることでカテーテルを進みやすくしようとするものです。
キシロカインゼリーを十分に!!
NGチューブでも言いましたが、潤滑剤としてのキシロカインゼリーはたっぷり使いましょう。私の施設ではシリンジに入れたキシロカインゼリーを患者の尿道から直接注入します。これは潤滑剤としての意味合いもありますが、尿道を広げる役目もあるからです。注入したあとにはすぐさまカテーテルを挿入します。
攝子を使え!
尿道バルーンはキットになって、滅菌手袋を使用して手で挿入するときもあります(施設によって変わると思いますが)しかし入りずらい患者さんには攝子を使い攝子の先端をカテーテルと一緒に尿道に入り込ませてしまうのです。前立腺肥大の患者さんは一定のところでカテーテルが戻されてしまう。。なんて経験ありませんか?攝子を使い、その狭窄ポイントを乗り越えてみましょう。攝子を陰茎と平行に押し込んでいくのがコツです。
一旦間欠的導尿カテーテルを挿入してみる?
施設にさまざまカテーテルが用意されてあれば問題ないのですが、シリコンのコシの強いカテーテルは泌尿器科がない施設には準備されていないことかと思います。
そこでバルーンタイプの留置カテーテルを挿入する前に一度、間欠的導尿カテーテルを挿入してみるのです。(14Fr辺り)そうすることで尿道が広がり留置カテーテルが挿入しやすくなるというものです。
看護の技術って奥が深いと思います。看護学校で習ったことない手技ばっかりなんですから。。
まとめ
カテーテル類の留置って難しいですよね。施設によって知恵を出し合いいろんな方法で皆さん行っていると思います。しかし一番大切なことは、いかに患者さんに苦痛を与えず、ベネフィットを与えるか。これに尽きるんじゃないでしょうか。手を変え、人を変え、いくらやってもできない・・辛いのは私ではなく患者さんですからね・・今回の方法がカテーテル留置で悩める看護師さんの手助けになれば幸いです。
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