「短期間での転職は印象が悪い」「一度働き始めたら最低でも3年働くべき」と言われますが、本当にそうでしょうか。
結論を言えば、そのような事実は一切ありません。
もちろん、病院は施設によっては悪印象を与えてしまう場合もあるでしょう。
ところが、重要なことは就業期間ではなく、転職理由です。
実体験を踏まえて短期間での転職についてお伝えします。
「短期間での転職は印象が悪い」「一度働き始めたら最低でも3年働くべき」と言われることがよくありますが、本当にそうでしょうか。
様々な理由で短期で転職せざるを得ない状況におちいってしまう看護師の方も多くいらっしゃると思います。
そして、そのような状況になってしまった場合、就業1年未満での転職が可能かについて不安を感じる方もいらっしゃることと存じます。
結論を言えば、1年未満の就業期間では新しい環境に転職できない、という事実は一切ありません。
もちろん、病院や施設によっては1年未満の就業期間が悪印象を与えてしまう場合もあるでしょう。
ところが、重要なことは就業期間ではなく、転職理由なのです。
私は看護師として働くうちにうつ病でを発症しました。
その結果、就業状況が安定せず、職を転々とした経験があります。
そこで、私の実体験を踏まえて1年未満の就業期間での転職についての実情をお伝えします。
1.短期間での転職を繰り返しているうつ病看護師の実情
私はもともと大学病院で10年間勤務していましたが、モンスターペイシェントから不当なクレームを浴びせられたことで人間性も看護師としてのキャリアも否定されました。
それがきっかけでうつ病を発症し、その大学病院では働けなくなり、民間病院に転職しました。ところが、働き続けるうちに抑うつが強くなり、抑うつと嘔吐で出勤できなくなり、約半年で退職してしまいました。その直後にも他の民間病院に転職しましたが、やはり半年ほどで退職しています。
そこで、病院での勤務はあきらめ、介護施設で働くことにしました。
病院を続けて、たったの半年で退職してしまった私ですが、その後介護施設への転職の際も特に支障はありませんでした。
転職の際は転職エージェントを利用したことも、直接応募したこともあります。
2.1年未満で転職することになってしまう理由
看護師の転職理由として考えられるのは人間関係の不和や過剰な時間外労働など、実際に働き始めて初めてわかることが原因となることが多いでしょう。
私の場合はうつ病が原因だったので、転職しても働き続けるうちに抑うつが強くなり、体調自体も悪化することで働けなくなって退職してしまいました。
また、体調不良の内容としては具体的には嘔気・嘔吐が止まらない、という症状が生じました。消化器内科も受診しましたが、消化器的な異常はありませんでした。
このような状況が続くうちに勤務先に受診状況とお薬手帳の提出を求められました。
受診状況については精神科を定期的に受診していることを隠すことはできましたが、お薬手帳の提出を求められては精神安定剤を内服している事実を隠すことはできませんでした。
結局、精神安定剤を内服していることが職場にばれ、「精神安定剤を内服している看護師は患者の安全を守れない」「精神安定剤を内服して、ぼーっとしてミスをされては困る」と即日クビにされたこともありました。
このように、自分が望まなくても転職せざるを得なくなってしまう場合もあるのです。
3.短期間の転職の際に気を付けるべきこと
短期間で転職する看護師にもそれぞれ理由があるものです。
短期間働き、その後もやはり看護師として働きたい、と思うのは看護師の仕事自体が嫌いなわけではなく、就業環境や人間関係にトラブルがあったものの看護師自体は続けたい、と考えていることがわかります。
私の場合はうつ病が短期離職の原因でした。
従って、他の原因の場合には断言はできませんが、精神障害の場合には転職エージェントにその事実を伝えることは転職を不可能にします。
ある有名看護師転職サイトに「うつ病を抱えながら転職できた」という20代の男性看護師の転職体験エピソードがあったため、そのサイトを利用しましましたが、うつ病の事実を伝えたとたん紹介してくれる紹介先は目に見えるほど激減しました。
