初めて抗がん剤治療を行う患者さんに対するアセスメントのコツ

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#1405 2021/04/03UP
初めて抗がん剤治療を行う患者さんに対するアセスメントのコツ
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初めて抗がん剤治療を開始するには、患者さんの認識の確認と、同意が必須です。看護師は、患者さんの治療の意向をアセスメントします。患者さんに合わせた援助をし、治療が開始できるように促します。
治療開始時は、注意点も踏まえながら治療をすることが必要です。

私は、総合病院の入院病棟と外来の勤務経験があります。外来では、化学療法室に配属されていました。今までに携わった診療科のがん患者さんは、消化器内科・外科、乳腺外科、婦人科、呼吸器科、血液内科、泌尿器科などです。病気や治療に対する苦痛や不安の軽減に寄り添う看護の提供をしてきました。抗がん剤治療は、長期に及ぶ治療です。患者さんに対して、最初の説明や対応の仕方などが看護のポイントになります。そのため、初めて抗がん剤治療を行う患者さんに対するアセスメントのコツについてお話していきます。

(抗がん剤治療の印象)
10数年前の抗がん剤治療は、ネガティブな印象が強くありました。
・吐き気が強くて、食事が食べられない、そして痩せていく
・だるくて辛い
・髪の毛が抜ける
・手足のしびれが辛い
・治療方法は点滴
悪いイメージが先行している治療と言えるでしょう。
(抗がん剤治療について)

現在の抗がん剤治療は、10数年前とは異なり、変化しつつあります。
・治療の種類は主に3種類で、点滴・注射・内服です。どの治療法も、薬剤の種類が増えました。
・疾患によって使用する抗がん剤は、異なります。同じ疾患でも病態によっては、異なる抗がん剤を使用します。つまり、患者さんによって使用する治療薬は違います。
・抗がん剤地領は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも作用する働きがあります。そのため、吐き気や脱毛などの副作用が生じます。
数年前から、分子標的治療薬の使用が開始されました。この治療薬は、がん細胞のみに作用をするので、比較的、副作用が少ないです。
抗がん剤の副作用を予防する治療薬も開発され、吐き気の出現は少なくなりました。
・抗がん剤治療の点滴は、初回投与時は入院することが多いです。2回目以降、治療薬によっては、通院にて実施することもできます。治療の間隔や期間は、治療薬によって異なります。

(患者さんの治療に対する認識の確認)

患者さんは、医師から抗がん剤治療を勧められ、インフォームドコンセントの基、治療が開始となります。看護師は、抗がん剤治療が開始する前に、患者さんの認識などについて聞き取りを行い、アセスメントが必要です。

初めて抗がん剤治療を受ける患者さんにみられる傾向について、例を5つ挙げます。

①医師から治療を勧められたので、治療同意書にサインをしています。治療の意欲はあるが、どんな治療なのか、理解していません。
②患者さん本人は、抗がん剤治療に消極的です。家族は、抗がん剤治療に意欲的であり、治療同意書にサインをしています。
③説明を受けたときは治療に同意をしたが、不安が強くてどうしたら良いか分からない状態です。
④抗がん剤以外の治療法について知りたかったけど、医師に質問できませんでした。
⑤治療は受けたいが、費用の支払いができるか不安があります。

患者さんと家族は、治療前に医師から説明を受け同意書にサインをし、その後治療が開始します。患者さんと家族は、「医師に質問をしたいけどできないこと」や「その場では同意書にサインをしたが、治療に迷いがある」などがあります。
看護師は、患者さんが抗がん剤治療に対して、どのように受け止めているかを確認し、アセスメントします。そのことに対し看護師は、個別性に応じた患者さんの対応を行うことが必要です。

