看護師のアセスメントとは?アセスメント力アップのポイントも解説

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#2294 2023/08/26UP
看護師のアセスメントとは?アセスメント力アップのポイントも解説
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「看護は観察に始まり観察に終わる」という有名な言葉をご存知でしょうか。これは看護にとって観察がいかに大事かを表す言葉ではありますが、実は看護は観察だけではありません。その後の展開も重要な位置を占めています。当記事では観察と密接に関連しているアセスメントについてまとめています。

①「看護は観察に始まり観察に終わる」- 観察とは?

「看護は観察に始まり観察に終わる」という言葉は、看護師にとって観察することの重要性を表しています。一部、ナイチンゲールの名言として取り上げられていたりもしますが、実はナイチンゲールがそう言ったという記録はありません。
しかし、ナイチンゲールの著書である看護覚え書には、「看護の基本は観察である」とあります。近代看護の母であるナイチンゲールがそう名言しているということは、現代の看護にとっては、看護をするうえでは観察が欠かせないということになります。そう考えると、「看護は観察に始まり観察に終わる」という内容は的を射ていますし、まさにその通りともいうべき例えということになります。

さて、そんな観察ですが、世の中で言えば、観察とは「見ること」程度にしか思われないでしょう。しかし看護の世界では観察は全くの別物です。
看護師にとって、観察は非常に重要なスキルです。観察は、患者の身体的・精神的・社会的な状態を評価し、問題や変化を把握するためのプロセスともいえます。
まず、身体的な観察では、看護師は患者の体の外見や状態を注意深く観察します。皮膚の色や湿度、脈拍や呼吸の数、体温などのバイタルサインの異常を検知することが求められます。また、痛みや不快感の表情や動作の変化にも注意を払います。

精神的な観察では、看護師は患者の意識状態、言葉遣い、表情、行動パターンなどを観察します。不安、恐怖、興奮、悲しみなどの感情の変化や、認知機能の異常などを捉えることが重要です。また、コミュニケーションを通じて患者の感情や思考を理解し、適切なサポートを提供することも観察の一環です。

社会的な観察では、看護師は患者の家族やサポート、文化的背景、経済的な状況などを考慮します。これによって、患者の環境やサポートの有無が治療やケアにどのように影響するかを把握し、適切なリソースやサービスを提案することができます。
観察には、客観的なデータの収集だけでなく、主観的な情報や患者の声も含まれます。看護師は、患者との信頼関係を築き、彼らの経験や感じることに耳を傾けることも重要です。これによって、病状の変化やニーズの変化をより的確に把握することができるのです。

では、この観察することは皆できるのかといえば、そうではありません。観察には、深い洞察力や専門知識が必要です。看護師は、病状や症状の変化を正確に把握するために、豊富な経験と知識を持っています。看護大学や専門学校で訓練され、そして臨床に出ることで様々な患者と出会い、様々なケースを経験し、患者の体の異常やサインを読み取ることができます。
しかし、観察する視点は個人によって異なることもあります。そのことが観察に影響を与えることがあります。例えば、特定の症状に対して特化した経験がある場合、それ以外の症状や変化を見落とす可能性があります。そのため、継続的な教育やトレーニングを通じて、観察スキルを向上させることが重要です。
つまり、観察は時に、看護の視点であり、「観察力」とも表現できますよね。
ここまで観察の重要性や具体的内容をお伝えしましたが、一方で、看護は観察だけでは終わりません。観察から得た情報をもとに、アセスメントという重要な過程があります。

②看護師にとっての観察とアセスメントの関係性とは?

