アセスメントは看護ケアの第一段階のプロセスであり重要となっています。よりスムーズに看護ケアを進めていくためにも、アセスメントのコツをおさえておくのはもちろんのこと、注意点も理解しておいたり思い込みで判断しないことも大切です。
看護過程としてまずは行うのがアセスメントであり、その後に看護診断や計画立案、そして看護の実施や評価というプロセスとなっています。もちろん一度で終わるわけではなく、このプロセスを繰り返し行うことになりす。このことからもわかるようにアセスメントは重要なプロセスの一つであり、必要不可欠です。一般的にはアセスメントのプロセスとしてPDCAの段階を踏んでおり、まずは計画を立てそれを実行に移し、その後評価して改善していくという一連の流れとなっています。
アセスメントの必要性を理解できていない人も稀にいますが、患者さんのケアを行う前にはそれぞれの状態を把握することは必須であり、だからこそアセスメントも欠かせない過程です。ケアを実施した後にはケアにより患者さんの状態がどう変化したのか、もしくは変化はなかったのかをチェックするためにアセスメントを行います。看護を行う上でもアセスメントは必要不可欠です。
アセスメントには客観的情報と主観的情報があり、客観的情報としてはフィジカルアセスメントで得た患者さんの状態や検査データ、既往歴などがあげられます。客観的情報は主観的情報とは異なり視覚化や数値化可能な情報となっていて、検査の結果や皮膚の状態といったものが当てはまります。主観的情報には問診で得られた情報が当てはまり、患者さんと会話をするなどコミュニケーションを取ることにより得ることができる情報となってくるので、コミュニケーション能力の高さはアセスメントを行う上でかなり重要なポイントとなってきます。頭痛や腹痛、食欲不振や悩み事などあらゆるものがありますが、こういったことは日頃からしっかりコミュニケーションを取っていたり患者さんを観察していないとわからない部分もあります。患者さんから入るあらゆる情報をアセスメントとして看護記録に残し、収集した情報を元にして疾患や症状、知識を照らし合わせ整理していき、それぞれの患者さんに対してどのようなケアを行っていくことがベストになるのかを判断していくことになります。
患者さんにとって最も身近な存在とも言えるのが看護師であり、医師相手では話しにくかったり、この程度のことは言わない方が良いかなと思うようなことでも看護師には話してくれることがたくさんあります。常日頃から患者さんをしっかり観察しておくことで一般的な通常を基準に考えるのではなく、それぞれの患者さんの通常を知っておくことができるので些細な変化や異変にも気がつくことができ、事態の悪化を未然に防いだり早期治療にもつながっていきます。
アセスメントの目的として忘れてはならないのが、患者さんの健康上の問題を把握するということです。主観的情報と客観的情報を解釈して統合することで、患者さんの看護上の問題部分を分析していき、患者さんが抱える問題の優先度を知ることによって看護ケアの方向性を明らかにすることにつながります。アセスメントを行なっていると、病名をはっきりさせなければと考えてしまうケースがありますが、無理に病名を決めつけてしまうとアセスメントが原因となりケアがスムーズに進まなかったり失敗してしまい、一からやり直さなくてはならないことにもつながるので気をつけましょう。
アクセメントの基本的な書き方として、まずは患者さんの反応を書くことから始めます。アセスメントの視点から見た患者さんの反応を書きいたら、次に反応が起きた原因を記入します。患者さんの反応を引き起こした原因と、反応を助長している誘因を記入しましょう。患者さんの反応を改善する強みになることがわかれば、それも記入しておきます。そして、患者さんの反応から今後どのような経過を辿っていくのかを推測し記入することになります。
アセスメントを行う上では、ゴールはどこなのかをはっきり認識することや、アセスメントを行うことの目的を明確にすることもスムーズにアセスメントを書くためには必要な道標です。いきなり一つに絞り込んでしまうのではなく、幾つもの「かもしれない」をリストにしておくこともポイントです。もし最初のものが間違っていたときに、「かもしれない」リストがあればすぐに他のケアに向けて切りかけていくことができ、無駄な時間が大幅に軽減します。当然のことですが「かもしれない」だけなら素人でも幾つでもリストアップしていくことができるので、有力候補を絞り込んでいくためには知識も必要不可欠となってきます。異常がない時にはそれで良しとしアセスメントに記入せずに終わってしまいがちですが、異常がないというのも重要な情報となってくるのでしっかり記入しておきましょう。
アセスメントを行う際に注意するべきポイントの一つとなるのが、思い込みで情報収集しないようにするという点です。こうに違いないと決めつけてしまうのはもちろんのこと、きっとこうなんだろうと仮説を立てて情報収集を行うと、収集する情報に対して偏りが発生してしまいます。よりフラットな目線で患者さんを観察するためにも、思い込みは捨てて情報を収集することが重要になってきます。当然のことですがアセスメントを行なっただけでは看護ケアにはつながらないので、看護計画にしっかり活かしてこそアセスメントを行った意味や価値が生まれます。アセスメントに基づいてどういった看護ケアを行っていけばよいのか、根拠に基づき看護計画を立てていくことが大切です。看護計画に関してはより具体的に設定するようにし、実行しやすく記載することもポイントです。自分だけがわかれば良いというものではなく、誰が見てもわかるようにし同じケアができるようにしておくようにしましょう。
アセスメントに強くなるには患者さんとの信頼関係が重要であり、いかにコミュニケーションをとって患者さんに心を開いてもらうかがポイントとなってきます。看護師としていかに優れていても、コミュニケーション能力に乏しいとアセスメントが苦手なままになってしまい根本的なことができないままになってしまいかねません。アセスメントに関しては得意不得意も当然ありますが、少しでも良くするためには得意な先輩や同僚を参考にしたり自分のアセスメントを見てもらいアドバイスしてもらうようにしましょう。アセスメントには自分の癖も出てしまうことが多く、癖によって内容が理解しにくくなってしまっているケースも珍しくありません。少しでもアセスメントを上達させたいのであれば、セミナーに参加してみるのも一つの手段です。自分では気がつくことができなかった根本的な問題だったり、思い込みから間違えていたことに気づかされることも多く、セミナーに参加することにより明らかにアセスメントが向上する人も少なくはありません。看護ケアの第一課程となるからこそ、アセスメントは重要でありしっかり学び技術を高めておくことが大切です。
まとめ
看護ケアを行っていく上でアセスメントは欠かせない存在ですが、看護師として経験豊富なベテランなら必ずアセスメントも得意というわけではありません。アセスメントを成功させるためにはコミュニケーション能力も必須であり、患者さんの状態を日頃からチェックしそれぞれの通常な状態を知っておくことか大切です。アセスメントのコツをおさえておき、看護ケアの第一プロセスとしての重要性を理解しておく必要があります。
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