誰でも意識すればできる看護観察方法

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#2148 2023/04/03UP
誰でも意識すればできる看護観察方法
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患者さんをアセスメントするためには様々なツールがあります。私がお勧めするのはアメリカ心臓協会が推奨しているACLS(二次救命救急)です。経験が少ない看護師でも明日から使えるアセスメント学が盛りだくさんですし、自分が普段やっている部分の看護に対し視点を変えることで誰でもできます。

誰でも専門の看護師のようにアセスメントするためにはちょっとしたコツがあります。
そのコツを本日はわかりやすく教えていきたいと思います。
アメリカ心臓協会にはBLS(1次救命処置)とACLS(二次救命処置)があります。これは医療者であれば誰でも受講できるのですが、日本では受講料が高いからを理由になかなか受講しない傾向にあります。
このコースは教えるインストラクター次第ではとても有効な看護につながる技術を学ぶことができます。本当に日常に行っているアセスメントを意識するだけ見違えるようにケアや観察が違ってきます。

1:まずは一次アセスメントです。

何も難しく考える必要はありません。ぱっと見の印象で大丈夫です。外来や病棟で患者さんが具合の悪そうにしていたらどうしますか?と言われると皆さん声をかけると答えてくれます。その内容を分析するとパッと見る中で顔色、呼吸、意識レベルなどを瞬時に評価していることに気が付きます。その部分を少し詳しく見るだけでアセスメントは全く違います。
例):顔色が悪そうだ。少し話しかけてみよう。話はできるみたい。体に触れてみよう。手に汗もかいてるし少し手先が冷たいな。脈拍はどうだろ?速いかな?遅いかな?何か既往やこの状態に至るまでの経緯があるのかな?
など自分の想像はかなり広がっていきますよね。この部分がとても大切なんですよ。では上記の例を詳しく見ていきましょう。
顔色が悪そうだ=顔色不良。口唇の色。
話はできるみたい=意識レベルの評価。
呼吸数の観察。腹式か胸式か。胸の上がり方は左右同じか。
体に触れてみよう=四肢冷感チアノーゼ。
抹消の血管が閉まっていないか、冷や汗はかいていないか、頻脈か徐脈か。何か既往は=持病があるかないか、薬は飲んでいないか、薬剤やその他のアレルギーはないか。
などです。無意識のうちに皆さんは観察はできているのですが詳細を観察することを疎かにしているだけなのです。この部分を意識していくだけで様々な疾患を絞ることが出来ます。

2:次は二次アセスメントです。

ここからは少し専門性が高くなってくるので慣れるまでは自分のノートを使用したりポケットリファレンスカードを使用したりすることをお勧めします。ACLSコースでは二次アセスメントとしてABCDE評価。SAMPLE評価を推奨しています。では一つずつ見ていきましょう。BLSの一次評価と被る部分もありますがもっと詳しく見ていくという意識を持つことが大切です。

A:気道です。

呼吸をしているときに呼吸苦があるかどうか、喉元を見て腫脹などが見られていないかを観察します。目に見えるような異常が見られている場合は気道が閉塞しかかっている可能性があるので、気道開通の道具を用意することも考慮しましょう。NPA(鼻咽頭エアウェイ)、OPA(口咽頭エアウェイ)、挿管器具などを必要物品に思い浮かべることが大切です。

B:呼吸です。

胸の上がりが左右差ないか、ある場合は気胸などの胸部疾患も考えてトロッカーの準備やレントゲンのオーダーも考えなければいけません。聴診した時に呼吸の異常音が聴取できないかも大切です。それが上葉、中葉、下葉なのかもきちんと背部まで聴診して確かめましょう。もちろん患者さんの状況を観察しながらです。

