コンピテンシーについて聞いたことがあるでしょうか。看護師が就職や転職をする際にコンピテンシーを分析すると有利になります。コンピテンシー分析は就職や転職で自己分析をする方法として優れているのでぜひチャレンジしてみてください。
看護師が就職や転職をするときには自分の強みを理解するのが大切です。面接で自己PRをするときには強みがあると安心ではないでしょうか。強みを生かして働きたいとアピールすればきっと魅力的な人材だと考えてくれるでしょう。自分が活躍できる職場を選ぶときも、強みがあると絞り込みやすくなります。
コンピテンシー分析は自分の特性を理解することを通して強みも弱みも見極めることができるアプローチです。コンピテンシーとは何かを理解した上で、よく用いられているフレームワークで分析をしてみましょう。
#コンピテンシーとは?
コンピテンシーとは果たすべき職務や役割で成果を出す行動特性です。コンピテンシーは英語の「competency」に由来しています。競争するという意味の「compete」から生まれた言葉で、「competency」を直訳すると「能力、競争力」です。ニュアンスとしては競争力のある能力を発揮して自分だからこそできる職務や役割を担当し、成果を出すための行動をする性格や行動パターンを指します。
技術やスキルはコンピテンシーとは異なります。技術やスキルは特定の作業をするためのノウハウのことです。コンピテンシーは技術やスキルを包含している概念ですが、特徴的なのは本人の行動について評価する要素になっていることです。
例えば、コミュニケーションスキルがあったとしても積極的にコミュニケーション取らない人もいます。逆にコミュニケーションスキルは低いのに、何とか場を取り持とうと必死にコミュニケーションを取ろうとする人もいるでしょう。スキルと行動は必ずしもつながるわけではないことがわかる例です。
コンピテンシーは人事評価や人材採用の際によく用いられるようになっています。ビジネスでの応用が一般的ですが、看護師も人材価値を評価するのにコンピテンシーの考え方を取り入れると自分自身をよく理解できるのでおすすめです。
#コンピテンシーを分析するフレームワーク
コンピテンシーを分析するときにはどのような指標を使用するかを考える必要があります。看護師には看護師に適した指標を使うのが理想的ですが、初めてコンピテンシー分析をする人が自分で指標を定義するのは難しいでしょう。
自己分析のときにはコンピテンシーディクショナリーを使用するのがおすすめです。どのような職種でも成果や達成に必要な行動様式を6グループ、20項目に分けたのがコンピテンシーディクショナリーです。フレームワークとして使いやすいので世界的に活用されています。
コンピテンシーディクショナリーは厳密に言えば20項目ついてレベルを評価します。ただ、自己分析をする上ではもう少し簡単なやり方で十分でしょう。20項目を1~5の五段階評価をしてみると、自分の強みになるコンピテンシーが見えてきます。逆に弱みもわかるので、今後、看護師としてどのような働き方をしていけばよいかが見えてくるでしょう。
ここでは20項目の内容を6つのグループごとにまとめました。それぞれの項目で何を考えるべきかを理解するのがコンピテンシー分析をする上では欠かせません。コンピテンシーの特徴を見ながら実際に分析をしてみましょう。
<達成とアクション>
・達成志向:成果や効率を重視する志向、基準を守る意欲
・秩序・品質・正確性への関心:秩序を重視する考え、クオリティを重要と捉える意志、明確であいまいさのないことを大切にする心
・イニシアチブ:行動を起こす力、リードする意欲
・情報探求:情報を収集して深く掘り下げる、問題発見能力
<支援と人的サービス>
・対人関係理解:他人の気持ちや考え方を理解する力
・顧客サービス重視:患者の希望を叶えることへの意欲、サービス精神
<インパクトと影響力>
・インパクトと影響力:周囲や組織に影響を及ぼす力
・組織の理解:組織構造や組織風土、文化を理解する能力
・関係の構築:職務と関連する友好関係を築く力
<マネジメント能力>
・他人開発:部下や後輩の成長をサポートする能力
・指揮命令:部下の指揮を執る力、権威の活用力
・チームワークと協調:チームメンバーと協力する意志、チーム機能の向上に貢献する意欲
・チームリーダーシップ:チームでリーダーとしての役割を担う力
<認知力>
・分析的思考:原因と結果という視点で問題を解明する考え方
・概念化思考:既存概念に当てはめる力、パターン認識能力
・技術的/専門的/マネジメント専門能力:商務に関連するスキルや知識の習得や発展に勤しむ能力
<個人の効果性>
・セルフコントロール:冷静さを保つ力、感情を理性で制御する能力
・自己確信:自分の能力に対する正しい理解と確信
・柔軟性:変化に対する適応力、異なる意見を受け入れて評価する力
・組織へのコミットメント:組織目標を理解して自分の行動を適合させる力
#看護師がコンピテンシーを分析するときのポイント
コンピテンシーは看護師が就職や転職をするときにどのように分析すると良いのでしょうか。コンピテンシーディクショナリーを使って五段階評価をしていくだけで自分のコンピテンシーを理解することが可能です。ただ、どのように評価したら良いかが分からない人もいるでしょう。看護師がコンピテンシーを分析するときのポイントを紹介するので参考にしてください。
・現場経験に基づいて評価する
コンピテンシーを分析するときには過去の現場経験に基づいて評価しましょう。例えば、イニシアチブについて考えても、自分にあるかどうかがよくわからない場合があります。率先して行動を起こして現場をリードした経験があるかを思い返してみましょう。ある患者の様子を見て、もしかしたら容態が悪化しているかもしれない、薬の効きが悪いかもしれないと思うことがあるでしょう。その際にすぐに医師に報告したり、薬剤師に相談したりしたならイニシアチブを取っています。他の看護師も気づいたかもしれませんが、行動を起こしたのは自分です。結果として医療方針が変更になったり、投与する薬を切り替えたりすることになったら、適切な判断として現場でも情報が共有されるでしょう。イニシアチブを取ったことによって周囲に影響をもたらしたと考えられるので、インパクトと影響力もあると評価できます。
一つのエピソードを思い返してみると、さまざまなコンピテンシーの有無を考えることが可能です。芋づる式に自分のコンピテンシーに気づく場合が多いので、自分で行動を起こしたエピソードを思い出して評価してみましょう。
・看護師としてどうなりたいかを考えて評価する
コンピテンシーは行動様式が評価軸になっています。基本的には頭の中で考えていることを行動に起こし、目標達成や成果のために邁進できる力があるかどうかを20項目から評価する仕組みです。ただ、最初から完璧な行動を起こせる看護師はいません。自分が看護師としてどうなりたいかをよく考えてみましょう。その考え方をコンピテンシーディクショナリーで評価するのも就職や転職をするときの自己分析として効果的です。
過去のエピソードに基づく評価は今の自分の看護師としての評価をする行為です。どうなりたいかという視点での評価は自分の未来を見る方法になります。未熟な看護師だけれど将来的にはこうなりたいという考えをコンピテンシーの観点から評価することが可能です。自分の力を引き出すにはどのような職場が良いかを考えるときに有用なコンピテンシー分析のやり方です。
まとめ
看護師にとって就職や転職の面接でアピールする強みを見出したり、自分の力を生かせる職場がどのようなところなのかを導き出したりするのは大変です。しかし、コンピテンシー分析をすれば自分の行動特性から強みも弱みもわかります。就職活動や転職活動のときには自己分析として取り組み、コンピテンシーを生かせる職場を目指しましょう。
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