適応を促す看護アセスメントをしよう!カリスタ・ロイの理論とは?

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#2588 2024/06/10UP
適応を促す看護アセスメントをしよう!カリスタ・ロイの理論とは?
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患者に適応を促す看護は、患者が変化する環境の中で生きていく力を身に付ける上で重要です。患者の適応能力を向上させるための看護アセスメントの考え方としてカリスタ・ロイの理論があります。どのような理論なのかを詳しく見ていきましょう。

#カリスタ・ロイの看護理論

カリスタ・ロイは米国の看護理論について研究をしている方です。修道女としても活躍しているのでシスター・カリスタ・ロイと呼ばれることもあります。カリスタ・ロイの看護理論は看護アセスメントの基本理論の一つとしてよく用いられています。 カリスタ・ロイの看護理論の基本は以下の2つです。 ・適応につながる行動を促す ・非適応につながる行動を抑えさせる カリスタ・ロイの看護理論では人間を適応システムと捉えています。刻々と変化していく環境にうまく適応して、自ら成長や発達ができるのが人間の特徴としています。つまり、適応する力があることで人間は本来あるべき健康な生き方ができるようになるというのが基本的な考え方です。カリスタ・ロイの看護理論では看護を必要とする人は適応するための行動を起こせない要因があると考えます。そして、看護師は患者が適応につながる行動を促し、非適応につながる行動を抑えて、患者を導くことを重視しています。患者が自発的に適応していき、自然により良い状態に向かっていく後押しをするのが看護師の役割になります。カリスタ・ロイの看護理論に基づくと、看護アセスメントをするときには適応という観点から情報の収集・整理・分析をすることが必要です。

#カリスタ・ロイの4つの適応様式

カリスタ・ロイの看護理論では人間は4つの適用様式を持っています。看護アセスメントをするときには4つの様式に着目して、適応を促し、適応を拒否する行動を抑止する方法を考えて看護介入の方法を考えます。 ・生理的様式 ・自己概念様式 ・役割機能様式 ・相互依存様式 それぞれの適用様式について概要を確認しておきましょう。

・生理的様式

生理的様式とは人間がもともと生まれつき持っている身体の働きによる適応様式です。カリスタ・ロイの適応様式に限らず、有名な看護理論ではよく含まれている着眼点です。生理的様式として代表的なのは呼吸や排せつ、栄養の摂取などです。体内で起こっている消化や吸収、代謝や内分泌なども含まれます。人間が基本的な生活習慣としておこなっている運動や睡眠も生理的様式です。人間を生き物として見たときに、当たり前のように必要としていることが生理的様式です。 生理的様式への適応は健常な人にとっては比較的簡単です。しかし、大腸の手術をして入院している患者は水分の吸収が悪く、点滴による補給をしなければならない場合もあります。看護アセスメントでは脱水症状になっていることを見極めて、点滴のオーダーを出すといった看護介入を検討することになります。

・自己概念様式

自己概念様式とは自分自身に対する人間の心理と言い換えることができます。自分の身体や人格についてどう思っているかを表現した内容が自己概念です。例えば、患者が病気に対して抱えている悩み、入院生活を送る上での心配、さらに病状が悪くなるのではないかという漠然とした不安などが自己概念です。自己概念様式の適応様式としては、身体的自己と人格的自己に分けて考え、それぞれに対する不安をなくすことが基本になります。 病気になったり、通院期間が長くなったり、入院せざるを得なくなったりすると不安になるのは確かでしょう。看護アセスメントでは不安の様子を言葉や表情、行動などから読み取ります。検査データが悪くなっていると不安に思う可能性が高いと推察することもできるでしょう。自己概念様式の内容は患者だけでなく家族からも聞き出せる可能性があります。最終的には患者本人から聞いた情報を生かすことが必要ですが、聞き方を考える上でも広く情報を集めることが大切です。看護アセスメントでは患者の心理を理解し、不安をなくす、あるいは慣れさせるように促します。

・役割機能様式

役割機能様式とは人間の社会的な役割や責任に関する適応様式です。小さな子供がいて面倒を見ている、勤め先の重要プロジェクトを任されているといったときには社会的に役割を持っています。親としての責任、社会的義務などといったさまざまな観点で、人は「やらなければならないこと」、「やってはならないこと」を持っています。通院や入院をしている患者は病気や体調不良によって社会的な役割・機能を果たせなくなるのが不安になりがちです。 役割機能様式の適応を考える看護アセスメントでは、患者の社会的なポジションや心身の機能についての情報として活用します。例えば、30代女性、既婚、子供2人、高度の貧血による緊急入院、現在は容態が落ち着いているといった状況があるとしましょう。子育てをしなければならない状況なので、患者は早く退院して自宅で子育てをできるようにしたいと考えるでしょう。役割機能様式のアセスメントを通して、貧血の改善のための食事療法を促したり、夫に連絡して子供のケアを任せたりするといった看護ケアができます。

・相互依存様式

相互依存様式は人と人との関わり合いに関する適応様式です。カリスタ・ロイの適応様式の中で看護師にとって重みがあります。看護師が患者とのコミュニケーションに密接にかかわるからです。相互依存様式における適応では親密な関係になろうという意識を持つことを意味します。医療現場では医師による治療や看護師によるケアを受けたいと思うように促すことが相互依存様式のケアです。また、家族や友人などの近しい人たちから援助を受けられるようにしたり、援助されたいと思うようにしたりすることも相互依存様式の観点での適応になります。 相互依存様式の適応ケアは看護によって介入しやすいので重要なポイントです。患者との良好な関係を作ることは基本です。ただ、入院患者のお見舞いに来てくれた家族や友人から患者が好印象を持たれるようにサポートする必要がある場合もあります。看護アセスメントでは患者を取り巻くあらゆる人に目を向けて関係を確認することが大切です。家族との関係がうまくいっていないときには適応できるように、患者本人だけでなく家族にも働きかける計画を立てることで適切なケアを実現できます。

#カリスタ・ロイが提唱する2つの看護アセスメント

カリスタ・ロイの看護理論では看護アセスメントの方法を2つに分類しています。行動のアセスメントと刺激のアセスメントです。看護プロセスの中で重要な役割を果たす概念でもあるので詳細を理解しておきましょう。

・行動のアセスメント

行動のアセスメントは平たく言えば観察です。4つの適応様式の観点から患者を第三者視点で観察して適応できているかどうかを細かく見ます。普段から患者の近くにいる看護師の観察によって得られる情報は重要です。看護アセスメントだけでなく、他の医療従事者のアセスメントもサポートできます。

・刺激のアセスメント

刺激のアセスメントとは患者の行動や容態などを変化させる刺激要因が何かを見つけるアセスメントです。行動のアセスメントによる情報や検査データなどを総合して考えます。看護診断に進むステップです。

まとめ

看護アセスメントでは患者に適応を促すという視点が役に立ちます。カリスタ・ロイの看護理論は参考になるので理解を深めておきましょう。4つの適応様式は患者を理解するためのフレームワークとして活用できます。アセスメントの流れも行動のアセスメント、刺激のアセスメントというステップを考えるとわかりやすいので使ってみてください。

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