忙しい業務内でも、きちんとアセスメントすることはより良い看護ケアに活かすために必要不可欠です。看護師は予測不能の事態に出会うことが多いですが、事前にどんなことに注意してアセスメントすべきか分かっていれば、落ち着いて行動できます。
・「アセスメント」と聞いて、苦手意識をもつ看護学生や看護師はたくさんいます。私自身も学生時代に実習などでアセスメントをする機会はたくさんありましたが、その時からアセスメントに対してなんとなく難しそうだな、苦手だな、というマイナスのイメージを持っていました。得られた情報が少なかったり、十分に情報が得られたとしてもどのように看護ケアにつなげていけばいいのか分からなかったことが多かったからです。看護学生を卒業して実際に働きはじめてからも新人の頃は、「その時に実際に目に見えている状態や患者さんが実際にその場で一言話したことだけ」をもとにただアセスメントしてカルテに記録していました。それで正しいアセスメントをできているという気になっていました。忙しい業務で時間に追われる中でしたので、その場で見て聞いたことだけをもとにアセスメントし記録することだけで精一杯でした。しかし、少し業務に慣れたころ、ふとあるとき先輩がカルテに記録しているアセスメント内容を読んだり、患者さんに接しているようすを見て、私の行っているアセスメントとは、「ただ状況を記録しただけで、本当に患者さんに合ったアセスメントをしたと言えるのか?」と疑問に思う場面がありました。確かに間違ったことは記録していないものの、それ以上でも以下でもなく、なんとなく先輩よりもアセスメント力が足りていないような気がするなと感じていました。今思うとこの時は、業務に慣れるのが精一杯だったため、あまり患者さんとお話しする時間に余裕がなくて、コミュニケーション不足であり、信頼関係が築けていなかったように思います。結果として、患者さんから話しかけてもらうのはいつも先輩の方ばかりで、あまり私はうまく関わることができていないと感じていました。そして、ようやく看護師として働き出したのに、アセスメントって情報収集するところからケアに繋がるところまで考えるのがやっぱり難しいな、なんとなく苦手だな、と感じることに変わりがありませんでした。
・それから、何ヶ月か経ち次第に業務にも慣れた頃、時間に余裕ができるようになり、いつも患者さんとよくお話ししている先輩に、「時間があるのなら患者さんとお話しでもしてきたらどう?何か感じてることとか悩んでることとかが聞けるかもしれないよ」とアドバイスを受けたので、患者さんのお部屋に行きました。私は患者さんとたわいもない話題も含めて、時間の許す限りなるべくお話しする時間を設けるようにしました。初めは楽しくお話しして笑顔も見られ、明るい表情が見られることが多かったです。すると次第に廊下で声をかけられたりして何度もお話しする機会が増え慣れてくると、今までいつも忙しい時には聞けなかった、患者さんのつらく悲しい本音や今後どうありたいかといった思いを聞き出すことができました。「いつも忙しそうだから遠慮して言えなかったんだけど、本当は外出に挑戦してみたいんです。」といった希望や、「実は辛い治療をもうやめて、家に帰ってゆっくりしたいんです。」といった本当の思いに触れました。その時、はじめて知らなかった思いに触れたことで、この患者さんは本当はこんなことを思ったいたんだなと驚いたことを覚えています。そして、本当は私たち看護師に何をして欲しいのか、何を求めているのかを考えさせられ、看護師の在り方まで考えるようになりました。それからは重い内容に自分がどうしたら良いか悩んでしまって、カンファレンスなどで先輩に、この患者さんがこのような思いを抱いているがどうしたらよいか?という相談をして、私は看護師としてどうすべきか、何ができるのかを考えるきっかけをつくることができました。なかなか患者さんの思いすべてを受け入れるのは難しいことなので、他の看護師に、この患者がこう言っていたがどうすれば良いか?とアドバイスを求めることができたことは良かった点であると思います。周知してそして実際に患者さんが思いを表出したことに寄り添って看護ケアをした結果として、「ありがとう、あなたで良かった」とこの上なく看護師として嬉しい言葉をもらうことができました。その時のことを5年経った今でも鮮明に覚えています。私がやってきたアセスメントは間違ってなかったんだと思い、達成感でいっぱいでした。
・そして、忙しく働いていた新人の頃に私がやっていたアセスメントはアセスメントとはいえなかったことに気付かされました。ただ患者さんの状態を表面上だけでとらえて記録しただけでした。何が本当のアセスメントなのかに気づいた後は、積極的に意識づけて患者さんとたわいもない話題も含めお話しする時間を設けることを大切にしました。そこから話が広がったり信頼関係が生み出されて、患者さん側から「実はね…」と本当の思いを表出してくれることも増えてきました。このようにアセスメントすることで、単に疾患をみて病気に対してケアするだけでなく、精神的にもフォローすることができます。それは、普段病気に対してアセスメントをするのみの医師にはできない、看護師ならではのやり方であると感じています。身体的にも精神的にも寄り添うことができるのは看護師の強みであると私は思っています。学生時代には学べなかったアセスメントの方法を見つけることができたのは、先輩のアドバイスのおかげだと思っています。
・アセスメントをするとき、まず何をしたら良いかや、どんなことに気をつけるべきか分からないと悩んでいる方は、まずは患者さんとたわいもないお話しをすることから始めてみてはいかがでしょうか?見たまま聞いたままをそのままアセスメントに使うのも大事なことです。けれども、より患者さんに寄り添った個別性のあるアセスメントをしたいと考えているのならば、ぜひ話をすることからはじめていただきたいと思います。たとえそこから話が広がらなくても、それはそれで患者さんのリフレッシュにつながります。傾聴という看護ケアがあるように、お話をするだけでも確実に信頼関係は深まっていきますよ。そうしているうちに患者さんはあなたのことをいち看護師ではなく、よき理解者として信頼して、秘めていた本音を話してくれるでしょう。患者さんの気持ちをすべて受け入れるのはときに難しく、看護師として苦しい気持ちになってしまうこともあると思います。そのようなときには、ぜひカンファレンスなどであなたが受け取った患者さんの思いを他の看護師にも周知してください。一人で悩まずに一緒に解決に向けてすすんでください。アセスメントは一人でなくみんなで行うことで、たくさんの意見を含んでより質の良いものになると思います。そうして得られた個別性のある看護ケア方法をもとに患者さんに還元していただければ、またあなたのことをよき理解者として信頼してくれ秘めた思いを表出してくれることでしょう。
まとめ
私はみなさんに、今回のことを通して、アセスメントに対して苦手意識を持って欲しくないなと思いました。まずは忙しくても患者さんとお話を少しでもする意識をもっていただきたいです。そこから思わぬ本音が聞けて、より良い看護ケアにつながります。信頼関係が築けてきっと患者さんが「あなたでよかった」と言ってくれますよ。
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