現在、日本の認定看護師は21分野があります。その中から今回は皮膚・排泄ケア認定看護師についてお話ししていきます。皮膚・排泄ケア認定看護師とは、創傷・オストミー・失禁の看護分野において質の高い看護を実践する看護師のことをいます。
WOC認定看護師と呼ばれ、W(Wound)、O(Ostomy)、C(Continence)の略語で表します。そのWOC認定看護師がどのような仕事をしているのかから、なる方法、費用までお話しします。
皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師とは?
まず初めに、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師とはどのような活動をする看護師なのかという事を説明します。
W(Wound)
褥瘡(床ずれ)などの慢性的な創傷に対して予防の計画を立てたり、すでに創傷がある患者さんには医師と連携し治療に携わっていきます。高齢者や皮膚が弱い患者さんが健康な皮膚を維持するため、皮膚トラブル予防のためのスキンケア方法などのアドバイスなどをします。
○O(Ostomy)
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のケアを行います。これから手術を受ける患者さんに説明や医師とともにストーマを作る位置を決めます。また、ストーマを作った患者さんに対して、装具の選択、日常生活や精神的不安へのアドバイスやサポートを行います。ストーマ周囲の皮膚トラブルの予防方法やスキンケア方法など患者さんに寄り添う看護を実践しています。
○C(Continence)
排便や排尿に問題を抱えている患者さんに対し、排泄ケア全般に関わる問題を解決しより良い生活を送ることができるようなアドバイスやサポートを行っています。
以上のように、皮膚・排泄(WOC)認定看護師は、多岐多様にわたり活動をしているのです。
また、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師だけが患者さんをサポートするわけではなく、患者さんに関わる看護師や家族に対し実践、相談、指導をする看護師でもあります。
皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師になるには?
日本看護協会HPによると、2017年時点で全国には皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師が2419名登録されています。認定看護師21分野の中では、感染看護管理認定看護師に次いで2番目に多い認定看護師です。皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師になるにためには、看護師経験年数が5年以上で皮膚・排泄ケアに関わる業務に通算3年以上従事した看護師が要件となっています。なので、外科系や泌尿器科系の病院や病棟に勤務している、または勤務していた看護師ならば有利だと思います。
要件がクリアできればすぐに皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師にはなれません。
要件をクリアすることで受験資格があるということになります。現在は、日本看護協会の看護研修学校が、「特定行為研修」を行っており、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師を受験できる教育機関が限られています。
今年は、静岡県立静岡がんセンター/認定教育センター、京都橘大学/看護教育センター、福岡県看護協会の3か所となっています。受験を希望される方は、各教育機関へ問い合わせるか、公式HPにて確認してみてはどうでしょうか。
願書を提出したのち、受験に臨みます。試験方法や内容は各教育機関によって異なっているようです。
受験に合格したら教育機関で6ヶ月上・615時間以上の研修受講があります。
研修が修了したのち、翌年の5月に全国一斉に全認定看護師の認定審査(筆記試験)があり、認定審査に合格すると認定看護師証が交付され、晴れて認定看護師になることができます。ちなみですが、私が受験した時には、選択方式の試験と小論文、面接で、7か月の研修を受講しました。教育課程では、約5か月間は学内で講義と演習、1か月間は病院実習、最後の1か月は実習先で担当した患者のプレゼンと研修終了試験でした。今でも、辛く長い期間だったと思い出します。
詳しい内容は、日本看護協会の公式HPにも掲載されているので、興味のある方はご参照ください。
あと、受験や研修、認定審査を受けるには約100万円くらいの費用が必要になります。私の場合は、病院の研修制度を利用し病院負担で賄うことができました。研修生の中には、自施設でそのような制度はなく自己負担の研修生もいたので、認定看護師になりたいという方は、ご自分が勤務されている施設に研修制度があるのか、どのくらい負担してくれるのか確認しておいた方が良いかもしれません。
皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師の仕事はきつい?
悩みどころですが、一応きつい仕事の一つだと思います。時にはくじけそうになることもありすが、今まで治らなった傷が治ったり、ストーマを持っている患者さんに心から寄り添う事で患者さんから「ありがとう」と言う言葉を聞いた時には、折れそうになる心が一気になくなります。
前述したように、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師の仕事は多様です。だからと言って、全部こなす必要はありません。傷を診る事が得意で患者さんの傷が治っていくことに嬉しさに感じると言う人もいれば、ストーマの患者さんと接しサポートできることにやりがいを感じている人もいます。排便や排尿で問題を抱えている患者さんに対して骨盤底筋体操を指導することで、長年悩んでいた失禁がよくなり患者さんから感謝されたとの声も聞かれます。このように、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師は看護師としてとてもやりがいのある看護師だと感じています。
認定看護師を持っていると転職に有利?
はい、もちろん有利だと言えます。認定看護師は、看護師の中でもスペシャリストのうちに入るので転職をするにあたっては、転職先にとってもありがたい存在だと思います。
「○○○認定看護師募集」という広告などは見た事はありませんが、職務歴に「○○○認定看護師取得」と書いてあれば、採用してくれること間違いなし。
実は、現在私も転職を考えているのですが、40代後半で採用してくれるのかなと不安がありました。
そこで、知り合いの看護師に聞いてみたところ、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師の資格を持っているなら是非来てくださいと。一般の看護師であれば、私の年齢くらいでは募集があっても採用されない可能性があります。皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師の資格があれば、病院以外でも老人ホームや訪問看護ステーションなど受け入れ先は山ほどあるかもしれません。
前述したように、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師の仕事は多様です。だからと言って、全部こなす必要はありません。傷を診る事が得意で患者さんの傷が治っていくことが嬉しさに変わると言う人もいれば、ストーマの患者さんと接しサポートできることにやりがいを感じている人もいます。排便や排尿で問題を抱えている患者さんに対して骨盤底筋体操を指導することで、長年悩んでいた失禁がよくなり患者さんから感謝されたとの声も聞かれます。このように、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師は看護師としてとてもやりがいのある看護師だと感じています。
まとめ
さて、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師のお仕事についてお話ししていきましたが、皆さんはどう思いましたか?私は、とてもやりがいのあるナースの仕事の一つだと思います。看護師自体きつい仕事なのにとお思いの方もいらっしゃることでしょう。人はそれぞれナースになったきっかけには違えども、患者さんの状態が良くなり退院していく時「ありがとう」の言葉を聞いた時、看護師をやってて良かったと思う瞬間は一緒ではないでしょうか。今回の私のお話しで、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師になりたいと考えていてくれるナースがいれば大変うれしく思います。
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