看護アセスメントのPOSとは?初心者も知っておきたいシステム概要を紹介!

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#2033 2022/12/13UP
看護アセスメントのPOSとは?初心者も知っておきたいシステム概要を紹介!
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看護アセスメントではPOSが基本だと聞いたことがある看護師も多いでしょう。POSとは何かを看護学校でも教わったかもしれません。ただ、実際にアセスメントをするときになるとよくわからずに困ることもよくあります。POSとはいったい何なのか、システムの全体を確認しておきましょう。とから、老人ホームで働くことになったのです。その内容についてお話します。

#看護アセスメントで用いられるPOSとは

看護アセスメントでよく活用されているPOSとは看護記録の書き方のシステムです。POSとはProblem-Oriented Systemの英語の頭文字を取ったもので、直訳すると「問題志向型システム」になります。
看護アセスメントでは看護師が専門的な見地から集めた情報を総合的に分析・結合し、どのような問題が起こっているのかを把握することです。看護計画を立てて実施してから、評価をしたときに何が課題として残っているか、看護内容の何が問題だったかを考えて抽出するプロセスがアセスメントと言われています。
看護アセスメントで「何が問題か」と言われてもどのような視点で考えれば良いのか、何を取り上げて記録を書いたら良いのかがわからないというのは初心者のうちにはよくある悩みです。この悩みを解決して自信を持って看護記録を書けるようになるのに役に立つのがPOSです。大手の病院を中心として新人看護師の教育研修でもPOSはよく取り上げられています。

#POSの5要素の内容と特徴

POSの基本的な考え方は患者が抱えている問題が何なのかを広い視野で考え、具体的な計画を立てて経過を追うというものです。看護でも医療でも必要なことだとはわかっていても、具体的にどうすれば良いのかがわからないことがよくあります。POSはこの考え方を定式化することで誰でもできるように仕上げているのが特徴です。POSは以下の5つの要素によって構成されています。

・基礎データ
・問題リスト
・初期計画
・経過記録
・要約記録

POSによる看護アセスメントではこの順番に考えて作業を進めていけば完了します。5つの要素についてどのような内容なのかを解説するので、実際に現場で試してみましょう。

#基礎データ

基礎データとは患者についての医学的見地による基本情報です。患者が今までどのような医療を受けてきたのか、その結果がどうなっているのかを医学的視点でまとめたものが基礎データです。過去のカルテに遡って情報を集めれば確認できます。以下の4つの項目が重要な基礎データとされています。

・病歴
・診断所見
・検査データ
・系統的レビュー

基礎データはこれまでにほとんど医療を受けたことがない患者のときには少ないですが、長年にわたって転院をしながら治療を受けている患者の場合には膨大になります。医療情報の共有が進んでいなかった時代から治療をしている患者では、情報収集をするのが難しい場合も少なくはありません。しかし、他院での検査データも加味してアセスメントをするのは重要です。患者が既往症を忘れているときもあるので、看護師が系統的レビューをしてチェックすると病歴の確実性が高まります。

#問題リスト

問題リストとは患者が抱えている問題の多面的なリストです。患者は不調があるので医療を受けたいと思っていますが、患者が個々に置かれている状況には大きな違いがあります。そのため、問題リストでは以下の7つの横目に分けて取り上げるのがPOSの基本です。

・医学的領域の問題
・生活環境の問題
・嗜好・習慣の問題
・社会的問題
・心理的問題
・経済的問題
・不具・身体障碍的問題

基礎データから考えると問題として考えられる点が浮上してきます。細分化して考えて、それぞれの問題についてどれに該当するのかを分類していくのがPOSにおける基本的なやり方です。問題リストに項目を挙げるときには、長期的な問題か、一時的な問題かに分類します。その方がすぐに取り組まなければならないのか、経過観察をしながら対応すべきなのかを判断しやすくなるからです。

#初期計画

初期計画とは問題リストに挙げた個々の問題に対して、具体的にまず何をするかについてまとめたプランです。初期計画を立てて実施し、患者の反応を見て次のステップに進んでいくのがPOSに基づく医療の基本的なアプローチです。初期計画の立て方として推奨されているのが以下の3つの計画に分ける方法です。

・診断計画
・治療計画
・教育計画

診断計画は医師による疾患の種類や段階などについての診断結果に基づく検査や観察の計画で、看護師が担当する部分をピックアップして協力できるように計画することが必要です。治療計画は患者の診察結果から判断して医師が作成するものですが、いつ何をすべきかを看護師も自分のたちがから考えて具体的な行動計画を立てます。教育計画とは患者や家族に対して普段から何をすべきか、薬剤について注意点は何かといった点を指導する計画です。看護師が対応すべきポイントを見極め、他の医療スタッフと協調して対応していく計画を立てます。

#経過記録

経過記録とは患者が抱えている問題に基づいて、アセスメントを実施し、具体的な計画を立てるまでのプロセスを記録することです。患者に対する看護や医療の結果について処置や所見、ケアなどについて記録をするのとは異なるので注意しましょう。このような記録の仕方は経時記録と言われていて、ただ事実を記述しただけの内容です。しかし、経過記録ではデータに基づくアセスメントが含まれるため、看護師によって記述内容にもプランにも違いが生まれます。
看護アセスメントではSOAP形式の記述が最もよく用いられています。SOAP形式とは叙述式記録をするための基本的なシステムで、問題ごとに以下の4つの要素を順番に考えていくのが基本です。

・S:主観的データ
・O:客観的データ
・A:アセスメント
・P:プラン

Sは患者が主観によって訴えていることや自覚症状、Oは検査結果や診断所見などのデータを指します。SとOを合わせて看護師が解釈や分析をしていき、患者の抱えている問題について評価や意見をするのがA、つまり看護アセスメントです。患者がどのような状態なのかを判断するステップとも言えます。そして、アセスメントの結果に基づいて看護プランを立てるのがPです。看護師の職能を考慮すると、このステップで求められる計画は診断計画や治療計画だけではありません。観察計画やケア計画も含めて、患者に対していつ何をすべきかを具体的に作り上げます。POSが看護アセスメントで標準的な方法になっているのは、データに基づく判断をしやすいシステムになっているからです。
なお、プランを立てる際には経過一覧表を作成するのも重要です。観察項目やケア内容についてチェックリストを作成すると全体像がわかるからです。ケアを忘れてしまうリスクも減らせるので経過一覧表も用意しましょう。

#要約記録

要約記録とはPOSによってどのような目標を達成するためにどんな計画を立てて、実際に何をおこなったのか、その結果として患者の反応はどうなったのかを記述することです。医療によって何がどのくらいの割合で成し遂げられたのかを評価してまとめます。一般的には以下の2つをまとめて書き上げることで医療の質の向上を目指します。

・中間要約
・退院時要約

退院時に要約をまとめるだけでなく、治療の中間地点で定期的に要約記録を作成します。すると、計画を立てて治療を開始した時点からの変化が明らかになり、今後の治療を同じように進めて良いかどうかを考える種になるからです。
最後に退院時要約をして記録を残すと、後になってこの問題に対する治療は良かったのか、悪かったのかを評価して改善点を考えられます。POSが医療の質を向上させるのにもつながるのは、最後にきちんと要約をしてまとめて財産として残していくからです。

まとめ

看護アセスメントをどうやって書いたら良いかわからないときには、まずはPOSに従って書いてみましょう。POSは系統立っているのでわかりやすいのが特徴です。看護や医療に必要なことを自発的に学べる機会になり、患者への看護の質を向上させられるメリットもあります。看護アセスメントではPOSが最も基本として用いられているのでぜひチャレンジしてみてください。

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