導尿・膀胱留置カテーテル挿入を安全に簡単に留置するコツ

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#667 2019/04/23UP
導尿・膀胱留置カテーテル挿入を安全に簡単に留置するコツ
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病棟にお勤めの看護師さんは、1度は導尿や膀胱留置カテーテル挿入を経験されていると思います。そんな時、特に男性は前立腺肥大などあり高齢者では何度やっても挿入できない患者さん、いませんか?

私も最初は何度か入らない経験があり、内科医・泌尿器科の医師からコツを教えていただき、今では困った時に挿入を頼まれるようにまでなりました。

実は意外とコツは単純、簡単。今回はそちらをご紹介していきたいと思います。

入りにくい患者か見極める

まず、今から挿入または導尿を行う患者さんは、前立腺肥大があるか調べましょう。

看護師にとっては、病棟によってはかなりの頻度でこの技術を実施するかと思います。男性は50歳頃より前立腺肥大を発生している方が増加し、なんと80歳では80%程度の方が肥大をしている状態です。

そのため、高齢者のほとんどの方々は前立腺肥大をしていると考えても良いかもしれません。

また、以前の挿入時の状況があれば、事前に確認をしておきましょう。

禁忌の患者さんとして、

  • 尿道を損傷している患者さん
  • 化膿性前立腺炎の患者さん
  • 挿入により感染を助長する可能性のある方
  • 高度の認知症の方で自己抜去リスクが高い方で必要性の低い方

などには実施をせず、必ず医師へ実施の有無の再確認していきましょう。

入りにくい患者さんの物品準備

では、いざ事前情報も調べてこれから挿入を…と、その前に。通常の導尿・バルーン留置の物品の他に、どうしても入りにくい患者さんへ準備するものがあります。

それは、10ccのシリンジと、潤滑ゼリーです。

キシロカインを使用する場合は、アレルギーや未開封のものかに留意してください。開封済みのものである場合、清潔操作にならない場合があり感染を招くため、注意が必要です。

いつもの物品に少しプラスするのがコツの1つです。さらには、患者さんが緊張したり、寒い状況下ではなかなか挿入がしにくい状況となりますので、必ず保温に気をつける事や、患者さんがリラックスできるような声かけ、表情、不安にさせない対応も必要となってきます。

いざ挿入、少しのコツでスムーズに出来る

挿入時、消毒をしてカテーテルを入れていくと思いますが、ここで手順を説明していきたいと思います。

まず、陰茎に多くのゼリーをつけ、直角にまっすぐに陰茎を固定。

よく、途中で角度をつけると看護の教科書には記載されていますが、実はそれをしてしまうと、入らなくなってしまう可能性があります。

泌尿器科の先生にコツを教えていただいた際、この挿入時に、しっかりと陰茎を持ち、角度を変えずひたすらまっすぐにし続けるという事が導尿・膀胱留置カテーテル挿入困難な男性患者様へ安全に簡単に留置をするコツであるとの事でした。

私も、実際患者さんに挿入するさい、前立腺肥大の方々は、途中でひっかかりを感じます。ここで曲げると隙間が閉じる様な感覚で、まっすぐにしたままにして挿入をすると、ストンとカテーテルが入っていくのが分かります。

もちろん、力任せに挿入をすると、損傷や、別の場所に穴をあける可能性に繋がりますので、患者さんの表情や痛みも観察して、強引には決して実施をしないようにしましょう。

それでも入らない患者さんには…

それでも入りにくい、滑りにくい患者さんには、シリンジと潤滑ゼリーを使用していきます。

至ってシンプルなのですが、カテーテル挿入前に、シリンジに多め(約5~7cc程度)のゼリーを吸うか、内筒を抜いてそこに不潔にならないようにゼリーを入れていきましょう。

陰茎部の中にこれを注入。ここでは不潔操作にならないよう注意してください。使用済みの潤滑ゼリーやキシロカインゼリーを使用するなんてことにならないよう、気をつけましょう。そして、陰茎の外側にもたっぷりとゼリーを塗り、そのうえで陰茎を真っすぐに立てて挿入をします。

しっかりと、少し伸ばしつつ立てる感覚で、角度は変えずそのまま挿入をしていきましょう。

  1. 「きちんと根元まで入れ」
  2. 必ず、「尿の流出を確認してから」
  3. バルーンを拡張させるための蒸留水をいれていきましょう。


尿の流出がしたからと、すぐにバルーンを拡張してしまうと尿道の可能性もあり、もし挿入が浅い状態からの流出確認であれば、さらに奥へカテーテルを進めていきましょう。挿入後も、時間をおき自尿を確認、尿の性状なども観察をしてください。

それでも入らない、なにをしても駄目という患者さんには、バルーンカテーテルの種類を変更し挑みます。

太さが太ければより細いものにします。また、シリコンカテーテルやチーマンなどあると思いますが、前立腺肥大がある方には、チーマンにて実施してみることお勧めします。やや先端がカーブしているのが特徴です。

留置はしたけど尿が出てこない患者さまへの対応

いざ挿入できても、それが安全に行えていなければ、患者さんには不利益にしかなりません。

尿道内でバルーンを拡張させてしまった場合は、尿道損傷の可能性にも繋がり、血尿が出てくる可能性、正しく流出がないリスクもあります。

そうではない、安全にきちんと挿入ができた場合は、まず、カテーテルの先端の位置が膀胱内で不適切である可能性や、膀胱の収縮力自体が弱くなっており、尿の流出が悪い場合があるので、鎖骨上部を圧迫してみましょう。

また、カテーテルの先端が膀胱壁に当たっている場合もあります。

その場合は、カテーテルを優しく少し引き、膀胱から離すと尿の流出がみられる事があります。さらには、膀胱内の浮遊物や壊死組織によって閉塞し流出の無い事も可能性として低いですがあります。

おまけ(女性の挿入編)

女性の導尿や膀胱留置カテーテル挿入に関してですが、これはしっかりと穴をみてみましょう。

実際は、人によってですが、挿入したら別の穴と繋がっていたという事や、解剖生理学通りの身体の構造ではない場面も多く見受けられます。

その際はあわてずに、患者さまに声かけをしてもう一度仕切りなおしてください。高齢者になると、陰茎部が収縮しどこへ挿入をしていいのか分かりにくい場面があります。

どうしても、入りにくい、分かりにくい患者さんには声かけや説明をした上で、指を使って子宮頸部を確認しつつ尿道がどこにあるか確認してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
男性の膀胱留置カテーテルや導尿を行う際に何かにあたる…それは前立腺です。この前立腺をうまく越える事で、膀胱内にバルーンを留置できると思います。初めのうちはなかなか感覚をつかみにくく、行いずらいとは思いますが、今回ご紹介した少しの工夫とコツで、患者さんにとって不快や痛みの少ない看護の提供に繋がればと思います。

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