異常の早期発見・予防を観察とアセスメントで気づくためのポイントについて。

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#1861 2022/06/27UP
異常の早期発見・予防を観察とアセスメントで気づくためのポイントについて。
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看護師の観察やその観察で得た情報をアセスメントすることは、異常の早期発見・予防において、とても重要な技術だといえます。
しかし、観察はただバイタルサインを測定して、患者さん本人にしんどくないかなどを聞くことだけでは十分な観察とはいえないでしょう。
今回は私の病棟経験や訪問看護の経験から学んだ観察やアセスメントで重要にしたいポイントについて、事例を紹介しながらお話させて頂けたらと思います。

看護において観察はとても基本的なものかもしれませんが、それがなければどんなに技術がうまくても、どんなに仕事が早くても、看護ができているとはいえないでしょう。
バイタルサインに異常はみられていないか、いつもと違った様子はみられていないか、異常の早期発見をするためにも、観察とアセスメントはとても重要なものです。

では、私が体験したある事例を紹介したいと思います。
これは、訪問看護である利用者さんのお宅に訪問した時のことです。
その利用者さんをAさん(仮名)とさせていただきます。Aさんは3か月に一回訪問させていただいていた方でした。
Aさんは女性で、一人暮らしをされている方です。基礎疾患として糖尿病と高血圧があります。
バイタルサインを測定し、体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2はどれも正常範囲内で、訪問時は居間に座られていましたが、特にしんどさなどの訴えはありません。
生活の様子をお聞きすると、最近少し動いただけで息切れをしたり、疲れたりするので、居間で横になることが多くなっているようです。
最近では近所に回覧板を持っていくのに休み休みでないと歩いていけず、シルバーカーを利用して行くようになったそうです。以前はそんなことはありませんでした。
食事摂取量や水分摂取量は今までと変わった様子はないとのことですが、もともと水分摂取量は少なめで、砂糖の入った炭酸飲料を飲むこともあるようです。
夜間の睡眠状態は夜中に何度か目が覚めて咳が出る、ということでした。
本人としては「疲れがたまってるのかな?」と思い、なるべく休むようにしている、と話されています。

皆さんはどうアセスメントするでしょうか?
バイタルサインに異常はみられていないため、経過観察として生活指導のみされるでしょうか?

訪問時は安静時の状態で、訪問看護のため、一日中Aさんの様子を見ているわけではないため、観察とアセスメントはかなり重要なポイントになってきます。
当時私はどうしたのか、といいますと、バイタルサイン上では正常範囲内だったが、あくまで安静時の状態であることであり、利用者さんのお話から活動時の様子をアセスメントしました。
基礎疾患のことも考慮に入れて、心不全等のリスクをアセスメントし、利用者さんに予定のかかりつけの受診日を早めて受診していただいた方がよいことを説明・提案し、受診していただきました。
その結果、その利用者さんはやはり心不全を起こしており、入院治療が行われることとなり、早期発見につながることができました。

訪問看護ではかかりつけの医師に状態の報告はできても、受診については利用者さんに強要できないため、いかに早期に発見して、利用者さんにわかりやすく説明するかがとても大切になってきます。
今回の事例では訪問看護でしたが、観察やアセスメントは病棟でも外来でも訪問看護でも施設でも、どの場所でも重要なものだと思います。

では、観察やアセスメントにおいてどういったことに気を付けて行ったらよいのか、私なりにではありますが、ポイントをご紹介したいと思います。

1、バイタルサインはその方の平常時の数値を把握する

バイタルサインは年齢ごとにおおよその平均値や正常値が存在しますよね。ですが、患者さんや利用者さん一人ひとりによって、その方の平常値が存在します。
病棟や訪問看護など場所に違いはあっても、毎回その方のバイタルサインの測定を行い、数値の情報をカルテに記載するなどによって、スタッフ間で情報の共有を行うことが大切になってきます。

2、呼吸数を忘れない

バイタルサインの測定のなかで、呼吸数を測らない看護師の方も現場ではおられますが、患者さんの状態の観察やアセスメントにおいて呼吸数はとても重要です。
体温や血圧、脈拍数、SpO2の値が注目されがちですが、それらに異常がみられていなくても、呼吸数には異常のサインが現れやすいのです。
血ガスの学習をしていると、呼吸数がアシドーシスやアルカローシスでどう変化するかを学習するので、その理由がわかると思います。
測定に時間がかかるものかもしれませんが、呼吸回数や呼吸の様子(努力呼吸があるかどうか、体位によって変化はあるかなど)は、アセスメントにおいてとても重要なものなので、必ず測るようにしていただきたいです。

3、手で触れて末梢循環を確かめる

バイタルサインを測定する際などに手先などに触れることがありますが、異常の早期発見において、末梢循環に変化はないかは大切な観察のポイントのひとつだと思います。例えば手先や足先に冷えを感じていないか、しびれを感じていないか、浮腫はないかなどは目安の一つとなると思います。

患者さん自身に自覚がある場合だと気づきやすいのですが、自覚がない場合もありますので、できれば自分自身の手で触れて見て観察し、アセスメントを行うことが大切だと思います。

4、日常生活で今までと変わったことがないか気づける関わりを大事にする

一人の患者さんと話をできる時間はどの現場でも限られていると思います。だからこそ限られた時間の中でその患者さんが普段どういう日常生活を送っているのかを把握するためのコミュニケーションは看護において必要な技術になってきます。
そのコミュニケーションにおいて大切なのは、質問攻めにするのではなく、患者さんが何気なく話をしている内容から情報を得るということです。
また、一人でその情報を聞き取るのではなく、他のスタッフと得た情報を共有したり、ご家族の方からも情報を得たりなど、いろいろな情報をチーム内で共有することで、その患者さんの生活背景を把握しておくことが大事だと思います。
そのなかで得た情報から患者さんの日常生活動作や食事・水分摂取状況、排泄状況、睡眠状況、そして健康管理においての行動などを把握し、アセスメントを行うことで、どんな異常が危険性としてあるのか、今目の前にある状態に何か異常のサインはみられていないのかどうかを知ることができます。

5、患者さんのご家族の方とのコミュニケーションを大事にする

このポイントについては、どの現場においてもその患者さんの家族関係の把握やキーパーソンとなる方が患者さんとどのぐらい密に関りがあるのかどうかを把握したうえでの大事にするべきポイントになると思います。
患者さん本人に自覚のないことでもご家族の方からみると普段と違った様子である場合があります。そういったことに気づくことができるようになるためにも、患者さんだけでなく、患者さんのご家族の方とのコミュニケーションも大事にし、信頼関係を構築することは大切になってきます。
患者さん本人だけでなく、患者さんのご家族の方やキーパーソンの方のお話にも注目して情報を得ることは、より質の高いアセスメントにつなげることができるんですね。

以上5つのポイントをご紹介させていただきました。これらのポイントはどの現場でも観察やアセスメントにおいて重要になってくるポイントだと思います。

まとめ

今回は私の訪問看護で遭遇した事例をご紹介したうえで、異常の早期発見・予防のアセスメントのために大切にしたい観察のポイントについてご紹介しました。
どの現場においても患者さんや利用者さんのそばで話をしたり、観察をする時間は限られています。
だからこそ、ご紹介したポイントを意識しながら患者さんとかかわることで、焦らずに重要なポイントを落とさずに観察・アセスメントを行うことにつながっていくのではないかと思います。
異常が起こる前にサインに気づける観察やアセスメントを日々の業務のなかで行っていけるように、参考にしていただければ幸いです。

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