手術室看護師として働くことの難しさとやりがい

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#1246 2020/10/30UP
手術室看護師として働くことの難しさとやりがい
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手術室看護師といえばドラマなどに描かれる「メス」「汗」などの医師からの指示を忠実に実行する姿をイメージするかもしれません。本記事では実際の手術室看護師の業務や、メリット・デメリットなどについて解説します。

それでは手術室看護師になる方法について解説します。

・手術室看護師として働くための必要な免許、資格

まず手術室看護師は看護師免許や准看護師資格があれば誰でもなることができます。保健師や助産師のように手術室だけに特化した看護師資格はありません。また、新卒者でも既卒者でも手術室で働くことができます。「手術看護認定看護師」という日本看護協会による認定資格は存在しますが、これは手術室での3年以上の経験を有する看護師が指定された教育機関でコースを修了し、さらに試験に通って初めて認定されます。認定看護師は管理職などに就く場合はあった方が良いでしょうが、単に「手術室で働く」というためであれば必要ではありません。

・手術室で働くメリット、デメリット

大学の看護科や看護専門学校では病院実習があります。病院実習では様々な診療科や施設を経験します。その中で「手術室実習」はほんの1、2日だけです。周手術期を学ぶ上で
術前や術後の病棟での実習がメインであり、手術についての勉強はほとんどしていないと思います。したがって、手術室看護師として働く場合、残念ながら「学校で学んだ看護」はあまり活かせないかもしれません。これはほとんどの新人手術室看護師が感じることです。また、手術室は特殊な技術も多いため、経験を積んだ手術室看護師でも病棟に異動となると途端に経験が役に立たないということもあります。
しかし、一度手術室を経験すると「他の職場の手術室へ異動が容易」というメリットもあります。手術で使用する器械や術式などはほとんど同じです。そのため、病院などが変わっても即日戦力となって働くことができる可能性が高いです。手術室はハードルが高いと思われているからか人手不足となっていることが多く、就職先を見つけやすい利点もあります。

・手術室で働くための適正

手術室は病棟と比較すると閉鎖的な空間と言われます。ほとんど決まった職員しか出入りせず、患者様やその家族から見えないことが多い分風通しが悪い、職員同士の関係が耐えられないということもあります。職場によっては全看護師が全科を対応することもありますが、大きな病院などではチームを固定している場合もあります(心臓外科チーム、脳外科チームなど)。そのため手術室で働くには、ほとんど固定されたメンバーと長期間同じチームで働くことが合っているという人がよりスムーズに適応できるでしょう。

・手術室看護師の業務と必要な勉強とは

手術室看護師の業務は大きく分けて二つあります。

一つ目は、「直接介助」です。器械出し看護師や手洗い看護師などとも呼ばれます。おそらく最もイメージされやすい手術室看護師の姿ではないでしょうか。直接解除の業務は、手術で使用する器械を「最初から最後まで」管理することです。まず、自分が担当する手術で必要となる器械を集めることから始まります。そして清潔に器械を展開し、手術前には全ての器械が台の上にいくつ載っているか、ガーゼが何枚あるか、針が何本あるか、などを確認します。必要があれば2人以上で数えます。そして手術中はもちろん手術後にも器械に以上がないか、ガーゼや針が全て元どおり揃っているかなどを何度も確認します。また、手術の進行によっては必要な器械が変わってくることもあり、その都度必要な物を台の上に出して行くため、長時間になればなるほど非常に難しくなります。ただ医師に言われた手術器械を手渡すだけではなく、常に安全管理の意識が必要となります。直接介助をする上で必要な知識は第一にやはり解剖です。そしてほとんどの手術室看護師にとっての第一の難関である器械・機械の名前と使いかたを覚えることです。手術室にはどれくらいの機械があると思いますか?おそらく正式な数を答えられる看護師はいないのではないでしょうか。その数は何千とあります。一つの手術で使用する器械だけでも百を超えるものがあります。これが手術によって使用する器械が違ってきます。これをすべて把握しなくてはならないのです。頭が痛くなるような話ですが、手術室看護師はこれを乗り越えなければなりません。そして器械だけでなく術式についての理解も大切です。手術は教科書通りに進行することもあれば予定が変わることも多いです。「執刀医が何をしているか」ということを考えながら次の器械を準備できることが手術の進行をスムーズにし、ひいては手術を受けられる患者様の負担を減らすことにも繋がります。

二つ目はの手術室看護師の業務は「間接介助」です。外回り看護師とも呼ばれます。間接介助は手を洗ってガウンを着て手術の介助をするのではなく、直接介助の看護師が必要な器械を台の上に追加で出したり、ガーゼや針などを一緒に数えたり、また局所麻酔の手術などでは手術中のバイタルサインの管理などを行います。間接介助は、看護師、執刀医、第二執刀医、麻酔科医、検査室、病棟看護師など、すべての手術に関わる職員と連携をとります。間接介助は幅広い対応力が必要となるため、一般的には間接介助の方が経験を積んだ看護師が行うことが多いです。間接介助を行う上で必要となる知識・技術は、手術を受けられる患者さまの手術へのリスクやバイタルサインの異常、麻酔薬などによる身体への影響などから、点滴や手術検体の性格な取り扱い(ホルマリン漬けか生検体かなど)、また輸血の管理などもあります。そして「万が一」が起こった場合の対応です。手術や麻酔は年々改善され、安全になってきていますがやはり危険はつきものです。様々なシチュエーションがありますが常に最新の情報にアップデートしておくことが大切です。

・直接介助と間接介助以外の業務

まず第一に掃除と器械の洗浄です。手術室には清掃専門の業者が入っていることもありますが、時間外などは基本的に手術室看護師が行います。そして次に機械の管理も同様です。日中は外部の委託業者が入っていますが、夜間の緊急手術などでは自分たちで片付けて自分たちで器械を洗浄します。また、滅菌や消毒なども業者がいない時間帯は必要になります。また、多くの職場ではそれぞれの診療科の担当係を配置しています。例えば外科係であれば外科の手術の手技書(手術の進行や必要な器械をリスト化したもの)を作成したり、外科で使用する衛生材料を注文したり器械などのメンテナンスを行ったりします。そして術前訪問や術後訪問など手術を受けられる患者様の情報を収集・評価を行うことも手術室看護師の重要な役割です。

・手術室看護師と病棟看護師の違い

手術室と病棟の業務は全く違います。そのため、病棟勤務の経験がある方が手術室配属となると業務の違いに戸惑いますし、手術室から病棟へと異動となった場合は新人看護師のように何もできないと感じることもあると思います。しかし、これはおそらく他の部署でも同じことでしょう。外科と内科、小児科と産婦人科など、病棟による特色があると同じ「病棟」というくくりでも「全然違う」と感じることも多いのではないでしょうか。手術室も病棟も看護の根底には「患者様の安全を守る」「患者様の不安を取り除く」などの目標があります。そのアプローチする方法はそれぞれ違いますが、治療を受けられる患者様から見ると病棟看護師も手術室看護師も同じ「看護師」です。個人的には、「周手術期看護」を学ぶ上で病棟も手術室も経験することは非常にプラスになると思います。

まとめ

手術室看護師は言うなればチームの潤滑剤です。執刀医でも麻酔科医でも、手術はどんな天才名医がいてもそれだけでは成り立ちません。手術室看護師の細やかな配慮があってこそ医師もスムーズに仕事をすることができます。山のように覚えることがあり、憧れだけではできないと躊躇することもあるかもしれません。しかしやりがいは非常に大きいです。ぜひ手術室で働くことを検討してみてください。

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