臨床現場で働くのに苦手意識があって企業に転職することを考える看護師もいます。臨床から離れて働きたい看護師が転職する企業はどこなのでしょうか。ここでは看護師の間で人気がある4つの企業について詳しく紹介します。比較してどこがベストなのかを考えてみてください。
#医療機器メーカー
医療機器メーカーは看護師が臨床で働いてきた経験を活かしやすい企業です。医療機器の開発や製造を担っているのが医療機器メーカーです。臨床で働いていると医療現場のことがよく理解できているので、有望な人材として認めてもらえます。医療機器メーカーでは営業職、企画職、コールセンター業務などに携わることができます。
営業職はMRとも呼ばれていて、医療現場に医療機器情報を提供しつつ、自社製品の提案をして採用してもらうことを目指す仕事です。契約を獲得できるとボーナスをもらえる場合もあるのでやりがいがあるでしょう。
企画職は新しい医療機器の企画を立てるのが仕事です。営業職が医療現場から持ち帰ってきた現場での悩み事や要望を聞いて、新しい医療機器のアイデアを出したり、既存の医療機器の改良点を見つけて提案したりします。新しい医療機器を世の中に打ち出せるチャンスがあるのが魅力です。
コールセンター業務では主に臨床現場や医療機器の代理店からの問い合わせを受けて対応する仕事です。大型医療機器の故障や不具合の連絡を受けてエンジニアを派遣する手続きを進めたり、体温計などの小型医療機器の仕様についての問い合わせを受けて説明したりするなど、さまざまな電話対応を求められます。近年ではチャットやメールの問い合わせにもコールセンターが対応することが多くなっています。医療機器の適正な利用を促す立場として医療に貢献できるのがメリットです。
#製薬企業
製薬企業は看護師が転職する企業として医療機器メーカーと同じくらい人気があります。医薬品の開発と製造をしているのが製薬企業です。臨床現場で働いてきた看護師は医薬品を使用した経験が多いので、ノウハウのある人材として期待されています。製薬企業ではMRと臨床開発モニターが主な仕事です。コールセンター業務にも携わることができます。
MRは最新の医薬品情報を臨床現場に届けたり、臨床現場での医薬品の使用によって得られた知見を聞き取ったりするのが仕事です。自社の医薬品を適正使用してもらうための情報を提供する重要な役割を果たします。さらに臨床現場からのフィードバックを受けて、今後の医薬品開発に生かすための情報を整理して社内に報告するのが仕事です。臨床現場での医師の不満に対して自社の医薬品のメリットを伝えたり、違う製剤の医薬品を提案したりして営業活動をするのもMRの業務です。医薬品を医療現場や患者に届ける役割を担うのでMRにはやりがいがあります。
臨床開発モニターは医薬品の臨床試験の進捗状況をモニタリングする職種です。臨床試験は計画通りに進めることが必須なので、プロトコルから外れているところはないかを現場で確認します。臨床現場で担当している医師や看護師、薬剤師などにヒアリングをして患者の様子を確認するのも重要な仕事です。有害事象が発生したときや、懸念が生じたときには速やかに社内に報告して開発を進めるかどうかの協議をします。製薬企業にとって臨床試験を進めて新しい医薬品の承認を取るのは生命線です。臨床開発モニターはその最前線で進捗を確認する重要な職種で、臨床試験が無事に終わるようにガイドできると大きな達成感があります。
#健康食品会社
健康食品会社はサプリメントを代表とする健康食品のメーカーです。看護師は臨床現場で働いていると患者からサプリメントについて聞かれることがよくあります。どのような患者が何を不満に思ってどのサプリメントに興味を持っているのかをよく知っているでしょう。看護師は現場で得た知識を生かしてくれると期待されています。開発職とマーケティング職が健康食品会社で看護師が転職できる主な職種です。コールセンター業務でも看護師が重宝されています。
健康食品会社の開発職では機能性表示食品などの保健機能食品を開発するのが役割です。栄養機能食品であればビタミンやミネラルなどの特定の成分が一定量含有されていることを示すだけで認可を受けられます。しかし、特定保健用食品や機能性表示食品では効果に関するエビデンスが必要です。機能性表示食品は文献情報でも、企業による独自の臨床試験でも明確なデータがあれば届出ができます。看護師が開発職として期待されているのは、認可を受けるためのエビデンスを整えることです。場合によっては病院やクリニックなどに連絡をして臨床試験への協力を依頼することもあります。臨床現場で築き上げてきた人脈を生かして実施可能な現場を見つけるのが重要になります。このような大きな開発プロジェクトを担当できるとやりがいも達成感もあります。開発した健康食品は胸を張って世の中に出せる点でも魅力がある仕事です。
マーケティング職は健康食品の企画を立てる根拠となる情報を市場調査によって手に入れたり、開発した健康食品が売れる仕組みを作り上げたりするのが仕事です。看護師がマーケティング職として期待されているのは、健康食品のユーザーについて臨床現場でよく理解しているからです。健康食品のマーケティングでは誰が買ってくれるのかを考えて戦略を立てる必要があります。ユーザーについての理解があるとターゲットを明確にできるので、売れる仕組みを作るのが比較的簡単になります。臨床現場で得た知識を生かして、自分の貢献でマーケティングに成功させられるチャンスが大きいのが魅力です。
#メディア・旅行会社
メディアや旅行会社は臨床現場から離れたい看護師が転職する企業としてはややマイナーです。医療や健康に直結しない企業の中で、この二種類の分野は転職先として人気があって、看護師にとってやりがいもあります。
メディアの仕事では看護師の資格を生かして働けるのが特徴です。メディアでは医療系や健康系の雑誌で記事の執筆や監修をしたり、医療関係の番組に出演してコメントしたりします。医療や介護の現場での取材を担当する仕事もあるので、メディアでの職種は多岐にわたっています。メディアが看護師を重視しているのは権威性のある情報発信ができるからです。医療現場で働いていた看護師のコメントや看護師が監修した記事は、一般の人のコメントや記事に比べて信頼性が高いと思ってもらえます。メディアとしては読者や視聴者から信頼される情報を発信するのが重要なので、医療や健康に関する情報では看護師を重宝しています。
旅行会社ではトラベルナースやコールセンターの仕事が主なものです。ツアー旅行を企画している旅行会社では看護師の存在が欠かせなくなってきています。トラベルナースはツアーナースとも言われていて、ツアー旅行に同行して体調が悪くなった参加者に対応をするのが仕事です。簡単な応急処置をしたり、病院に連れて行ったりするなど、容態に応じて適切な判断をする必要があります。トラベルナースは旅行を楽しみながら仕事ができるのが魅力です。あまり深刻な事態が起こることは多くないので臨床現場に比べて働きやすいでしょう。コールセンターではツアーなどを利用して旅行をしている人からの問い合わせに対応します。旅行会社で看護師が担当するのは病気になったから病院に行きたいという問い合わせがメインです。看護師に指示をもらえているというだけで利用者も安心してくれます。メディアで働く場合と同じで、旅行会社でも資格を生かして正しい情報を伝えられるのがやりがいになります。
まとめ
臨床で働くのが苦手だという意識があっても、企業に目を向ければ看護師が活躍できる場所があります。看護師が転職する企業として医療や健康にかかわる企業が多いのは確かですが、メディアや旅行会社も人気があるので検討してみましょう。やりたい仕事が何かを考えて、企業だけでなく職種も選んで転職先を決めるのが大切です。
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