C:循環です。

SpO2は正常値か、血圧は下がっていないか?脈圧は正常か、皮膚の色はどうなっているのか、脈拍は正常か不整はないか、脈圧は強いか弱いか。頸動脈の怒張は見られていないか。循環は全身状態を維持するのにとても重要です。
いつどんな状況にいたってもいいように点滴のラインをとったり1号輸液や生理食塩水などの準備も行なっておくと良いです。
徐脈であれば循環器にコール。万が一に備えてモニター付き除細動器を準備し経皮ペーシングも検討しなければなりません。
また完全に刺激電動系が断線していなければ硫酸アトロピン1mgも考慮する必要があります。最大3mgまで使用することができるというのも頭に入れておくと良いでしょう。
頻脈に対してはQRS幅が狭いのか広いのか?
リズムは規則的か不規則的なのかによっても治療がことなります。
サイナスタキやPSVT、AFLの場合は迷走神経刺激をおこなって見るのも良いです。修正バルサルバ法では40%以上で頻脈が取れるというデータもあるので十分試す価値はありそうですね。

しかし、循環動態を変動させる行為を行うわけですから不足の事態に備えておくことはとても大切です。安易に実施するのではなく人や物(救急カート)を用意してから実施しましょう。それが無効の場合はアデノシンを使用することができます。この薬剤は半減期がとても短く5秒程度です。
急速静脈注射しなければならないのでルートにも一工夫が必要です。それに後押しの生理食塩水20mlも用意することを忘れては行けません。またアデノシンは心リズムを一度止めてしまうので、投与された患者さんはとても気分が悪くなり嗚咽や意識喪失しかかる場合もあります。
薬剤投与前には患者さんにしっかりと薬理の作用副作用を説明することも大切です。これでも不整脈が良くならない場合には同期ペーシングという治療方法に移行します。経皮ペーシングと似ていますが胸にパットを貼り電気の力を利用して不整脈を取り除く治療方法です。
PSVT、AFLでは50J VTでは100J  AFでは150Jのエネルギー量を使用して治療を行います。これにはとてつもない痛みを伴いますので沈静をかける必要がありますが、患者さんの状態次第で緊急性が高い場合は鎮静薬なしでも使用することがあります。同期ペーシングでは機会がR波を検知してRオンTを避けるシステムをとっていますが、自分でもモニターを確認しR波の上に同期が来ていることを確認するのも大切です。

D:神経学的初見です。

こちらはAVPUスケールを使用するととても簡単でわかりやすいです。Aはアラートです。自分から発語があるか、状態を説明できるかなどです。Vはボイスです。問いかけに対して返答があるかです。Pはペインです。痛みや刺激に対して反応があるかないかを見ていきます。Uはアンレスポンシブ、反応なしです。こちらを素早く評価いて状態を観察しましょう。

E:全身状態です。

救急外来や病棟で状態が悪くなったときに見えている部分だけでなく全身状態を細かく確認しましょう。中にはオムツ内に出血があり状態が変動していた例もあります。全身観察を侮ってはいけませんよ。

続いてSAMPLEです。

S:自他覚症状です。いつどのような状態に陥ったのかを本人、家族、周囲の人に聞いて情報を収集しましょう。
A:アレルギーです。薬や食べ物、その他のアレルギーがないかを確認しましょう。
M:薬です。内服している薬をお薬手帳などを利用して確認しましょう。もちろん病院の場合はカルテですし、なければ本人や家族に聞くのも良いですね。
P:病歴です。ここ数年以内に治療しているまたは治療した疾患などを聞いておきましょう。
L:最後の食事量。この状態に至る直前で食べていた食事量を観察しましょう。内視鏡や挿管などの選択につながります。
E:イベントです。数ヶ月前や症状が出現するにいたった経緯などを確認しましょう。すると意外と何ヶ月前から症状が出現していたことも理解できます。

まとめ

いかがでしたか?普段行っている看護業務の中でもちょっとして視点を変えることととアセスメントツールを使用するだけでここまで詳細の情報を収集し分析することが出来ます。細かい観察を行うことで医師は治療方針を決定しやすくなりますし、患者さんの異常の早期発見にもつながります。難しいという先入観ではなく患者さんのためにという精神でぜひ自分の知識を増やしてください。

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