#521 2018/12/08UP
看護師の在宅勤務、在宅医療のクリニックで働くメリット!
現在の日本においては、看護師資格があると就業先の選択肢はほぼ無数と言えます。一方で在宅クリニックというのは、なかなか真っ先に出てくるものではありません。医師としての勤務経験からみた「在宅クリニックという選択」についてお話致します。
在宅クリニックとは?
一般病院や有床・無床の他科クリニック群とは異なり、外来患者の診察や病棟管理等はメインのお仕事ではありません。基本的に契約をしているご家庭や施設にこちらから赴き医療サービスを提供することになります。多くの小中規模在宅クリニックでは、運転手・看護師・医師が一組となって乗用車で移動します。必要な医療処置に関してはほぼ医師が行うケースが多く、看護師さんの主たるお仕事はバイタル測定とその記録、一般ケア、機器物品管理、ご家族との連携などが中心となります。
特に、在宅クリニックでは終末期を取り扱うことが多くなるため、患者さん本人やそのご家族との綿密な連携と信頼関係の構築は欠かせません。
看護師さんは医療職の中でも、もっとも相談されやすい(しやすい)立場ですので、ここは在宅クリニックに勤める看護師さんの最も大きな役割の一つと言えます。
転職先としての在宅クリニック
上記のように、在宅クリニックが就業希望の看護師さんに対して非常に高いスキルを求めるということはとても稀です。したがって、本来的にはどんな経歴を経てこられた方でも転職先としての選択肢に入るということになります。特に在宅クリニックが看護師さんに対して夜勤を課すことはほぼ無く、明確な勤務時間が定められますので、子育て中の方なども余裕を持って勤務することが可能になります。
また、これまでオペ室看護師や精神科単科勤務などの比較的特殊な勤務形態でキャリアを積んでこられた方が、内科一般知識と技能を得るチャンスともなり、キャリアチェンジの場としても良い選択肢と言えます。
実際に私が勤務していた在宅クリニックでもこのようなケースが多々あり、その後一般病院の内科病棟や内科系クリニックに移る方もいらっしゃいました。
新卒者にとっての在宅クリニック
看護師としての勤務経験が浅いうちは、在宅クリニックにおける求人・募集そのものが多いわけではありません。一方で、看護師さん教育に熱心に取り組む在宅クリニックも近年増えてきており、このようなところでは体系立てて看護師の仕事を学ぶこともできます。
特に在宅クリニックでは内科処方・処置から一般外科処置までを並行して扱うことが多いので、広範に学ぶチャンスと捉えることもできます。
また在宅クリニックにおける看護師さんが「独り立ち」するまでの期間は、大学病院や市中一般病院などに比べるととても早く、責任ある仕事を早くこなせるようになりたい様な方にも向いているかもしれません。上記の転職者についての項目でも触れましたが、やはり自由に使える時間を多く持てることは大きなメリットと言えます。何か別の目標をお持ちであったり(趣味や実用問わず)、自分の勉強をする時間を十分に取りたい方なんかにとってはとても恵まれた環境を得ることもできます。
在宅クリニックにおける待遇について
これは個々のクリニックによって大きく変わるので一概なことは言えません。一方で多くの看護師求人・募集と比較して大きく劣ることはないはずです。勤務形態や内容を考慮しても、現時点では恵まれたものであることが多い様に感じます。また一部のクリニックでは、看護師が乗用車の運転手を兼ねるケースがあるため、自動車免許を取得しておくと有利になることがあります。在宅クリニックにおける勤務が向かない方
死に対する感受性が強い看護師
第一として職業形態の特性上、多くの死に直面することになります。死に対する感受性次第では、とても辛い仕事になりかねません。冷淡・冷酷である必要はもちろん一切ありませんし、医療サービスの本質的にそうあるべきでは全くありませんが、ご自身の性格や性向はよく踏まえて検討されることが望ましいです。コミュニケーションが苦手な看護師
二つ目は人間関係についてです。冒頭でもお話した通り、患者さんとそのご家族、または契約先施設スタッフなどとの連携が非常に重要な役割となります。著しくコミュニケーションが苦手である場合はやはり慎重になるべきかもしれません。知り合いの方や学校の先輩等が勤務しているクリニックがあれば、このような際の大きな助けになります。また、これは在宅クリニックに限ったことではありませんが、比較的小規模の職場というのはちょっとした人間関係によって過ごしやすさが大きく変わってきます。人付き合いに少し自信の無い方や多少でも不安を感じられる方は、複数の事業所を持つ様なクリニックや法人を選択しておくことが良いのかもしれません。在宅クリニックのやりがい・働きがい
在宅医療では個々の患者さんに寄り添った医療が提供されます。それは必ずしも高度医療や先進医療、過度な延命治療などを意味するわけではありませんが、患者さんのQOL向上に大きく資することができる可能性を持ったものです。実際の医療現場というのはなかなかドラマの様には行かず、患者さんに笑顔で心から感謝される場面というのも頻繁にあるものではありません。それでも、在宅医療においては患者さん一人一人の話をよく伺い、何を求めていて何が足りていないかに向き合うだけの時間と仕組みがあります。より専門分化した高機能病院であればあるほど、目の前を患者さん達が流れるように通り過ぎていく日々を実感するものです。医療の本質に立ち返り、目の前の患者さんの人生をどう豊かにできるのか考えることは、医療者としても単に一人の人間としても大きな進歩に繋がると信じています。
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まとめ
どう感じられたしょうか?どの看護師さんにとっても選択肢の一つとなるのが在宅医療ですし、そこにあるやりがいは決して小さくはありません。ご自身の進路を考える何かの参考になれば幸いです。
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