看護師にとっての観察とアセスメントは、とても密接に関連していです。観察力は、患者の身体的・精神的・社会的な状態を評価し、問題や変化を把握するためのプロセスですが、アセスメントは、いわば観察から得た情報を整理し、問題や変化を評価することです。この観察とアセスメントは相互に補完し合い、質の高い看護ケアを提供するために不可欠です。
ではここで、具体的にアセスメントの流れを紹介します。

②-1データ収集

データ収集:観察によって得られた情報だけでなく、患者の健康履歴、薬剤の使用、検査結果など、さまざまな情報源からデータを収集します。これによって、患者の全体像を把握し、重要な情報を見逃さないようにします。

②-2データ分析

収集したデータを分析し、関連性やパターンを見つけ出します。異常な所見やリスク要因を特定し、優先順位をつけることで、問題や課題を明確化します。

③-3問題の抽出

アセスメントを通じて得られた情報から、患者の問題やニーズを明確に特定します。例えば、疼痛管理や安全対策、心理的なサポートなど、患者が直面している課題や困難を明確にします。

④-4目標設定

アセスメント結果を基に、患者のケアにおけるゴールや期待される結果を設定します。これによって、看護プランの方向性や目標を定めることができます。
以上のような流れが基本となります。こうしてみてみると、ただ単に看護師は医師の指示をもとに的確に仕事をこなすミニドクターではなく、いかに科学的根拠に基づいて仕事をする職種なのかが見て取れますよね。
しかし、このような観察からのアセスメントは誰にでもこなせるものではありません。さらにいえば、同じ患者に対峙したとき、同じような観察→アセスメントとはならないことがほとんどです。
その理由として、まず観察に基づく情報を正しく分析するためには、看護師自身の経験も重要な要素となります。個々の看護師は、自身の知識や専門性を活かして、アセスメント結果をより深く理解し、総合的な判断を下す必要があります。しかしそうした経験は誰一人として同じ人はいません。つまり、観察が「観察力」と表現できるように、アセスメントもまた、「アセスメント力」と表現することができるのです。
先に「観察とアセスメントは相互に補完し合い、質の高い看護ケアを提供するために不可欠です。」とお伝えしましたが、この観察とアセスメントは「観察力」であり、「アセスメント力」と表現できるということは、つまりこの両者の力がよりある看護師が、より質の高い看護ケアを提供できるということになるのです。

③アセスメント力をアップするためには?

先の通り、観察とアセスメントは互いに補完しあっています。特に観察は看護の基本です。観察なくしてアセスメントもできません。つまり、アセスメント力をあげるには、観察を怠らないことが前提となります。
そしてその観察力をベースとして、アセスメント力もあげるという流れを、自身に組み込んでいくことが、アセスメント力をアップしていく秘訣ともいえます。
では具体的にどのようなことをしていけばよいのかについてですが、以下のようなことがあげられます。

③-1他の看護師と観察結果を比較する

 看護師が一人の患者を観察した結果が、他の看護師と同じ結果になるとは限りません。むしろ、細かな観察内容ほど、異なるケースが多いです。
そのため、他の看護師と観察結果を比較し、内容を検討し合うことは互いの学びになります。

③-2知識の習得

 医学的知見や看護の最新情報を学び、継続的に自身の知識を習得していきましょう。疾患や治療法の理解、バイタルサインの正常値や異常値の把握、身体の解剖学的構造など、基礎知識を深めることで、アセスメントに必要な情報をより正確に理解できます。

③-3コミュニケーション能力の向上

 患者やその家族とのコミュニケーション能力は、アセスメントにおいて重要な役割を果たします。適切な質問や聞き取り技法を用い、患者から必要な情報を引き出すスキルを磨きましょう。何をするにしても、まずは患者とのコミュニケーションから始まります。患者との信頼関係を築き、彼らが自分の状態や感じていることをオープンに話すことを促すことも大切です。

③-4振り返り

継続的に自身の看護の行いを、観察から振り返ってみましょう。また時には、患者からのフィードバックや他の看護師からの指摘も踏まえて、自己評価を行い、改善点や成長の機会を見つけることが重要です。自己評価の際には、客観的な視点で自身のアセスメントスキルを振り返り、強みや改善が必要な点を把握しましょう。

まとめ

当記事は、看護にとって重要な要素を占めるアセスメントについてまとめました。アセスメントは観察と密接な関係にあります。アセスメント力をあげるには、観察力をあげることが大事です。また、継続的に自身の知識を深め、他の看護師とアセスメント結果を比較したり、自己評価を行うなどの修練が、アセスメント力をあげるコツです。
観察力とアセスメント力が高い看護師ほど、質の高い看護ケアを提供できます。当記事が皆さまの看護力アップの一助となれば幸いです。

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