看護師は何処に行っても求められる職業であり、転職も他職種と比較して簡単です。
しかし、それを容易に考えて繰り返してしまうより、きちんと考えて転職すると、人生豊かになります。
転職する目的や理由をはっきりとさせて、転職の情報収集方法をお話します。
1.転職しやすさの裏を考える!
看護師の転職率は高いです。
その理由に転職のしやすさがあるかと思います。
転職サイトを検索すれば、素敵な情報が書かれた病院やクリニック、保健センターなどがすぐにヒットします。
しかし、その裏を考えてみてください。
常に人材を募集している病院やクリニックは、言い換えれば「常に人材が不足している」ということです。
その理由は産休育休などかも知れません。しかし、離職率が高いとも考えられるのです。
離職率が高いということは職場環境として良いとは言えないかも知れません。
今、あなたが「転職したい!」という気持ちが高まるような職場環境だとしても、一旦冷静になって考えてください。
2.転職したい!という気持ちだけで走り抜けた失敗談
これから、私が経験した転職の失敗談をお話します。
最初の職場は大学の附属病院でした。
教育制度もしっかりとした大変ありがたい病院でしたが、人間関係がとても悪い病棟に配属されました。
グループ研究もグループが一致団結してするということはなく、先輩は参加せず、後輩である私に全て押し付けました。
その結果、休む間もなく病院にいることが多くなりました。
心も身体も疲弊していったとき「転職したい」という気持ちが高まりました。
それからすぐに転職サイトに登録。
するとあれよあれよという間に、どんどんと病院やクリニックの転職情報が手に入りました。
ここで教えられる情報は全て良いことづくしです。
私は何の疑いもなく転職サイトから送られてくる情報を信じて、転職を試みました。
大学病院に勤めていたこともあってか、全ての病院に「採用」を貰い、有頂天になりました。
そして、それから大学の附属病院でしたが、小さい、病院に転職をしました。
同じ大学の附属病院であれば、教育も整っているだろう。
同じ大学の付属病院であれば、これまでの経験が活かせるだろう。
また、同じ大学の付属病院であっても小さな病院、産休育休も取りやすいと情報があったから、働きやすいのだろう。
そう、全て「〇〇だろう」という安易な考えのもと、私は転職したのでした。
転職先で同じ病棟の同期となったのは、看護師経験が5年以上の5人転職者でした。新卒は誰一人いませんでした。
この理由を働いて知ることになりましたが、新卒を取れない病棟の運営状況だったのです。
離職者があとを経たず、その病棟は運営困難な状況だったそうです。
そのため、他病棟から応援看護師を常に受け入れて病棟を回していたと、後々聞きました。
そう、転職者に即実践力となって働いて貰わなければならないほど、危険な病棟だったのです。
看護師経験をされたあなたなら分かるかと思いますが、もう、過酷です。
病棟業務における全て、経験者と同じレベルを求められるのですから、毎日が怒涛の日々でした。
それが3ヶ月過ぎたとき、同期の一人が突発性難聴になり退職。それを皮切りに、退職者があとを経たず、1年後には同期は一人も残らず、私一人となりました。
私は「辞めるもんか!」と孤軍奮闘してきましたが、それも続きませんでした。
結婚してからも続けましたが、ここでは産休育休も面の皮が極厚でなければ取れない、そう察して退職しました。
3.転職に失敗した理由
転職に失敗した理由は何だったのでしょうか?
