知っておきたい看護師転職の心得ー成功へのカギー

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#1565 2021/09/09UP
知っておきたい看護師転職の心得ー成功へのカギー
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さまざまな事情から会社を辞め、苦労の末ようやく転職を果たしたのにうまくいかなかった…というミスマッチは多々あります。
 こうした過ちを起こさないようにするには、どうしたら良いのでしょうか。
 今回は、「看護師の転職」というシーンで陥りやすい心情を検証しつつ、成功のコツをつかんでいきます。

「転職」の2つの意味;あなたはどちらを望んでいるの?

 辞書を見ると「転職」という言葉は二つの意味を持つことが分かります。
 ひとつは「他の職に変わること」。
 職業を変えるという意味です。
 もともと「転職」とは、こちらの意味を指す言葉として生まれたようです。
 その後、もう一つの「ある職場から他の職場へと所属を変える」という意味でも用いられるようになりましたが、現在はむしろこちらの方が一般的かもしれません。
 両者の違いは、仕事を変えるのか、勤務先を変えるのか、ということですね。
 
さて、「看護職員の労働実態調査報告」(医労連、2017)によると、看護師の約7割が「仕事をやめたい」と思っていて、全体の約2割は「いつも辞めたいと思っている」とのこと。
 やがて転職につながるという兆しは、様々なデータからも読み取れるのですが、こうした事態に抜本的な対策が立てられず深刻化しています。
 

ところであなたは、「転職」をどちらの意味で捉えているでしょうか。

 看護師という職業そのものをやめたいのか、それとも、職場(就業環境)を変えたいのかによって、転職先は変わってきます。
 ちなみに、同調査では仕事をやめたい理由も挙げていますが、結果は「人手不足で仕事がきつい」「賃金が安い」「夜勤がつらい」「職場の人間関係」など、職場環境に関する理由が多数を占めています。
 この場合、本人が望んでいる「転職」とは、もっと働きやすい、働きがいのある職場、あるいは、ワークライフバランスの両立が可能な働き方の実現ではないかと推測できます。
 つまり、このケースの転職は「勤務先の変更」になります。
 
これに対して、たとえば「自分は看護師に向いているのか」「人が病気で苦しむ姿を見るに堪えない」などの理由で転職を検討するのであれば、看護師や医療機関以外の仕事が望ましいでしょう。
 この場合の転職は「職業自体を変える」という意味になります。
 転職について考えるとき、まずは前述の二つの「転職」の意味を混同しないように気をつけてください。
 たとえば、現職では過重労働でプライベートな時間がまったく取れないため、医療機器メーカーのクリニカルコーディネーターに転職したとします。
 本人の思惑としては、勤務条件を緩やかにしたかっただけなのに(=勤務先の変更)、営業同行で医療機器の説明に終始する日々になった。
 確かに休日は確保され、家族と一緒にいる時間は増えたものの、仕事自体に興味がわかない…そんな疑問を感じてしまうのは、そもそも「転職」の捉え方を見誤っていた可能性が高いのです。
 「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないように、自分は転職に何を期待しているのか、しっかりと見極めておく必要があります。
 

転職は「スキルのカスタマイズ」が必至!

A病院からBクリニックへ転職したというケース―すなわち勤務先の変更ですが―、看護師として同じ“病院”という現場で働くのだから、新しい職場も前職と同じで良いだろう…という思い込みは、ミスマッチにつながり兼ねません。
 もちろん、基礎的な技術や看護の方法論は、学校で習得した内容をベースに共通する部分もあります。
 しかし、実際の現場でのやり方や考え方は、職場によって異なります。
 あなたが前職から当たり前に行っていた段取りも、新しい職場では「うちのやり方とは違う」と否定されるかもしれません。
 患者にさまざまな人がいて個別性があるように、自分が勤務する施設や組織も、多くの場合それぞれの特徴を持って運営されています。
 とりわけ民間の施設は、他との差別化を図ろうとして、独自のサービスなどを打ち出しているところも多いようです。
 同じ看護師だし、同じ医療機関なのだから…という単純な理由でこれまでのやり方に固執していると、次の職場でスムーズに受け入れてもらえないかもしれません。
 過去の経験が邪魔をして自分の能力やキャリアを活かせず、挙句に「自分はここには向いていない」「ここでは歓迎されていない」などと思ってしまうとしたら非常に残念です。
 
