大学病院で働くには?大学病院の特徴やメリットとデメリットについてもお伝えします。

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#1107 2020/06/15UP
大学病院で働くには?大学病院の特徴やメリットとデメリットについてもお伝えします。
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皆さんは、大学病院で働くことについてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
大学病院の看護師になるために必要な事や特徴について知りたい、という方もいるのではないでしょうか?
実際に大学病院に勤めてわかった、メリットとデメリットについてもお伝えします!

・大学病院で働くには?

大学病院で働くためにはどんなことが必要なのか?その答えを知るには、まず初めに、「大学病院」がどのような病院なのかを知る必要があると思います。

大学病院というものは、教育 、臨床 、研究 を担う役割がある病院のことです。文部科学省の管轄であり、さらに医療行政全般は厚生労働省の管轄でもあるため、これら両者の影響を大きく受けます。
その病院に看護師が勤めるとどうなるのか!?というと、やはり、「教育研究」に力を入れている、というところが大きい特徴でしょう。
看護師としての仕事のほかに、それらの責任を果たす責任があるのです。
例えば看護師の育成に力を入れる、看護研究を行うことです。
私の勤めていた大学病院では、新人教育・中途採用者への教育・管理職の育成・看護研究・学会での発表・発表会への参加…等が求められます。
大学病院の特徴を知らずに入職すると「こんなに課題があるとは知らなかった…」
「病棟の業務以外に教育や研究を同時進行する事がこんなにも大変だとは…」と思う人もいると思います。

また、他の特徴として「特定機能病院」という役割を担う大学病院も多いと知っておくと良と思います。
厚生労働省のホームページによると、「特定機能病院は、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院である」とあります。また、趣旨については「高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する 
研修を実施する能力等を備えた病院について、厚生労働大臣が個別に承認するもの。 」とあります。なお、特定機能病院86病院中79病院もの病院が、大学病院だそうです。
殆どの大学病院が特定機能病院という事です。
特定機能病院と承認される条件の具体例としては、高度な医療の提供や研究、他院から紹介された患者に医療を提供する事、400床以上の病床を有すること、人員配置 ・医師は通常の2倍程度の配置が最低基準。医師の配置基準の半数以上がいずれかの専門医、看護師等は入院患者数÷2が最低基準。(一般は入院患者数÷3)集中治療室、無菌病室、医薬品情報管理室が必要であること、原則定められた16の診療科をもつこと等でます。(詳細は厚生労働省のホームページ)

これらより、大学病院で働くということは、以下のような特徴があります。
・「大学病院でしか治療ができない疾患や治療」を持つ方が多い
・他院から紹介状を持って紹介受診する患者さんが多い
・人員配置も通常の入院患者より多めに設定されており、手厚い看護・専門性の高い看護が求められる


ここまで、大学病院に勤めるために前提として「大学病院とは何か」という事を知る必要がある事をお伝えしました。
ここから、それを知ったうえで私たちはどのように大学病院で勤めれば良いか記載していきます。

まず前提として、「大学病院は教育や研究を通して医療・看護の発展を担う人材を求めている」という事を理解する事です。
入職の面接時などでは、大学病院の目指す指針に沿った動機を述べられるよう準備し、更には教育研究などにも携わる意識や意欲を伝えられるとより「大学病院の特徴を理解している」と評価されるのではないかと思います。
入職後新人看護師は、指導される事だけに視点がいきがちですが、実は、教育者側もより良い教育プログラムについての方法を研究し、指導者側も学び続けているのです。

また、どうしても負担と感じやすい「看護研究」についても情報を得ておくと良いです。
大学病院に入職する看護師は、誰しも初めから「〇年で退職・転職する」などとプランを決めて入職するわけではないと思います。
しかし、私の同僚の中には、研究を行いたくない人も何人かいました。「何年目に研究が必須となるから、その前に転職するつもりだ」と言っていたと思います。
それだけ、看護研究はハードルが高く、苦手意識を感じる人が多いというかもしれません。ちなみに、退職届の内容を尋ねると、「大学病院で基礎を作ったため次のステップアップをしたい」「ライフワークバランスのため」等という理由で他の病院に円満転職したようです。
研究は必須か任意か?どのくらい負担か?といった実際のところを、その病院の先輩やOBに聞ければ良いと思います。
これらを勘案して、自分の希望に合致していれば、その大学病院を就職先として選択肢に入れて良いと思います。
大学病院は受けられる教育の質も高いですが、自分がそれを次の世代に還元する立場も担っている事を理解しておかなければ、長く勤める事を大変だと感じるかもしれない、と思います。

・次にメリットとデメリットについて述べていきます。

まずデメリットを2つお伝えします。
1つ目は、「専門性が科ごとに分散され、担当分野以外の看護技術・知識が得にくい」という事です。
こんな話を聞いたことは無いでしょうか。「大学病院の看護師は採血ができない。」
私の病院では看護師が採血を多く担当しており、中には医師よりも採血等が上手な人が沢山いましたが、大学病院の中には、研修医が採血を経験のために採る決まりを設けている所もあるようです。
私個人の反省点としては、「人工呼吸器が扱えない」ことが挙げられます。自分が所属していた消化器内科に関する知識・技術はありますが、人工呼吸器を扱った経験は数回しかありません。もし、対象患者さんがいたらICUや呼吸器内科・外科に転科するのが普通でした。
冒頭でお伝えした通り、特定機能病院として機能が細分化されており、各部門のそれぞれが高い専門性を持つので、触れる事の少ない他分野の知識・技術が得にくい環境ともなりうるのです。