それは一つに「転職の目的が明確ではなかったこと」があります。
人間関係が嫌だったという理由で転職に踏み切りましたが、失敗して分かったように、職場を変えたからと言って人間関係が良い職場に行けるとは限りません。
そして、この理由を元に、新しい職場を探すのは困難です。
だからこそ、自分主体の転職目的が必要なのです。
友人の一人に「もっと小児看護を極めたいから転職する」と言って、関西の病院に転職した子がいます。
その子は愚痴を言いながらも5年経った今も転職先で働いています。
それは「学べる、極められる環境があるから」と言います。
転職したい目的は「看護師として、どんな人生を歩みたいか」そう考えると良いかも知れません。
自分主体の目的、誰にも侵されることがない目的、それを考えてください。
ワークライフバランスを見るのであれば、離職率は必ず確認しましょう。
離職率が高い職場で、ワークライフバランスの取れた看護師生活を送るのは不可能に近いです。(面の皮が極厚の方なら別ですが…)
そして、結婚はまだしも「妊娠ができる環境なのか」も重要です。
残業時間が長い職場では、心身の疲弊が大きく、妊娠できる環境とは言えませんからね。
4.転職サイトに要注意!
転職サイトを利用して転職する人は多いと思います。
それは簡単に情報を集められるから。
しかし、その状況に甘えすぎないように要注意です。
私の転職先の同期は、結婚を機に転職したという方がいました。
それはこの病院がライフワークバランスを考えて、その制度をきちんと取り入れていると謳っていたからです。
彼女は結婚、産休育休、看護師人生を長く続けたい、という希望を面接で言い、快く受け入れられたと思ったそうです。
しかし、実勢の業務が始まれば、それは「嘘」とも言える過酷な勤務です。
もっと下調べするべきだったというのが、私たちの経験から学んだことでした。
面接で分かることはほとんどありません。
では、どうすれば良いか。
実際に働いている人から話を聞くのが一番です。
病院の説明会などに赴き、看護師同士で会話して情報を得ることが一番です。
新人じゃないのに…と思う方もいらっしゃると思いますが、そこが転職成功、失敗の分かれ道です。
転職サイトの方はとても魅力的な情報ばかりを言いますが、そこが本当にそうなのか、自分の目で確かめましょう。
ある人が言っていましたが、実際に働く看護師から得る情報に勝るものなし、だそうです。
看護師のネットワークから、転職先を見つけるのも、一つの方法かも知れません。
5.結婚を機に退職するのは「ちょっと待った!!!」
転職の理由の一つに結婚は多いにあると思いますが、それを理由に転職するのはちょっと待ってください。
転職先がすぐに正職員にするとは限らないからです。
1年は有期雇用契約というところもあります。
その場合どうなるかと言うと、仮に1年未満に妊娠をしたとしても産休育休が充分には取れないのです。
通常正職員であれば、育休中は給与が貰えます。
それが貰えないのです。
これは大きいです。
絶対に確認してください。
そして、言っておきますが、転職1年未満に妊娠をして歓迎してくれる人は「少ない」ですよ!
結婚をして住居が変わる等の理由がなければ、今一度お考え直した方が良いような気がします。
夫婦できちんとお話し合いをされてくださいね。
6.最後に転職の心構え「初心忘るべからず」
最後に、転職経験のある私から、転職をお考えのみなさまに少しだけアドバイスエールを送ります。
とくに初めて転職する人は読んでください。
病院やクリニックによって「ルール」というものが存在します。
それは何処に行っても同じですが、とても複雑になったルールも存在します。
例えば点滴のダブルチェックのやり方一つにしても、全く違ったり、ツッコミどころ満載のやり方をしているところだってあります。
でも、転職先ではあなたは新人からのスタートです。
最初はルールに従って、業務をしましょう。
そして時が過ぎ、あなたも慣れてきて、それでも「おかしい!」と思うことは口を出すようにしましょう。
同期の転職者に「口を出し過ぎる人」がいましたが、人間関係が上手く行かず退職に追い込まれました。
まずは、郷に入っては郷に従え。
それから、その病棟の未来を考えていってくださいね。
「初心忘るべからず」です。
まとめ
看護師人生を豊かにするも、しないも、あなたの描く看護師人生に合う病院を見つけることです。
それを曖昧なまま転職してしまうと、転職を繰り返してしまう結果になります。
しっかりと自分と向き合って、アセスメントすることが大切ですね。
あなたが転職したい理由、目的は何ですか?
それを明確にして、豊かな看護師人生となることを願っております。
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