看護師にとってアセスメントは重要な仕事です。当たり前のように看護アセスメントをできるようになると、きちんと成果を出せる看護師になれます。この記事では看護師が成長する上で知っておきたいアセスメントの基本を紹介します。ルールに縛られないやり方も説明するので参考にしてください。
#そもそもアセスメントとは?
アセスメントとは看護に限らず幅広い分野で用いられている重要キーワードです。まずはそもそもアセスメントとは何なのかを確認しておきましょう。
・アセスメントのもともとの意味アセスメントとは英語のassessmentに由来しています。直訳すると評価や査定などといわっる言葉で、人や物ごとについて情報を集めて評価をして判断を下すことを意味します。人材アセスメント、環境アセスメント、リスクアセスメントなどのさまざまな言葉が派生的に生まれてきて、主にビジネスや政治の分野で活用されています。保育アセスメントや福祉アセスメント、心理アセスメントなどの言葉も生まれ、医療や福祉においても重要なキーワードになっているのが現状です。
・看護でのアセスメントの意味
看護でのアセスメントは患者の情報に基づいて評価・判断をすることを指します。患者について可能な限り情報を集めて、看護師として治療を促せる関与ができるかどうかを判断するのが基本です。看護師が日常的におこなっているバイタルサインのチェックや、その他の検査結果などを用いて分析し、問題が起こりそうなことに気付いたら看護介入をしたり、医師などに相談したりします。基本的には看護師が個々の患者に対してできることを情報に基づいて考えるためのプロセスです。広い意味では情報を集めるところから、評価を経て具体的な行動計画を立てることを看護アセスメントと呼びます。
・アセスメントはルール化されているのが一般的
看護や医療ではアセスメントが施設でルール化されているのが一般的です。どの看護師が担当したとしても患者が平等に医療を受けられるようにする必要があるからです。看護師がアセスメントをするために考慮しなければならない情報や、アセスメントの際に考える必要がある項目などがルールになっています。ルールとして定められているのはあくまで最低限の項目で、それ以上の情報を集めても構いません。考えるべき点も自分なりの視点を盛り込んでも構わず、結果としてより良い看護や医療を実現できれば評価されます。ただし、ルール化されているアセスメントを正しく実行できなかったために、患者の容態が悪化するなどのトラブルが発生すると責任問題になります。そのため、看護アセスメントは少なくともルールは踏襲することが必要です。
#看護アセスメントの基本
看護アセスメントには基本があるので、覚えてしまえばルーチンでこなすこともできます。看護アセスメントをするときの常識的な知識をまずは付けておきましょう。
・SOAPモデルで考える
看護アセスメントはSOAPモデルで考えるのが基本です。SOAPモデルとは主観的情報、客観的情報、評価、計画という4つの段階を経てアセスメントを進めるアプローチです。SOAPのAはアセスメントを指します。アセスメントをするために必要な情報として主観的情報と客観的情報を集め、評価を終えたら計画を立てるという流れになっています。
主観的情報とは患者や家族の声と言い換えても良いでしょう。患者が頭が痛いと言っている、家族が患者が夜に眠れていないと言っているというのが主観的情報です。客観的情報とは看護師や医師などによる検査や観察などによって得られた情報を指します。患者の顔が青ざめている、体温が35.0℃だった、超音波検査によって脂肪肝が認められたなどといった内容が客観的情報です。このような情報を総合的に分析するのがアセスメントです。そして、看護師が何をすれば良いかを考えて計画を立てて実行に移します。看護アセスメントでは最も基本となる流れで、ほとんどの医療施設ではこのような流れで進めるように看護師教育をしています。
・所属先のルールに従って進める
所属先によって看護アセスメントのルールには細かな違いがあります。主観的情報として看護師が確認しなければならない内容や、客観的情報として看護師自身が確認する項目、検査結果などからアセスメントに使わなければならない項目などがルール化されている場合があるので注意しましょう。大きな病院ではマニュアル化されていて、ルールに従って看護アセスメントをすれば良い仕組みになっていることがよくあります。ただ、小さな病院やクリニックではルールが明確に定められていない場合もあります。
ルールが明確化されている場合にはその通りに看護アセスメントを進めるのが基本です。ルールがない場合には臨機応変に対応する必要があります。ルールがない現場ではどんな情報が必要かを看護師が適宜考えなければなりません。看護アセスメントの要求も大きくなるため、経験の有無によってアセスメントの良し悪しにも違いが生まれます。ルールが決まっている現場で経験を積んだ方が安心して看護アセスメントをできるようになるでしょう。
#ルールに縛られない看護アセスメントのやり方
看護アセスメントは所属先のルールに従ってきちんと記録を残して実践するのがまず原則として大切です。ただ、ルールに縛られることによって、もっと良い看護ができるはずなのに実践できない場合もあります。ルールが定められているのは均質的に医療を提供するのが目的です。同じ医療費を払って医療を受けているのに、患者間で対応に差があるのでは不満が出てきてしまうでしょう。トラブルを避けるためにもルールを定めて看護アセスメントをする病院が多くなっています。
ただ、ルールに縛られないことによって助かる患者が増える可能性があるのも事実です。看護師としてもう一段階活躍できるようになるには、ルールに縛られない看護アセスメントもできるようになるのが大切です。ルールが明確に定められていない現場でも適切な看護アセスメントをして対応できるようになるためにも重要なので、ルールに縛られない看護アセスメントのやり方も理解しておきましょう。
・患者の理解を深める
まずは患者の理解を深めることから始めます。患者と日常的にコミュニケーションを取って様子を常に把握しましょう。普段からコミュニケーションを取っていると些細な変化に気付きます。患者からの主観的情報も得やすくなるでしょう。また、検査結果などの情報は自分なりに見やすくまとめるのがおすすめです。カルテは必ずしも見やすいとは限らないので、すぐに情報を整理できるように自分でまとめましょう。
・患者の立場で必要な看護を考える
アセスメントは個々の患者に合わせておこないます。患者の立場になってどのような看護を受けたら今の状況から変わるかを考えるのが大切です。看護を受けた結果として、患者の視点でより良い生活を送れるようになる、もっと満足できると判断できたことを実践します。
・実践して結果を分析する
看護を実践したら結果を分析しましょう。患者の反応や検査結果の変化を総合的に見て、より良い医療になっていたなら成功です。検査結果が良くなっていなかったとしても、患者が喜んでいたら意味があった看護と言えます。結果を分析して改善点を考え、また看護に生かしていくというサイクルを繰り返していくとより良い看護を実践できます。
まとめ
看護アセスメントはSOAPの流れでおこなうのが基本です。所属先でルールが決まっていることも多いので、基本的にはルールに倣って看護アセスメントをしましょう。慣れてきたらルールに縛られない看護アセスメントも並行して進めるのがおすすめです。より良い看護をできるようにするためには大切なので、ぜひ取り組んでみてください。
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