2つ目は「特定機能病院という位置づけにより、看護師の業務負担も生じうる」事です。
研究・教育指導等が負担となりうる事は、冒頭で前述しました。また、難しい症例への対応・専門性の高い看護をその配属先で極める必要もあります。
もし希望でない科へ配属となった場合、その事について負担を感じる事もあるかもしれません。
大学病院は臨床研究も行うことがよくあるので、前例が少ない新しい新薬を試みており、その病院特有で力を入れている治療・疾患等の勉強もその都度必要になります。
すべき勉強の内容もレベルが高い、と感じる人も中にはいるかと思います。
また、特定機能病院の役割を果たすため、入院日数が長くなりすぎないようベッドコントロールをしなければなりません。
できるだけ、そのレベルの高い医療を提供するため、多くの患者さんを入退院して治療ができるよう努めることが求められています。
そのため、医師がこれ以上大学病院で治療する必要性がない・治療することが出来ないと判断された場合は、転院または在宅療養などに移行することも多いのです。
看護師として具体的に何が必要かというと、介護保険の申請の案内や担当ケアマネージャーとの連携、看護情報提供書(看護サマリー)の作成、治療と疾患の管理を自宅・施設等でも継続できるよう家族や今後関わる医療者に指導・退院前カンファレンスを調整する…等といった細やかな仕事が求められる科もあります。最近は高齢化が進み、がん患者さんも医療の発展により癌とともに生き、在宅や施設などで療養するケースも増えました。
有事の際は大学病院で治療するなどのフォローをするので、その時にも受け入れられるようにしなければなりません。
大学病院・特定機能病院という機能を果たしながら、現代の日本の医療の現状にも柔軟に対応することは実は結構大変なことなのです。

次は、メリットについて4つ述べていきます。

1つ目は、「自分の高めたい専門性を学ぶことが出来る環境が整っている」ということです。
こちらについてはデメリットについて触れた部分でもあるのですが、それぞれの科が細かく分かれ、それぞれ専門性が高い環境にあるため、疾患・治療の理解や看護の専門性が高められるという特徴があると思います。これはメリットでもあると言えます。
また、ある分野で認定看護師・専門看護師になりたい場合、条件が色々と設定されています。臨床経験〇年以上というだけではなく、指定の科で〇年以上、という条件があり、その資格を維持するためには年間で論文や症例発表などが必須と設定されていることもあります。
また、病院によっては院内の認定看護師というものも存在します。こちらは院内においてのみの認定看護師という位置づけですが、もし自分が高めたい分野であるのなら、かなり魅力的であると思います。
また、大学病院は大学と隣接していることも多いので専門性の高い文献等も探しやすく、認定看護師や専門看護師の先輩も多く働いているので、ケアの方法などに迷ったときは、直接話す・相談する事もできます。いつでも勉強できる環境が整い、臨床で直接それらの先輩の行動を見て学ぶことが出来る事は、とても有意義だと思います。

2つ目は、「業務が細分化され、専門家が多くおり、医療コメディカルの存在も多いことから看護業務に専念しやすい」ということです。
医療コメディカルとは、簡単に言うと医師・歯科医師以外の医療者のことを示し、看護師もその中に入ります。
医療に携わる様々な専門性を持つコメディカルスタッフ達が大学病院には多く存在します。それらコメディカルが連携することにより、充実かつスムーズに治療ができます。
例えば、理学療法士、栄養士、ME、臨床検査技師、などの人数が多く、SPDや補助者、滅菌室のスタッフなど…それらが連携・機能していることで、
仕事がスムーズに感じられることも沢山あります。
マンパワーが多い、それによって看護業務に専念できる、と言えると思います。

3つ目は、「質の高い教育を受けやすく、自分も教育者として研鑽できる」という事です。
こちらもデメリットとして挙げたことでもあるのですが、看護師はじめ医療の発展に力を入れている機能を持つため、新人教育が緻密で質が高い事が多いようです。
課題も沢山出ますが、それは自分にとっての成長もできますし、自分が数年後に指導者となった場合は指導者としてその課題を添削することになります。
看護師のスタートは先輩方から手厚く指導を受けられるシステムが構築されており、そしてそれを後輩に指導する力も身に付く、とても魅力的な看護師の育成スタイルだと感じます。

4つ目は、「プライベート面で得られる恩恵が多い」という事です。
大学病院の看護師の人員配置は、一般の病院より多い事は前述しました。これは、仕事上のみならずプライベート面でもメリットが多くあります。
例えば、人員が多い事で、交代制勤務のシフト調整がしやすい事があります。人員が多いと希望休が通りやすく、勤務交代もしやすくなります。
別の視点としては、同僚が多くプライベートでも友人のように関わることが出来る人が自然と増える事です。同世代の友人も見つけやすいでしょう。小さな病院ではこうはいかない環境もあると思います。私は同僚の中に親友と呼べるような方が数名できたので、同世代も多く在籍するような大きな病院に勤めることが出来て、本当に良かったなと思っています。
気晴らしはとても大事なので、とてもいい環境にあると思います。
人間関係にストレスを抱えながら働くことはとても大変だと思うので、ある意味大きな病院でいろんな人と関わることが当然の病院であれば程よい距離間で様々な人と関わることができるのではないか、と個人的には思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
大学病院の特徴とメリット・デメリットについてご説明しました。
大学病院というものは大きな組織であり、その特徴的な役割ゆえ、メリットもデメリットも存在します。
しかし、個人的には、教育が充実し、医療職のマンパワーが比較的多いという事は本当に良い点だと思います。
その大学病院によっても少しずつ異なるので、就職先を決める際などは、自分が勤めたいと考える大学病院ごとに詳しく情報収集されることをお勧めします。
少しでも参考になれば幸いです。

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