脳神経外科で看護師として就職後の仕事内容を徹底解説

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#1752 2022/03/12UP
脳神経外科で看護師として就職後の仕事内容を徹底解説
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脳神経外科で就職して働いてみたい、興味はあるのになんとなく「ハードルが高い」イメージがあるのではないでしょうか。

今回は、脳神経外科に興味をお持ちの皆様に、実際に働く中でのやりがいや大変さ、仕事内容などをお伝えしていきます。今後の参考にぜひご利用ください。

1.脳神経外科【脳だけでなく脊髄や末梢神経の病気も対象】

脳神経外科とは?
脳、脊髄、末梢神経系およびその付属器官(血管、骨、筋肉など)を含めた神経系全般の疾患のなかで主に外科的治療の対象となりうる疾患について診断、治療を行う診療科
脳だけでなく脊髄や末梢神経の病気も対象にしている
略称は、脳外科、脳外と略される
麻痺や嚥下障害(食べ物を飲み込むことが出来ない)、日常生活動作(ADL)を行う事が困難な患者さんも多い
(参考:看護師お悩み相談室)

脳神経外科の主な対象疾患

脳血管障害
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
脳腫瘍
良性脳腫瘍、悪性脳腫瘍など
脊椎・脊髄
変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、脊椎・脊髄損傷など
頭部外傷
頭蓋内出血、脳挫傷、頭蓋骨骨折など
老化と痴呆
水頭症、脳血流低下など
先天奇形
先天性水頭症、さまざまな奇形、二分脊椎などに対しての外科的治療
機能的疾患
てんかん、パーキンソン病、不随意運動、顔面痙攣、三叉神経痛、痛みなど
炎症性疾患
髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、寄生虫、AIDSなどからの炎症
(参考:脳神経外科疾患情報ページ)
(参考:ウィキペディア 脳神経外科学)

 2.脳神経外科での看護師の就職後仕事内

(1)看護師の役割

バイタルサインの変化や表情、全身状態のちょっとした変化を見逃さないよう、細心の注意を払いながら、体が動かない、口がきけなくなったなどの患者さんの心と体のケアをすること
ご家族や患者さん、医療チームと円滑なコミュニケーションをとり、回復に向けてのパイプ役となること
「出血や梗塞などで脳に損傷を受けた患者さんは、意識が戻っても、自身の身体の変化を受け入れるのに時間がかかり、ご家族のショックも大きい。少しでも心理的な負担をやわらげるために、言葉遣いや態度にも気を配る。敬意を払いつつ、意識障害のある患者さんにも分かりやすい簡潔な言い回しを選ぶようにしている。」
「出血が止まったら、これができるのでは?と、医師に提案ができるのは、患者さんの近くでいつも接している看護師だからこそ。担当医師からの指示を受けながら、時期を見て提案するようにしています。」
「リハビリ職種の方々と連携をして、たとえば嚥下(食事を飲み込むことが出来ない)であればST(言語聴覚士)の方と一緒にアセスメントして、嚥下訓練を行うようにしています。チームで関われるので、心強い面があります。」
(参考:メディアンネット)

 (2)脳神経外科看護師の仕事内容

脳神経外科の看護師の仕事内容はバイタル測定、患者さんの生活の介助、医師の診察の介助など大きな流れは他の診療科の看護師と変わりはありません。(以下表参照)
決められている流れは変わりませんが、通常業務をやりながら急患・急変対応を行うために忙しいことが多くなります。

脳神経外科 看護師 仕事内容

(参考:千葉脳神経外科病院)
ア.脳神経外科の仕事内容【特徴的な事、知識が必要となってくること】
仕事内容の流れは他の診療科と同じですが、意識がない患者さんがいたり、頭部にドレーン(管)が挿入されている場合があり、他の診療科よりも細かい記録・管理・知識が必要な事も出てきます。

①【脳神経外科のバイタル測定はやることが多く時間がかかる】
通常のバイタル測定(血圧、脈、検温)+MMT(徒手筋力テスト)+意識レベル、瞳孔の大きさ、対光反射を観察し、記録する
*意識レベルを観察するにも日本独自のJCS と世界基準のGCSを使用する
「他の科では通常、バイタル測定は血圧に脈、検温程度ですが脳外科はそれとMMT(徒手筋力テスト)と意識レベル、瞳孔の大きさ、対光反射ぐらいは必ず記録に残しますし、バイタル測定のたびに行うことが他の科との大きな違いですね。」
(参考:看護師お悩み相談室)