また、「病気がある看護師はなかなか就業先が決まりにくい」と言われ、転職どころか面接に臨むこともできませんでした。
つまり、病気に対する理解がありそうな病院という環境でさえ、精神疾患への偏見は強く、敬遠されているという事実が現在も確実にあるといえます。
そのため、転職理由が毎回人間関係の不和である場合も、看護師としてのコミュニケーション能力不足や転職希望者本人の人間性の問題を疑われてしまう可能性もあります。
逆に病気などの体調不良や夫(家族)の転勤がきっかけで自分の意思とは関係なく退職せざるを得なかった場合は短期間の就業だったとしても希望する転職先に不満や不快を与えることはありません。 ただし、病気についてはすでに緩解しており、現在は業務に支障を与えることはないことを強調できることが必要だと言えます。
一方、家族の転職に伴う退職がやむを得ない事情として転職先の理解を得られやすいということは、知人の看護師の実体験そしての情報があります。
ですから、既婚者でどうしても適切な転職理由が思いつかない場合にはこの理由を挙げることも有効と考えられます。
ただし、この理由の場合は家族の職業を問われる可能性もありますし、今回も家族の転勤で短期で退職してしまう可能性が高い、と考えられてしまう恐れもあります。
ですから、家族の転勤を理由として挙げる場合には、若いころには家族の転勤が多かったが、現在は転勤はもうなくなった、と長期的に働くことが可能だということをしっかり伝えることが重要だといえます。
4.転職の理由として挙げられる具体例
ここで、短期的な転職を繰り返してしまっている私の具体的な転職理由として挙げていることをご紹介します。
大学病院勤務の後は地域包括ケア病棟に転職し、次は単発看護師としてフリーランスとして働いていました。その後、重度障害者病棟に転職しました。
それぞれ半年ほどでの転職で、原因はうつ症状の悪化でしたが、転職理由としては以下のように説明しました。
・地域包括ケア病棟への転職→大学病院から地域の病院に転院する方が多いので、地域の病院の
働きを学びたいと思い転職を希望しました。
・フリーランスへの転職→地域包括病棟に入院していた方が社会に戻った時に活用している社会資
源について学びたいと思いました。
・重度障害者病棟への転職→フリーランスで働いていたときに培った経験をもとに、地域での学び
を再び病棟での看護に活かしたいと思いました。
というように、面接では説明しました。
5.短期での転職の際に重要なこと
短期間しか勤務できず、転職せざるを得なくなることは誰にでもあるでしょう。
そして、その理由も人によって様々です。
私の転職理由とは全く異なる理由で転職する方ももちろん多いと思います。
ところが、上記で具体的に挙げたように、≪新しい転職先を選択した理由≫があるのは事実だと思います。
つまり、その≪新しい転職先を選択した理由を前向きに伝えること≫が重要なのです。
例えば、もともと働いていた職場での人間関係が悪かった場合、新しい転職希望先は≪看護の実践の上で重要なチーム医療を実践できる環境だと思いました≫
などというように、転職希望先に改善が期待できることを転職の理由として、また、その病院や施設を転職希望先として挙げればいいのです。
まとめ
1年未満での転職が転職先に悪い印象を与えることになってしまうのは残念ながら事実です。
ところが、重要なのはどんなに短期間での転職だったとしても、転職の理由と希望を前向きに伝え、新しい環境で前向きに積極的に学んでいきたいことを伝えることです。
新しい環境で前向きに学ぶ意思を示せば、1年未満の転職でも十分に転職を前向きな事項として伝えることができます。
ネガティブな理由で転職を志すのではなく、ポジティブな理由で転職を志せば、1年未満の転職も決してマイナスな要素にはなりません。
自信をもって、前向きに転職希望を伝えてみてくださいね。
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