訪問看護師に求められるもの

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#1642 2021/11/24UP
訪問看護師に求められるもの
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訪問看護師は在宅に行く仕事。高齢になっても、病気を持ちながらも在宅生活を続けるということは、住み慣れた家で、家族に見守られ、楽しく生活をするということにつながると想像できる場合もありますが、そのような方がすべてではありません。

中には、本人は在宅生活をしたい、でも家族は介護疲れしているという場合も多いです。また自宅でネグレクトや虐待に近いのでは?と思われるケース、8050問題に直面しているお宅もあります。そのような状況の中で訪問を続ける訪問看護師に求められるものはどんなものか?ということをここでは紹介していきたいと思います。

 

訪問看護師に求められるのはタフさ

 訪問看護師を経験して言えること。それは何においても一番重要なのは、タフであることです。タフとは、強靭で簡単にはへこまないことをいいます。これは体力的にも精神的にも共通していえることです。

それでは一つ一つの項目についてみていきましょう。

 移動面について

 訪問看護では、一人の看護師が一日5~6件のお宅を訪問をします。7つ道具が入っている重い訪問バックを持ちながら、車での移動を繰り返します。安全運転を心掛けるために、時間的に余裕をもって訪問を調整していますが、訪問中に突発的なことで時には時間が押してしまい、焦りが出ることもあります。 

また私たちは毎日決められた訪問をただこなすというだけではありません。時には緊急の連絡があり、予定されていた意外に急遽訪問することもあります。また主治医の元を受診するというときには、同行することもあります。このように急にルートがかわること、あまり慣れていないところに行くこともあるのです。

 移動には車が必須ですが、運転に焦りは禁物。事故につながることもありますから。そのため、常に安定した精神力と集中力が必要ですし、何よりも予測不能なことが起こった時にも対処できるような段取り力が重要だと思います。

 環境面について

 私たちが訪問する家は、本人にとっては住み慣れた環境であり快適であっても、私たち看護師にとって快適とはいえないところもあります。

 例えば、高齢者は皮下脂肪が薄くなっているし、筋肉量も少ない。そのため、夏の暑さに鈍感になっており、夏場でも扇風機すらつけず過ごしているお部屋もあります。また自力で窓まで移動することが出来ないので窓を開けることもできないずっと窓は締め切ったままというお宅も少なくありません。 

私たちの仕事の中には、環境整備という大きな役割もあります。部屋の換気をしたり環境を整えたり。しかし利用者の家なので、それほど踏み込んだ環境整備はできません。普段は、せいぜい換気をしたり、目につくゴミを捨て、寝具を交換する程度。。

 暑さの中、私たちは汗だくになりながらケアをすることも多いです。感染対策のためにマスクをしていると息苦しさもあります。不快感はありながらも処置に集中し、そんな環境にも慣れたらどうってことないと思えるタフさが必要なのですね。

 上記では、換気が出来ないことによる部屋の暑さに注目しましたが、時には目に染みるほどの排泄物臭を感じるお部屋で生活をしている利用者もいます。どんなにポータブルトイレをきれいにしてオムツ交換をしても、もう畳やカーペットに臭いが染みついているのです。

また自分でオムツを変えることもできず、家族の介護力も不足しているのに金銭的な理由から訪問介護の利用は最低限。そのため、私たちが訪問する一日一回が唯一のオムツ交換という人も。そんな中、私たちはケアをするのです。臭いは目に染みます。マスクをしても臭いが残る中、ケアをし続けることが出来る、そんなタフさも必要なのです。

 ペット問題も深刻です。利用者は自由に移動することは出来ない、しかし反対にペットである犬や猫は自由に家の中を動き回っているということもあります。気をつけなければペットの排泄物を踏んでしまうということもなきにしもあらず。ちょっとショックですが、訪問看護師あるあると笑い飛ばせるくらいのタフさがなければやっていけないなあと感じています。

 会話面

 誰かから、不安や不満を訴えられたら、どのように対処しますか。傾聴するということが基本になりますが、不満や不安を聞いていると、どのように対応していいのかわからないと思うことも多いのではないでしょうか。

 そんな時、相手のいうことに共感しながら傾聴することを心掛けますが、心の奥底では共感したところでどうなる?と感じることも少なくありません。ただ利用者もそれを解決してほしい、解決できることではないと思いながら、ただ話をしていることもあるのです。そのため、内容によってはただただ傾聴することに努めることもあります。 

ただし在宅では、ナースコールもならないし、利用者が満足するまで話続けるということもあるため、予想外に話が長くなってしまうことも。根気強く聞くというタフさが必要です。

 利用者の中には認知症の人も多いです。そんな利用者から、毎日同じことを聞かされることもあります。しかし、それ前に聞いたよと思っても、毎回フレッシュに反応し会話のキャッチボールを続けることも大切だと考えています。 

会話の中では決して否定もせず、ただただ聞き流すということも大切です。しかし、時には会話の中から「あれ?ちょっとおかしいぞ」と思うこともあります。それを拾い上げながら、ケアマネなどと情報共有し、次の支援につなげていくことが大切だと考えています。

 会話の中で避けては通ることが出来ないのが性的な発言です。

自宅にいる利用者はリラックスしています。そんな中、自分よりも年齢が若い看護師の女性が自宅に訪問してくるのです。(訪問看護師の中には男性もいますが、以前としてやはり女性看護師のほうが多いです)

時には、性的な発言をする利用者もいます。これは私たち訪問看護師だけにかかわらず、訪問介護でも問題となることもあり、私たちの悩みの種になっています。

 しかしながら、その根底には、認知症や精神疾患というものが少なからずあるので、それを理解して対応しなくてはいけません。利用者宅への訪問期間が長くなると、次第に信頼関係も出来てきますし、相手がどんな利用者かということは次第にわかってきます。しかしながら、油断は禁物です。

相手の疾患を理解すること、そしてもしもの場合は、すぐに対処できるように、一定の距離を取ること、また訪問したときには逃げ道を確認することなど、常に考慮しておくことが重要です。

 精神面

 訪問看護師をしていると、気分が沈む出来事もあります。看取りが近づいているという利用者のお宅を訪問するときは、大丈夫かな、あとどれくらい頑張れるだろうと不安になります。また物とられ妄想が強い認知症の利用者の自宅に行っただけで、物を取ったといわれてしまうこともあります。また訪問時は不在だった家族からの問い合わせで、対応に振り回されるということもあります。

 そんななかでも次の利用者の訪問は待ってはくれません。私たちはなるべく訪問予定時間がずれないように訪問する必要があります。そんなとき、前の利用者との出来事をずっと引きずっていては、集中して仕事が出来ませんね。そのため、気持ちの切り替えを早く行うことが重要なのです。

 気持ちの切り替えというのは簡単にできないこともありますね。しかしこれまでの経験から、何事も集中すれば大丈夫という思いがあります。それはその出来事を忘れてしまうわけではありません。目の前のことに集中していることでその時間は気にならなくなるというのが一番適切な表現でしょうか。

 すべての訪問が終わった後に、ステーションで情報交換や雑談をするときに、今日はこんなことがあったとみんなで言い合うのが、自分だけでため込まず気分の切り替えをすることが出来る一つの方法になっています。

まとめ

ここまで訪問看護師に必要なタフさについて紹介しました。在宅の環境により対応は異なりますが、やはり訪問看護師ってタフでなければやっていけないなと日々実感しています。是非参考にしてみてください。

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