訪問看護でのアセスメントのコツ

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#2199 2023/05/24UP
訪問看護でのアセスメントのコツ
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訪問看護ではどのような視点でアセスメントしていくことが重要か?アセスメントで気を付ける視点や特徴を考えていきます。訪問看護師としてデビューしたばかりの方にもわかりやすいよう、在宅ならではのいくつかの場面を想定してまとめています。

・訪問看護におけるアセスメントとは

初回訪問では契約時に基本情報の提供が主治医やケアマネジャーから提示されます。ここに基礎疾患や既往などの記載があります。家族の希望や思いも提示されることが多いです。これをもとに看護計画が立てられ訪問開始になるのが一般的かと思います。ここで陥りやすいのが、基礎疾患に偏ったアセスメント、家族の意向だけに沿ったアセスメントしかできないという落とし穴にはまることです。
基礎疾患に関するアセスメントも大切ですが、ここで大切になるのが「訪問」という環境です。在宅でどう過ごしたいか?のアセスメントができなければ信頼関係の構築は難しいと思います。看護師の知識、先入観に頼らず在宅で患者さんが快適に過ごすためアセスメントが大切になります。
在宅を選ぶ理由は様々です。一人でいるのが好き、長年過ごした家にいたい、家族と離れたくない、経済的に入院入所が困難、家族の意向などが考えられます。在宅を選んだ経緯をできる範囲で把握しておくとアセスメントする際に有効です。
家族は在宅でどう過ごしてほしいと思っているのかともすり合わせて評価していきます。

・最低限のアセスメント

もちろん、我々医療者は身体面の観察評価のアセスメントは必須です。「初めまして」の時は、可能な範囲で全身状態の観察をさせていただきます。頭のてっぺんから足の先までくまなく観察します。この時、疾患名にこだわらず観察することが大切です。理由は、見落とし・観察漏れも防ぐためです。この患者さんはこの病気だからここだけ察したらよいというわけではありません。初回訪問時のアセスメントは今後継続してかかわらせていただく中で私たちの指標になります。ほかの看護師が訪問した時に、病態変化があった際の基準となり観察によるアセスメント結果から今後の継続訪問の際の質の向上もできます。本当に些細なことでも観察することでアセスメントの質の向上、看護の質の向上につながります。

・訪問看護におけるアセスメント

前提として重要なのは在宅での生活がメインであり主役は患者さんであるということです。患者さんが在宅で、いかに安心して生活できるか?できているか?を最優先にする必要があります。時間の許す限り、ケアを行いながらしっかりと患者さんの話に耳を傾け、困りごとを探していきます。「なんともないよ。」としか言わない患者さんの、世間話の中から困りごとや身体の異常などサインを出してくれます。訪問看護の限られた時間の中で、いかに観察しコミュニケーションをとり何が求められているのかを考えていくのが訪問看護のアセスメントでは重要です。
極端な例ですが、医師の指示で飲水制限がある患者さんが、「家にいるからもう好きなだけ水分摂取していいよね?」と話をしてくれた時、なぜ喉が渇くか、少ない水分で満足感を得るにはどうしたらよいかをできれば患者さんと一緒に考えていく過程を経験できることが重要です。私たち看護師が患者さん側に寄り添い、一緒に考えていくことが訪問看護においては最大のアセスメントの特徴になります。死ぬまで家で過ごしたい、もう病院に入院するのは嫌だ!という思いをくみ取りながら丁寧なアセスメントをおこないます。

・看取りでの訪問看護のアセスメント

終末期医療、特にがんの終末期におけるアセスメントは非常に繊細です。終末期のがん患者さんはなくなるギリギリまで意識レベルは保たれます。疼痛コントロール、呼吸状態、浮腫などさまざまな評価が必要です。中にはご自身から鎮静を希望されるケースもあります。苦痛も緩和を最優先に患者さんの意向に寄り添いながら主治医とも連携していきます。

・老衰へのアセスメント

老衰で食事や水分量の確保が難しく、本人の意向の確認もできない場合、家族の意向に沿うことが多くなります。胃ろうを造設してほしい、最大限の治療を継続してほしい、何もしないで自然な形でなど様々な場面に遭遇します。在宅での多くは、自然な形を希望される方が多い印象です。点滴だけは続けてほしいと希望されるご家族もいらっしゃいます。点滴を継続するメリットデメリットをお伝えし、点滴を実施した場合は点滴による有害事象が起きていないか、常に評価していきます。

・同居家族ともアセスメントを考える

在宅の場面では家族の意向も重要になります。患者さんだけの意向を取り入れて評価していくと、主にお世話をしてくれる家族の負担が増大する可能性もあります。入院中であれば看護師が日常の世話はできますが、家族の負担ばかり増えてしまうと在宅での生活を継続できなくなってしまいます。共倒れを防ぐために訪問した際には包括的にご家族の健康状態、精神状態の把握に努めていきます。
患者さんはこうしたいと思っているが、家族は対応可能か?マンパワー的に負担が大きすぎないか?経済的には許容できるか?外部機関との相談が必要なケースではないか?
など常に疑問を持ちながら評価します。患者さんと家族の意向が乖離しすぎている場合は看護師だけで判断せず、ケース会議などを積極的に開催して多くの視点でのアセスメントにつなげていく必要があります。場合によってはショートステイやレスパイト入院は必要か?を評価しケアマネージャーや家族への提案を行い家族と患者さんとの距離を離すことも考える必要があります。
玄関先で患者さんとは離れた場所で家族のお気持ちを確認することもアセスメントの足掛かりになります。本人の前では表出できない気持ちは本人が隠している情報を得るには最適の場面です。家族とのコミュニケーションも積極的にとることをお勧めします。

・住環境へのアセスメント

在宅では病院と違い布団で寝た切りの患者さんに遭遇します。圧倒的に介護用ベッドがいい、早く福祉用具をと思います。でもここは在宅です。ベッドが導入できない理由があります。経済的、居住空間の問題など様々です。今、目の前にあるものでいかに快適に過ごせるようにするか、この環境で褥瘡を悪化させないためには?と考えさせられる場面が多々あります。
お湯が出ない、足の踏み場がない、虫が湧いているなど住環境へのアセスメントが一番難しく介入困難です。それでも訪問看護のご依頼があれば、そこにあるものを最大限に活用し、ケアマネージャーや役所も巻き込みどうしたら患者さんが望む在宅での生活が継続できるかを考え続けていきます。
きれいに整頓されているご自宅でもアセスメントは必要です。手すりの設置位置、トイレまでの距離、ベッドの位置や高さ、スリッパの種類など常に生活しやすいか?こうしてみてはどうか?の視点で訪問します。

・想定外のアセスメント

「訪問時不在」時々あります。どうして出かけちゃうかな?と考えます。訪問看護嫌いかな?認知症の問題かな?など。実は自宅で倒れていることもあるため最悪の事態を想定し行動します。関係機関との連携が重要になる場面です。

まとめ

訪問看護におけるアセスメントは多岐にわたり、様々な患者さんの様々な場所でのアセスメント力が試されます。訪問回数を重ね、仲間や関係機関と情報共有を密に行うことが需要です。訪問は一人で行きますが患者さんや患者さんの家族の思いも取り入れてアセスメントし訪問を重ねる中でバージョンアップさせていけます。常にいろんな場面を想定し、考えながら訪問看護ができると訪問はとても楽しくなります。

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