老人ホームでは、利用者の健康管理をする事が看護師の仕事となります。その時、利用者が起こす症状として脱水を起こす事も少なくありません。ここでは、老人ホームでの入所者の脱水の原因や、その後のアセスメントについてお話します。
・脱水を起こしやすい
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、脱水を起こしやすいことが言えます。それはなんと言っても、お年寄りだということです。年を取ると、それだけ水分をとることがむつかしくなります。水分をとる必要がある時でも、喉の渇きを感じない事もあるからです。喉が渇いていないという感覚であっても、実際は脱水となっている事もあります。
ここでは、脱水になりやすいことに留意して、適時水分摂取を促すことが必要です。
・高齢者の脱水に気づきにくい
脱水になる時には、まず口渇があります。喉が渇いているので、そのことで脱水になっているサインを自分で把握することができるのです。ところが、喉が渇いていないので、自分は脱水ではないと思ってしまうのです。
お年寄りの中には、水分摂取を勧めても、喉が渇いていないのでいらないということがあります。実際にそのように、感覚的に渇きを感じていないのです。しかし看護師としては、そのような状態でも脱水を起こしているかもしれないと認識して、水分摂取を促すことにしています。こまめに水分摂取を行うことにより、脱水を予防することができます。
また脱水を起こしていると思うときとして、皮膚の乾燥がありますね。しかしお年寄りの場合は、皮膚が常に乾燥している状態となっているのでそのことも把握しにくいのです。
これらのことを踏まえて、常に脱水を起こす危険性があることを覚えておきます。
・高齢者が脱水を起こすと危険
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、脱水を起こすととても危険な状態となることがあります。それは、利用者の既往歴とも関係しています。既往歴といて、脳梗塞がある、心臓疾患があることが多く、そのことが悪化してしまう危険性があることです。
脳梗塞も心臓疾患の場合も、脱水になると血液が濃縮することになりより梗塞を引き起こしてしまうのです。最も危険な状態になるのは、なんと言っても心筋梗塞等を起こしやすくなることです。心筋梗塞を引き起こしてしまうと、命の危険性もあります。
また内服薬の副作用からも、梗塞等を起こしやすくなります。内服薬もたくさん摂取しているので、そのことも関係して危険性が高まります。
・温度に注意
老人ホームに入所しているお年寄りの場合、その施設の温度設定により室内にいる場合は、守られています。普段の生活の中では、室温により脱水を起こすことはありません。
しかし外出をする時は、危険性が伴います。車の中や外出先により室温が高くなっていることがあるからです。移動する場合は、その室温や外気温に十分注意する必要があります。
・皮膚の乾燥に注意
脱水を起こしている症状の一つとして、皮膚の乾燥があります。皮膚が乾燥することにより、かなり脱水を起こしていると判断することができます。
しかし老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、皮膚が乾燥していることが多く、そのような脱水を起こしているのかわかりにくいです。一番わかりやすいのは、脇の下が乾燥していることです。汗ばんでいる場合はいいのですが、脇の下が乾燥している場合は、脱水の危険兆候として理解しておきましょう。
また、口の中が乾燥している事も脱水の症状の一つです。しかしお年寄りの場合は、そのことについても理解していないことがあります。利用者の普段の話し方と違う、もたついている、ゆっくり話をする、話をすることがないという、普段の感じと違う場合は、要注意となります。
・薬に注意
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、治療として内服薬を飲んでいることがあります。その内服薬の中には、脱水を起こしやすいものもあり、それを理解しておくことが大切です。
それは利尿剤です。お年寄りの場合は、血圧の変動があり特に高血圧である人がおおいです。そのことから、降圧剤を内服していることがあります。降圧剤には、利尿作用を促すことにより、血圧を安定させていることから尿を排出することが多く、その結果、脱水を起こすことになります。降圧剤を飲んでいる利用者の場合は脱水を起こしやすくなることを理解しておきましょう。
・脱水になる前兆について
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、脱水に関する症状を見つけることがむつかしくなります。まずは喉の渇きを訴えることができません。また、自分でおかしいと思うことについて、相手に伝える事もないのです。そのことからも、周りのスタッフや看護師が少しの変化を見逃すことなく察知することが大切です。
脱水について訴えることができない利用者に関しては、普段と違うということが一つの症状になります。普段と違い、元気がない、あまり話さない、フラツキなどです。特にふらつくということは、脱水の大切な症状の一つです。利用者の場合は、ふらつくことがよくありますがそのフラツキがひどい場合は、脱水を疑うようにします。
・尿のチェック
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、病院のようにしっかり尿量を測定しているわけではありません。老人ホームでは、回数で尿を記録しています。その時、回数として極端に少ない場合は、注意をすることにしています。一回量が多い事もあるのでその時には、記録に残してもらうようにしています。
排泄の介助については、介護職員が実施しているので介護職員に確認することもあります。
尿の観察と、全身状態等を総合的にアセスメントして脱水兆候になっていないのかを確認します。
・こまめに水分摂取をすすめる
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、時間を決めて水分摂取をすすめることにしています。それは、なんと言っても喉の渇きを訴えることが少ないので、そのことから予防することを目的としてすすめるようにしています。しかしその時、勧めていても飲まない事もありその場合は介助が必要となります。
入浴後などは、ミネラルを含んでいる水分を促すようにしています。水分だけではなく、高齢者の場合はミネラル分も不足することがあるからです。
・涼しいところに移動する
外出している場合は、その時に脱水にならないかと常に気を付けることが大切ですね。炎天下の中、少しの時間でも危ない状態となるので気温と湿度を考えて外出をすることにしています。
もしもとても暑い場合は、涼しいところに直ぐに移動するようにしましょう。日陰に移動して、脱水を予防することも大切です。
・衣服を交換する
汗をかいてしまうと、衣類が濡れてしまうことがあります。その時、冷房のある部屋に移動をすることにより、風邪等をひいてしまう事もあるので要注意です。汗をかいていると思う場合は、直ぐに衣類を交換することをおすすめします。
またアセスメントにより掴んだ症状として、フラツキがある、朦朧としている等の症状がある場合は、脱水がひどくなっている危険性もあります。その時には、ベッドにねかせてゆったりとした体を締め付けない物に交換するようにします。
・点滴を必要とする時
老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、脱水がひどくなると点滴を行う場合があります。点滴を行うのは、口から摂取することができない、意識が朦朧としている、尿量がすくない、視線が合わない等です。その場合はアセスメントを行い、医師に報告をして点滴の指示をもらうことにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?老人ホームに入所しているお年寄りの場合は、そこなら部屋の中であり、温度湿度も保たれているし、安心と思うことがあります。しかし高齢になると、部屋の中でも脱水を起こしてしまうことが多いので、常にそのことに注意するようにします。早期に脱水兆候を察知して、速やかに対処するようにしたいですね。
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