対光反射とは?
瞳孔に光刺激を与えると瞳孔が小さくなる反応のこと。対光反射は中枢神経の変化を調査するための指標とする
(参考:看護roo!ナースぺディア)

②CTがある程度見られる事が必要となる
「CTで梗塞や出血があればどの部位が麻痺で傷害されるかを予測していきます。
ですのでCTもある程度は見れないといけませんし、CTをみればある程度はどの部位が麻痺するかは解かりますよ。例えば手や口が麻痺される可能性が高いから、看護としては今後、○○に対して看護を重視しようとなります。」
(参考:看護師お悩み相談室)

③アンギオグラフィー(血管造影検査)に関しても一通りの知識は必要となる
「アンギオグラフィーは比較的安全な検査ですが、カテーテル法は特に副作用や合併症のリスクが高いため、バイタルサインなど患者さんの状態を注意深く観察し、異常時には迅速に対処できるよう準備しておく必要があります。」
(参考:ジョブデポ ナースのヒント)

血管造影検査とは?
カテーテル(細い管)を主にそけい部の動脈から肝臓や腎臓、脳の血管まで挿入し、造影剤を使用して血流や腫瘍の分布を見たり、血管の狭窄や閉塞を知るための検査
(参考:新潟県立中央病院)

④脳室ドレーンを始め、頭に留置するドレーン類はかなり厳重な管理が必要となる
ベッドの角度により頭蓋内圧は変動するため、角度を15~30°に保ちながら体位交換や清潔ケアを行う
怒責禁をおこなう
*排便時などにいきむこと(怒責)を避けるため膀胱留置カテーテルの挿入や緩下剤の投与を行う
ドレーンの自己抜去(自分で管を抜いてしまう)のリスク回避
*自己抜去の確率が高いと判断された場合には家族に説明して身体拘束することに同意をいただく
感染予防に気を配る
*排液の漏れは髄液感染の原因となるため、ドレーン刺入部の観察では、排液の漏れ、発赤、腫脹などがないかどうかを確認する
「患者さんが頭や身体を起したり、ベッドの高さを上げたりすると、チャンバー(点滴装置の容器)に過剰な陰圧がかかり、オーバードレナージ(髄液の過剰排出)が起こります。
その結果、出血を助長したり、痛みを生じることがあります。看護師は訪室時にはチャンバーの位置や患者さんの頭の位置、姿勢などをしっかり確認するようにしましょう。」

「排液の漏れは髄液感染の原因になるので特に注意が必要です。毎日、包帯交換の際に必ずチェックしましょう。排液の漏れを確認したら、医師に報告のうえ、消毒します。排液はガーゼに吸わせて、漏れた量をカウントし、総量を観察します。」
(参考:ナース専科ナースプレス)

 (3)脳神経外科の看護師【体験談】

体験談をもとに脳神経外科で働く看護師さんの実情をまとめました。

ア.脳神経外科でのやりがいや魅力

1分1秒の違いで患者さんの生命が関わるため、観察力や看護力が試されやりがいとなる
脳・神経系・内科・脊髄疾患の処置や医学知識の勉強が出来る、学ぶことが多い
長期にわたって入院、リハビリをしていた患者さんが歩けるようになるなど、回復を実感できる喜びがある
脳血管疾患の患者さんの「血管が細い、脆い、肥満の方」などの採血や点滴が難しい方が多く、対応していくうちに採血の腕が上がっていく
脳血管疾患とは
脳の血管のトラブルによって脳細胞が障害を受ける病気の総称。主なものには、脳内の血管が破れる「脳内出血」、脳を覆っている軟膜とその上のくも膜の間で出血する「くも膜下出血」、血管が詰まる「脳梗塞」があり、これらをまとめて脳卒中という。
(参考:日本成人病予防協会)

「やはりクモ膜下出血や急性硬膜外血腫などの病態は1分1秒の違いで患者さんの生命予後は大きく変動します。そこで自分の観察力や看護力が試されるところがやりがいというか、良いところだと思います。」
(参考:看護師お悩み相談室)