上記の①から⑤に対して、看護師はどのように対応したら良いのか、それぞれお話していきます。
①患者さんは、治療に対しての意欲はみられますが、抗がん剤治療についての知識が乏しい様子です。治療の方法(点滴・注射・内服)、時間、サイクル、副作用についての説明が好ましいでしょう。
患者さんに、治療の分からない点を聞くことも大切です。そして、患者さんが不明な点を答えましょう。
②家族は抗がん剤治療に意欲がありますが、患者さんの意欲が消極的です。まずは、患者さんがなぜ治療に消極的なのか、理由を聞いてみましょう。看護師は、その理由に応じた対応をしましょう。理由に挙げられることで多いのが、「不安が強い」「治療自体がやりたくない」などがあります。看護師は患者さんの気持ちを理解し、状況に応じて家族や医師にも相談してみましょう。
③患者さんの不安が強いので、どのようなことが不安なのか具体的に聞いてみましょう。看護師は、患者さんの不安に対する気持ちに寄り添うことが必要です。
④看護師は医師へ「患者さんが抗がん剤以外の治療が知りたい」と発言していることを伝えましょう。そして、治療のことなので医師から患者さんへ説明してもらいましょう。
⑤治療費に関しては、看護師ではなく、ソーシャルワーカーに対応してもらいましょう。ソーシャルワーカーは、医療費の相談を受け付けています。看護師は、ソーシャルワーカーへ連絡をし、対応を依頼しましょう。

抗がん剤治療を受ける前の患者さんへの対応について紹介しました。あくまでも対応の方法の一部なので、参考にして頂けたら幸いです。
稀にですが、抗がん剤治療の同意書にサインをするも、治療を断固拒否する患者さんもいます。その場合、患者さんの意向を医療者は受け止めましょう。現在は、患者さんが治療を選択する時代です。同意書にサインをしても、患者さんが拒否できることも考慮しましょう。

(はじめて抗がん剤の点滴治療を開始するために)

患者さんから抗がん剤治療の同意が得られると、治療が開始できます。
今回は、初めて点滴の抗がん剤治療を受ける流れについて、お話します。
初回の抗がん剤治療は、入院にて実施することが多いです。その後、1~3週間に1回程度の治療は、外来通院にて実施することもあります。治療のサイクルは、疾患、病態、薬によって異なります。

・治療開始前

必ずバイタルサインの測定と、体調の確認をします。
治療開始前に排尿を促します。
治療に関する注意点を説明します。
<説明内容>
※気分不快、点滴の挿入部の疼痛・発赤・腫脹などは、すぐにナースコールで知らせる。
※異常の早期発見のため、トイレ以外は病室で過ごす。
※トイレに行くときは、点滴のラインに気を付けて行く。
※分からないことや不安なことについてその都度聞き、対応する。

・治療開始後

医師の指示に沿って、バイタルサインを測定し、看護記録に記載します。
正確に投与できるよう、時間管理をします。
病室に訪室ごとに、点滴の挿入部の観察と全身状態の観察をします。
居場所の確認をします。

・治療終了後

治療終了後も医師の指示に沿って、バイタルサインの測定をします。
治療終了後に気分不快が生じることもあるので、様子観察をします。
何かしら症状の出現がないか確認します。

・初回の抗がん剤治療の注意点

初回の抗がん剤治療は、アナフィラキシーショックが出現するリスクが高いです。そのため、初回は入院治療をすることが多いです。気分が悪くてナースコールで訴える患者さんもいれば、急に具合が悪くなり訴えることができない患者さんもいます。病室に訪室したら意識レベルが低下していたこともあります。稀にですが、2もしくは3回目の治療でもアナフィラキシーショックは起きることもありますので、注意しましょう。

初めての治療なので、患者さんの不安が見られます。治療中は、バイタルサインの測定や点滴交換だけでなく、治療の状況を説明しつつ、患者さんの気持ちをくみ取りながら対応しましょう。

他の患者さんのことが気になる方もいますので、患者さんによって、副作用の症状は異なることを説明しましょう。そして、副作用の出現しやすい時期も説明しておくと良いです。はとてもいいことですね。

まとめ

初めて抗がん剤治療を行う患者さんにフォーカスを絞りました。抗がん剤治療は、長期に及び尚且つ苦痛や不安も生じる治療なので、治療開始前の対応がポイントとなります。看護師は、抗がん剤治療に対する患者さんの認識を確認することが必要です。患者さんに合わせた対応を治療前に行い、治療を開始できるよう援助します。初回の抗がん剤治療は、不安や副作用の出現がしやすいので注意しましょう。1人ひとりの患者さんに合わせた看護の提供をし、抗がん剤治療が継続できるように見守ることが大切です。

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