筆者としては、経験が豊富な看護師であればあるほど、転職先で以前のやり方を見直すことをお勧めします。
 転職は、自分のスキルを「カスタマイズ=仕様の変更」する貴重な機会である、と捉えて取り組めば、新しい職場での適応が可能となり、自ずと評価もついてくるでしょう。
 この切り替えをしないで過去の実績にとらわれていると、やがては新たな職場への不満が昂じてくるものです。
 SNSなどに悪口を投稿したり、同じような不満を持つ同僚たちと職場の非難を言い合ったりする…そのような転職は誰も望んでいないでしょう。
 
前職で身につけたスキルが新しい職場で活かされるまでには、それなりの時間と準備が必要です。
 まずは「郷に入っては郷に従え」にも通じますが、新しい職場が目指している方向、目標達成のために求められているスキルは何か、知るところから始めてみてはいかがでしょうか。
 そして、今ある自分のスキルをカスタマイズしていきましょう。
 

安易な転職は周囲に迷惑をかける!?

 深刻な看護師不足と過酷な労働条件のために、病院や医療機関の求人募集が絶えることはありません。
 また、超高齢化が進み、看護師が介護に関連した仕事に携わる機会も多くなりました。
 さらに、予防医療促進のニーズから、現在はまだ狭き門かもしれませんが、今後、企業における産業保健師等の求人も増えそうです。
 このように、就労環境からすると看護師は売り手市場が続いていて、俗に言う「食いっぱぐれがない」という状態です。
 しかし、安易に転職を繰り返すことは、本人にとっても周囲にとっても好ましいとは言えません。
 ちょっと気に入らない、なんとなく自分のやりたいこととは違う、もっと条件の良い職場はいくらでもある…などの希薄な理由で転職するのは、単に看護師の国家資格を利用しているに過ぎません。
 そのような心持ちでは、新しい職場で自らの看護の質を高めたり、経験を積んで成長したりする機会は徐々に失われ、モチベーションの維持も難しくなると思います。
 また、別の見方をすれば周囲にも多大な迷惑が掛かります。
 
教えるために費やした時間や労力、紹介手数料などが無駄になりますし、何より職場の士気を下げます。
 安易な転職は、自分にも周囲にも負の効果をもたらすことをお忘れなく。
 転職は大きく「現職を辞める」「転職活動をする」「新たな職場で仕事を始める」というプロセスに分かれます。
 自分一人の判断だけではなく、それぞれのフェイズにおいて、信頼できる人に相談する、適切に情報収集を行う、転職エージェントを活用するなどして、転職活動を着実なものにしていただきたいと思います。
 

仕事の失敗はしっかりフォローする!

 どんなに慎重にことを運び、よく相談し、さまざまな情報収集をし、万全を期したつもりで転職しても、未知の領域に飛び込んでいく新しい職場で「思わぬ失敗」が起こるかもしれません。
 先述のとおり、そんな時は「こんなはずじゃなかった!」と、すぐにまた転職に走るのではなく、一度立ち止まって冷静になり、リカバリーできないか考えてみてください。
 失敗は、起こった原因をしっかりと検証することが最も大切です。
 転職にあたってお世話になった人やエージェント、また、新しい職場の人事担当者などに相談して、意見を聞いてもよいでしょう。
 転職はあなた一人の問題ではなく、組織はもちろん様々な人が関わっています。
 新しい職場での失敗から転職を繰り返してしまう前に、まずは失敗をしっかりとフォローしましょう。
 失敗からは学ぶことは多いですし、これもまた「転職」を経験するからこそ得られるスキルと言えるのではないでしょうか。

まとめ

自分は看護師から他の職に変わることを望んでいるのか、それとも看護師として働くことを望んでいて勤務先を変えたいのか、という点を明確にしておかないと、転職の失敗につながる
勤務先を変えるという意味の転職をする場合も、新しい職場にはそこならではのやり方があるので、自分のスキルのカスタマイズが必要になる
スキルのカスタマイズには、新しい職場が目指している方向性、そのために求められているスキルを知るところから始める
看護師は、病院や医療機関はもちろん、介護関連や企業での予防医療に関わる仕事などにおいてもニーズは増している

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