「脳・神経系の疾患について学ぶことができます。
また、急性期からリハビリ期の病棟があり、患者さんの変化を見ることができるので回復していく患者さんの姿をみられるのがとてもうれしく感じます。また内科や脊髄疾患も学ぶことができます。」
(参考:仙台東脳神経外科病院)

「処置や医学知識はかなり身につくと思います!あと、ちなみに、もちろん、脳血管疾患の方が多いため、血管が細かったり、脆かったり、あとは肥満体型の人が多いため採血や点滴が難しい患者さんが多く、採血の腕が上がると思います。」
(参考:看護roo!ナースカタリーナ)

「脳神経外科だから、患者さんが亡くなることも結構あるけど、長期に渡って入院、リハビリした患者が退院する時は、杖つきながら歩けるようになっただけでも嬉しいよね。」
(参考:看護師コミュニティ)

せん妄とは

意識障害が起こり、頭が混乱した状態になっている事。何らかの原因で脳の機能が低下し、上手く神経を伝える事が出来なくなっている。幻覚を見る事もあり、言葉をかけても落ち着く事が出来ず、興奮状態となって大声を出したり、暴力が見られる場合もある。夜になるとせん妄が出るのが「夜間せん妄」。
(参考:認知症ねっと)

 ウ.脳神経外科の看護師に向いている人

体験談から見えてくる脳神経外科の就職に向いている人をまとめました。ご自分に当てはめてイメージしてみてくださいね。

患者さんの言葉に出来ない気持ちや体に起きる小さな変化に気付く努力が出来る人
患者さんやご家族の意志を汲み取り、医療チームに繋げるという円滑なコミュニケーションがとれる人
看護技術や日々進化する医療、幅広い医療知識を持つなど、勉強する事が苦ではない人
長引く治療の末亡くなる、寝たきりの状態が続くなどの悲しい事象が身近で起きても気持ちを切り替えていける人
 

3.脳神経外科看護師の就職先求人検索方法

(1)脳神経外科看護師の求人チェックポイント
脳神経外科の看護師で働きたいと思った方は給料や手当、年間休日数の基本情報の他に、以下のチェックポイントを参考に自分の希望する病院を探すと良いでしょう。
【脳神経外科の求人チェックポイント】*給料や手当、年間休日数の基本情報の他
クリニックか病棟か
病院の規模が大きい病棟の方が急患の受け入れも多くなりクリニックよりも忙しい傾向にあります。
「もし心配なのであればクリニックで探してみてはどうですか?病棟よりは忙しくないと思いますよ。」
(参考:看護師コミュニティ)

オペに関する情報

求人情報や病院ホームページにはその病院の年間オペ件数や得意とする手術、行える最新医療技術の記載などがあります。自分が学びたい事を得意とする病院を知ることも出来ますし、オペが多いという事はオペスタート時間に合わせて様々な業務をこなすため、看護師の業務は忙しくなる場合が多いので病院の様子を知る目安となります。

脳神経外科 年間手術件数について

(参考:富永病院)
残業の頻度
体験談では残業が多いという声が多くありました。脳神経外科では、時間通りにオペが終わらない、急患が飛び込んでくる、患者さんが急変するなどがあるためです。
求人情報の残業に関する記載はよく確認しておきましょう。

「患者が急に急変する事もあったり、急患がひっきりなしに来るときは遅くまで残業する事もある」
(参考:看護師コミュニティ)

 脳神経外科 看護師 残業について
(参考:看護roo! 公益財団法人 唐澤記念会 大阪脳神経外科病院)
脳神経外科クリニック 看護師残業について
(参考:看護のお仕事 くどうちあき脳神経外科クリニック)

教育研修制度の有無

脳神経外科に今から働く方は覚える事が多そう、自分には出来るのかなどの不安を抱える方が多いと思います。教育制度がきちんとある病院であればわからない事も学ぶことが出来ますね。

まとめ

脳神経外科が気になっている看護師の皆さん、いかがでしたか?
通常の看護業務の他にも急患急変対応、普通よりバイタルチェックの項目が多い、CTを読める知識、血管造影検査に関する知識、循環器疾患など他の疾患に関する知識も必要となってくるなど、やる事や覚える事はたくさんありそうですね。
忙しくハードな職場ではありそうですが、経験する事により必ず自分のスキルアップになるでしょう。チャレンジしてみたいと思った方は、最初は大変でも是非めげずに頑張って頂きたいと思います。

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