薬剤からアセスメントをおこなう

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#1843 2022/06/09UP
薬剤からアセスメントをおこなう
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地方の病院で看護師をしています。対応にあたる患者さんは8割以上が高齢者、いえ後期高齢者です。一般的に年齢を重ねるほど多種多様な疾患を経験しています。大腿部の骨折で入院された方が、「足が痛い…でも痛いのは一番痛いのは手首でで、これは20年前手術をしてからなの」などとお話しも多いです。多くの既往をもつ患者さんの全体像をつかみ、何が問題かをアセスメントしていくうえで、薬は無視できません。

「はじめにアセスメントとは」

看護にとってのアセスメントとは、患者さんから収集した情報を分析することです。
このアセスメント内容を、看護師間、また他職種間で話し合いすり合わせながら、私たちは日々看護に臨んでいます。
情報には主観的情報(SOAPでのS部分)、客観的情報(SOAPでのO部分)があります。
主観的情報は「痛い」「吐き気がする」など、患者さんが感じた、思った内容です。本人の主観、ということですね。
客観的情報は「採血データで炎症反応が上昇している」「腹部が膨満している」など、医師、看護師などが診察で得た所見や情報です。他者がみてわかる内容となります。
今回重要視する、使用している薬剤の内容についてはカルテやお薬手帳から得ることができる、客観的情報になります。
これらの主観的情報、客観的情報を分析することで、何が解決するべき問題なのか、どのようにアプローチしていくかを考えるのがアセスメントであり看護なのですが、
患者さんの疾患についての情報量は、問題が発生してからの期間が長ければ長いほど、さまざまに変化し他の問題とも絡み合うことで複雑化しており、全体像をはっきりととらえるのは一層困難となります。
アセスメントはしっかり情報を調べ時間をかければ、誰でもおこなうことが可能です。みなさんも看護学生時代、じっくり時間をかけ取り組んだのではないでしょうか。
しかしいざ就職すると、あわただしい業務の中、何時間もの時間をかけるのは現実問題として困難です。
そこで今現在処方されている薬剤に焦点をあてることで、全体像の枠組みを短時間で少しでもはっきりさせ、気にするべき問題を考えたいと思います。

「簡単な単純作業!辞書で使っている薬を調べるだけ!」

看護師の業務は多種多様です。多職種間での調整のメインは看護師でしょうし、病棟内の調整、改革などがあると、毎月のように新しいこと、新しい方法を覚えていかないといけません。少し病棟がかわると、診療科だけでなく時間配分までかえないといけないことも多いと思います。
めまぐるしく変化していく中で、入れ代わり立ち代わり、新しい患者さんの看護をしなければならず、臨機応変さが求められる職業です。
患者さんの全身状態も、またったく同じ人は二人となく、知識を総動員して毎日変わる状態を踏まえて全体像をつかむ必要があります。
その状態の情報収集の中で、簡単におこなえるのが薬剤の情報収集です。辞書を引いたことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。
お薬について調べるのも言葉や漢字、英単語を調べるのと同じように、薬の辞書を引くだけの簡単な作業です。
また辞書をひくことで薬の名前も覚えられ、覚えることで朝の情報収集の時間も短縮でき一石二鳥です。

「薬を調べることで何がわかるか」

高齢者社会の日本では、とくに高齢者の患者対応に当たることが多いと思います。
そして年齢を重ねれば重ねるほど、既往歴は増えていきます。
例えば定期受診の際に採血をした結果、血糖値が非常に高いことが発覚し入院となった人が、高血圧の既往があり、降圧剤など2種類3種類と複数の薬を内服していることもめずらしくないと思います。
この糖尿病の方を例にとってみたいと思います。
まず血糖のコントロールに対して、インスリン注射が処方されました。当然のようですが、これは主病名である糖尿病に対するもので、糖尿病の治療を開始したこと、
血糖値のコントロールを行おうととしていることがわかります。そのため糖尿病の症状に注意して観察しなければなりません。
また薬剤は治療に用いるものですが、毒と薬は紙一重であり、副作用や合併症に注意しないといけません。
インスリンを調べると、副作用として低血糖の症状にも注意しないといけないことが記載されています。調べることにより、さらに観察しないといけないことが、つまり注意するべきO情報がわかり、また血糖変動に注意しないといけないというインスリン使用開始に伴うアセスメントも一つおこなえました。
また看護にあたっていると、患者さんが頭痛と嘔気を訴えました。糖尿病の治療中なので血糖変動によるものでしょうか。
服薬、処方されている薬剤に降圧剤があるのを知っていたため、改めて血圧を測ると収縮期血圧が200台ありました。高血圧による症状の可能性が高いですね。
このように、今内服しているもの、処方されたものが何の薬かを知り、現病歴、既往歴などから何の疾患に対して処方されているかを照らしあわせれば、
必要以上に焦ることなく、注意しなければならないことが見えて冷静に対応することができます。

「処方がどのように変わっているかを見る」

薬の種類だけでなく、6Rの変化もアセスメントのポイントとなってきます。
予約原則の6Rとは、正しい患者、正しい薬剤、正しい目的、正しい用量、正しい方法、正しい時間のことです。
どの薬剤を投与する際も、この6つを正しく行わなくてはいけません。
上記で高血糖で入院した患者さんのインスリンの投与量が増えていたらどうでしょうか。当初の投与量では血糖コントロールがおこなえず、今現在も一層注意が必要な状態であることが予想できます。
またインスリン量が減っていたらどうでしょうか。血糖がおちついてきていることが考えられますし、薬剤療法以外に食事療法や運動療法が組み合わさることで血糖がさがりすぎるリスクも考えられます。
また投与の時間が食後になっていたらどうでしょうか。インスリン注射など血糖降下剤は種類にもよりますが食直前に使用することが多いです。
それが食後に投与するように指示がでていたら、この患者さんは食事摂取量が安定していないから食事摂取量をみてから判断しないといけないのだろうか、
それなら食直後の時間は一層患者さんに注意を払っておかないといけないなど、注意するべきことが更に分析できますね。

「今、何が問題なのか」

私は今まで複合病棟での勤務経験が一番長いです。現在努めている病院では、看護の対象はごく一部の例外を除いて高齢者ばかりです。
この複合病棟は回転率が非常に高い一方、ADLの低下から自宅に帰るのが困難で、療養病棟や施設との調整が困難な場合には数か月入院している方もいます。
数か月入院しているうちに、入院した際に診断がついた主病名とは別の問題が発生する患者さんがいます。
そのような患者さんを入院数か月目にもった際に、「これで入院したから」と主病名だけ考慮し一部分のみアセスメントするのはどうでしょうか。
これではなんらかの異常が発生した際に、早期発見、早期対応におくれてしまうだけでなく、重症化するまで気が付かないことが多いです。
薬剤の投与で状態が安定している方は多数いますが、薬剤治療を継続しなけらば状態が不安定であるともいえます。
薬剤を確認するだけで、最低限考えないといけないことがみえてくると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今までの部署を移動し、診療科が異なるだけで考えることががらりと変わってしまいます。業務やアセスメントに慣れないうちは、ただ薬剤、内服薬を調べるだけでも、主治医がどのような考えで介入しようとしているかがおおまかにつかむことができます。また薬剤に詳しくなるだけで、朝の情報収集の時間もうんと短縮できますよ。少しずつ慣れていけるといいですね。

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