看護アセスメントはただ実行するだけでなく書き留めて書類としてまとめることが求められます。他の人が読んでもわかりやすいように仕上げるのが大切なので、基本的な流れに沿って進めるのがおすすめです。看護アセスメントの基本形を流れに沿って詳しく見ていきましょう。
#看護アセスメントの位置付け
看護アセスメントの手順を正しく理解するには、看護プロセスの中での位置付けをまず把握する必要があります。看護アセスメントは看護プロセスの中で問題が何かを明確にして、患者に何をすれば看護師としてより良い医療・介護をおこなえるかを考える行為です。
標準的な看護プロセスでは、看護アセスメントが看護師が新しい対応を始めたり、今までおこなってきた作業を継続したりする判断の根拠になります。基本形では看護アセスメントを受けて看護診断を実施し、看護計画を立てて実際に看護行為を実行します。そして、その結果を評価するという流れで看護を進めていき、患者にとってより良い看護をおこなえるようにするのが基本です。看護アセスメントでは実行した看護行為の評価を踏まえて、次に何をすべきかを考えるために実施するものだという認識を持つとやりやすくなります。
#看護アセスメントの基本形
看護アセスメントをするときには基本形に則ることで、他の看護師がアセスメント結果を見たときに理解しやすくなります。自分だけの方法でアセスメントをすることもできますが、他の人との情報共有が難しくなるので注意が必要です。もし自分なりのやり方をしたいなら、アセスメントをした後、書類にまとめるときには基本形に合わせるのがおすすめです。誰もが理解しやすいアセスメントの記録を残すことで、医療・介護のクオリティを上げられます。ここでは看護アセスメントの基本形を流れに沿って紹介するので活用してください。
・看護における問題提起
看護アセスメントのスタート地点は問題提起です。患者に介護をしてきた結果として、どのような反応があったのかをまずは確認します。患者からヒアリングをしたり、観察したり、検査データをチェックしたりするのが基本的なやり方です。看護の結果として改善が見られていて、現状を維持すれば良いというのであればこの時点でアセスメントは終わります。継続して同じ看護を続けて様子を見るのがベストだからです。
しかし、何か患者が不満に思っていたり、苦しい状況になっていたり、本来あるべき改善ができていなかったりした場合には問題提起をします。例えば、「医師の判断としては心不全の症状は安定しているが、受診の際に訴えていたつらさは本人の自覚では改善していない。投薬による容態のコントロールはできているが、患者の自覚改善についての問題があるので看護による改善策を考える必要がある」といった書き方をします。看護師は患者に近い場所で話ができるので、医師の判断と違うところがあれば明記するのがポイントです。
・問題の原因の明確化
問題提起をしたら原因を究明して明確にします。同じ例で具体的な看護アセスメントの書き方についてまずは見てみましょう。例えば、「投薬によって心不全の容態は安定しているが、胸の苦しさが投薬前に比べて自覚としては改善していない。毎日必ず胸が苦しくてつらい時間がある。この問題の原因は医師が心不全の悪化を防止することを重視した影響もあるが、患者が服薬によって大幅な改善があると期待していたのも原因と考えられる。」といった形で看護アセスメントを進めます。この記述の根拠となっているのは、例えば「患者の心不全の症状が重くて改善が難しく、医師の判断としては進行抑制を優先して薬物治療を進めると判断した」、「患者へのヒアリングによってつらさがなくなると思って治療を受ける決断をした」という内容です。このような根拠に基づいて問題の原因を明確化して記述します。
・患者にベネフィットになる点の提案
看護アセスメントでは問題に対して看護師が何をすれば患者のためになるのかという視点で分析することが重要です。医療でも介護でもベネフィットになることが何かを考えて行動に移すことが欠かせません。患者の状況を客観的に分析して問題の原因を把握したら、何をすれば良いのかを考えましょう。患者の不満や悩みを解決しつつ、医療や介護の面からプラスになることを意識して可能性を提案をするのが大切です。
例えば、服薬によって心不全の容態は安定しているので、患者本人に認識をしてもらえればつらいという意識が薄れる可能性があります。「心不全が悪化していないことを認識できていない可能性がある。心臓の状態が悪くなることを深く懸念しているので、容態が安定していることを認識させるのが良いと考えられる」といった考察をして記述することができます。
また、患者の希望がつらさの改善だということを医師に伝えるのも提案の一つです。「医師の判断では患者の容態の維持が重要とされているが、本人はつらさの改善を重要と考えている。自覚症状を緩和させるための対策をするために、医師・薬剤師との相談をする必要がある。」というのが典型的な書き方です。看護師は他の医療スタッフとの橋渡し役としても重要な役割を果たします。医師や薬剤師が患者の悩みを知らない可能性もあるので、このようなアセスメントをするのも適切です。
・解釈した結果に基づく推論の具体化
看護アセスメントでは最後に解釈した結果に基づいて推論を具体的に記述して締めくくるのが基本形です。「心不全の維持が医師の判断では問題ないにも関わらず、患者の自覚的な不安やつらさは改善していない。投薬開始後からエピソードが発生していないため、治療効果が得られているのは正しい。心不全が悪化する恐れはないと考えられるが、患者の不安を取り除くために対策をする必要はある。」というのが基本的な書き方です。解釈は人によって違うので、医学や看護学の理論から正しいと言えることと、自分が看護師の立場から考えたことを分けて記述すると誤解を招くことがありません。
#看護アセスメントを終えたときの注意点
ここまで仕上げられれば看護アセスメントは終わりです。きちんと書類として整えて保管すれば問題はありません。ただ、冒頭で紹介したように、看護アセスメントはやることが明大ではありません。看護アセスメントは次に看護師が何をするべきかを明確にするための看護プロセスの一部です。アセスメントを終えて書類を書き終わった時点で満足してしまい、実際のアクションにつなげられない人もいます。
看護アセスメントをしたらすぐに次の行動を起こすのが大切です。看護診断に進み、具体的な計画を立てて看護を進めましょう。看護アセスメントを書き上げることが目標になってしまい、具体的な行動にならないのは看護師になって間もないうちに陥りがちな問題です。あくまで看護プロセスの中で、看護師が何をすべきかを判断するためにおこなうのが看護アセスメントです。看護アセスメントを書類としてまとめるのは、自分が看護をできなかったとしても他の看護師に対応してもらえるようにする必要があるからです。看護アセスメントを終えたら、すぐに次のアクションを考えるステップに進み、患者が満足してくれる医療・看護を提供できるようにしましょう。
まとめ
看護アセスメントの流れについて基本形に沿って解説してきました。看護アセスメントの基本形がわかると、それほど難しくないと思った人もいるのではないでしょうか。基本的には患者のために看護師が何をしたら良いのかを考えるためのプロセスです。アクションにつなげるのがとても重要なので、看護アセスメントをしたらすぐに計画を立てて実行に移しましょう。
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