在宅医療を受けたいという人が増えている影響で訪問看護師の需要が高くなっています。ただ、訪問看護師になるには敷居が高いと思っている人もいるでしょう。その理由の一つとして看護アセスメントの難しさが挙げられます。この記事では訪問看護師のアセスメントを簡単にする方法として、施設の選び方のポイントを紹介します。
#訪問看護ではアセスメントが難しいのはなぜ?
訪問看護ではアセスメントをするのが難しいと言われています。なぜ看護アセスメントが難しいのでしょうか。まずは根本的な原因を理解しておきましょう。
・訪問時間が限られているから
訪問看護師にとって切実なのは時間です。訪問看護ステーションと利用者との契約によって、一回の訪問でかけられる時間が決められています。1時間が標準的で、必要な業務を限られた時間でこなさなければなりません。当然ながら看護アセスメントも訪問時間に含まれています。訪問して患者の容態を確認し、会話をして状況をチェックする必要があります。家族にも話を聞かなければならないことが多いでしょう。このような十分な確認をした上で、徹底したアセスメントをするには時間が足りないというのが切実な悩みになります。
・複数の看護師が担当している場合があるから
訪問看護では同じ利用者に対して複数の看護師が担当することがほとんどです。訪問看護師が看護アセスメントをするときには、自分が以前に訪問してから今回に至るまでに何があったのかを確認する必要があります。前回訪問した看護師が申し送りをしていた場合には適切に対応しなければなりません。また、期間が空いてしまった場合には以前とは患者の容態が変わってしまっていて同じ視点でアセスメントができないこともあります。複数の看護師が担当しているとルーチン業務としてアセスメントをするのは難しいので大変です。
・相談する医療スタッフがいないから
訪問看護師にとってアセスメントが難しいのは、現場にいる自分だけで判断まで下さなければならないからです。看護アセスメントをしたけれど不安があるといったときに病院なら近くにいる看護師や看護師長に相談したり、わからない点があるときに医師や薬剤師に聞いたりすることができます。しかし、訪問看護では患者の自宅にいるので周囲に医療スタッフはいません。病院に所属しているわけではないため、すぐに相談できる看護師がいるわけでもありません。主治医に問い合わせることは可能ですが、看護対応の場合には医師に相談するのは適切ではないでしょう。アセスメントの過程で判断できなくなったときにも、自分で適切な方向性を導き出さなければならないのが訪問看護の難しい点です。
・医療機器や医療材料が不足していると対応できないから
訪問看護師はアセスメントによってやるべき看護を見出せたとしても、医療機器や医療材料の不足によって対応できない場合もあります。アセスメントの結果として患者に対応しなければならない場合に、病院なら医療機器や医療材料があるのですぐに処置をおこなえます。しかし、患者の自宅での看護なので医療機器が揃っているわけでもなく、医療材料も普段のケアに使われているものしかありません。看護アセスメントを通して患者の容態を改善できるとわかっても、道具の不足によって苦労することがあります。調達すべきか、病院にすぐに送るべきかを判断することも求められる点が難しいポイントです。
#訪問看護のアセスメントを簡単にする施設の選び方
訪問看護ではアセスメントが難しいのは確かで、看護師にとって大きなハードルになります。ただ、施設によるサポートを受けられるだけで訪問看護のアセスメントの難易度は下がります。これから訪問看護師になりたいと思っている人も、訪問看護師として働いていてアセスメントで苦労している人も、ここで施設の選び方を知っておきましょう。
・事前に訪問先の情報やカルテを確認できる
訪問看護師にとって利用者に適切なサービスを時間内に提供することは欠かせません。そのために重要なのはアセスメントを速やかに終わらせて、必要な看護を実施することです。
訪問看護ステーションを選ぶときには、訪問する前に患者の最新の情報を確認できるところにするのがおすすめです。カルテの内容や最近訪問した看護師のアセスメントや申し送りなどを事前に読んでおけば速やかに対応できます。
訪問看護ステーションの中には拠点のオフィスに行けば情報を確認できるところもありますが、クラウドシステムを導入していて自宅のパソコンやスマホで確認できるようにしているところもあります。移動にかかる時間も考えるとパソコンやスマホで情報を確認できると効率的でしょう。
・他の担当者と連絡を取れる
患者を担当した他の看護師と連絡を取れる体制を整えている施設なら、看護アセスメントで悩みが生じたときに疑問を聞くことができる点で魅力的です。ただ、他の担当者が業務時間外だったり、別の訪問先に対応していたりしてすぐに連絡が取れないこともあります。連絡対応が義務付けられている場合には、自分も他の看護師からの問い合わせに対応しなければならない点には注意が必要です。
現場でのアセスメントで出た疑問に対する回答をすぐに得るのは難しくても、事前にカルテを見て疑問を問い合わせておくことはできます。このようなシステムがあるだけでも看護アセスメントをしやすくなるのは確かでしょう。
・相談サポートを用意している
訪問看護ステーションが独自の相談サポート窓口を用意していると安心です。現場に行って看護アセスメントを始めた時点で疑問が出てきてしまい、自分では対処できないこともあるでしょう。その際に相談サポートに連絡をすると専門スタッフが対応してくれる職場もあります。状況を説明すると的確な指示を与えてくれる、あるいはアセスメント結果を伝えたときに正しいかどうかを判断してくれるのが一般的です。
訪問看護師の需要が伸びている影響で、初心者に近いくらいの看護師もスタッフとして採用したいという傾向が強まっています。経験が浅くても現場で適切なアセスメントをして対応できるように相談サポートを用意している施設も増えてきています。周囲に相談相手がいないという不安を払しょくする上でも魅力的な対応です。
・不足しているものを補充してもらえる
訪問看護ステーションで働いている訪問看護師は現場で必要になる可能性がある聴診器などの道具を借りられる場合が多くなっています。ただ、実際には現場でアセスメントをした時点で道具が不足していることが発覚することも少なくありません。高額の医療機器による検査や治療が必要な場合には病院に送るのが適切な対応ですが、注射器程度の消耗品として使用されている医療機器であれば持参すれば対応できるでしょう。施設側が現場で必要とされるものを補充してくれる仕組みになっていると安心です。アセスメントを的確におこなえたとしても、適切な看護をすぐにおこなえずに悩むことも少なくなります。
・訪問看護のアセスメントシートがある
訪問看護でアセスメントをしたら記録を残し、次の対応をする看護師が何をすべきかを判断できるようにするのが大切です。ただ、わかりやすい記録を残すのは簡単なことではありません。訪問看護ステーションで共通使用するアセスメントシートがあるのが理想的でしょう。看護師が全員、共通のフォーマットを使っていればお互いに要点を理解しやすく、必要な情報はどこを見れば書いてあるのかがすぐにわかります。訪問看護師が職場を選ぶときにはアセスメントシートを用意しているところを選ぶと、アセスメントで苦労するリスクが低くなります。
まとめ
訪問看護師はアセスメントが難しいのは事実です。ただ、限られた時間で適切なアセスメントをおこない、看護を済ませるのは簡単なことではありません。施設の協力を得て簡単に看護アセスメントをできるようにするのが重要です。訪問看護ステーションでは個々に看護師をサポートする体制を整えているので、比較して安心できるところを選びましょう。
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