看護師に必要なアセスメントのコツとは

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#1701 2022/01/21UP
看護師に必要なアセスメントのコツとは
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看護師として業務を行ってきた経験をもとに記載しました。アセスメントのコツ、またアセスメントをするために重要な情報収集のコツについてまとめました。患者様に対して、どのように看護過程を考えていくのか、そしてアセスメントするのかを事例を用いて紹介します。

【はじめに】

看護師であれば、誰もが看護過程におけるアセスメントについて悩んだことはあると思います。アセスメントの方法やカルテへの記録など、はじめは慣れていないため、つまづくことが多いです。特に看護学生や新人看護師、潜在看護師などは「自分のこの判断で当たっているのかな?」と不安に思っているかたも多いと思います。そのような方々へ有益な情報となるよう、看護におけるアセスメントのコツについて紹介します。

【看護におけるアセスメントとは】

アセスメントのコツを紹介する前にアセスメントとは何なのか確認しましょう。 ●アセスメントとは アセスメントとは、看護過程におけるプロセスのひとつです。患者様からの主観的情報と医療者の観察からの客観的情報を分析、統合することで、患者様の看護上の問題を分析することです。患者様へ看護を行う場合、次のように考えます。 1.看護アセスメント:患者様に関する情報収集を行い、健康問題、潜在的な問題を把握する。
2.看護診断:情報収集した内容や分析結果をもとに、看護問題を特定する。
3.看護計画:まず、短期目標、長期目標を設定する。
そして、どのような看護ケアを行ったらその目標をクリアできるかを考え、看護計画を立てる。
4.看護ケアの実施:看護計画に基づいた看護ケアを実施する。
5.看護評価:看護ケアを実施した結果、患者様からどのような結果を得られたか評価する。また、看護ケアの修正が必要な場合はその都度修正する。

そして、日々の看護記録の手法の一つにSOAP(ソープ)があります。
S(Subject):主観的情報[患者様の訴え、自覚症状などを記述する]
O(Object):客観的情報[医療者側からの観察から得られた情報。患者様の意識レベル、検査結果、バイタルサインなどを記述する]
A(Assessment):アセスメント[S、Oの情報をもとに、分析、評価した結果を記述する]
P(Plan):プラン[Aをもとに今後の治療方針や看護計画を記述する]
アセスメントとは、このSOAPの中のAの部分です。
つまり、分析や評価をするので、さまざまな知識が必要となります。

【アセスメントの目的を明確化する】

何のためのアセスメントなのか、どうしたいのか、どの程度までアセスメントするのかを明確化し、アセスメントを行う必要があります。
アセスメントするとなると、必ずしも疾患に結びつけようとしまいがちになってしまいます。例えば、足背にむくみが出現している患者様であれば、心不全を発症しているとすぐに疾患に結びつけようとしてしまいがちです。確かに心不全でもそういった状態になりますが、低アルブミン血症でも足背にむくみが出現することがあります。疾患名がわからなくても、循環障害が起きていることはわかります。これだけでも十分アセスメントといえるでしょう。疾患名がわからなくても、その患者様の状態を理解することはできます。現在、このような状態にあると明確化することもアセスメントの一つです。

【アセスメントのコツとは】

次にアセスメントのコツについて紹介します。アセスメントするうえで重要なポイントは次の3つがあげられます。
1.現状を把握する
2原因を判断する
3.起こりえることを想定する 例
えば、次のようにA氏という患者様の事例を紹介します。
A氏、72歳、男性 普段から食事中にむせこみが頻回にあり。今朝から38℃の発熱があり、胸部聴診にて肺雑音が聴診できる。SpO2はルームエアで88~89%となっているため、酸素1L投与中。酸素1L投与にてSpO2は94~96%キープ。喀痰の自己喀出可能であり、淡黄色痰が中等量喀出される。本
人からは「少し息苦しい。」と訴えあり。
この事例をもとに現状の把握、原因の判断、起こりえることについてまとめてみます。 現状の把握・72歳で高齢である ・普段から食事中にむせこみが頻回にある ・今朝から38℃の発熱がある ・胸部聴診にて肺雑音が聴取できる ・SpO2はルームエアで88~89%。酸素1L投与し、94~96%をキープ ・淡黄色痰が中等量喀出される ・「少し息苦しい。」との訴え 原因の判断・高齢者でもあることから、嚥下機能が低下し誤嚥をしている。 ・38℃の発熱があり、SpO2も低下していること、また、淡黄色痰が中等量喀出されること、本人から「少し息苦しい。」との訴えがあることから誤嚥性肺炎を発症している可能性がある。 起こりえること誤嚥性肺炎からの敗血症を予防するためにも迅速な抗生剤の投与が必要と思われる。 これらの情報をSOAPにまとめてみると、次のようになります。
【S】「少し息苦しい」
【O】・普段から食事中にむせこみが頻回にある ・今朝から38℃の発熱がある ・胸部聴診にて肺雑音が聴取できる ・SpO2はルームエアで88~89%。酸素1L投与し、94~96%をキープ ・淡黄色痰が中等量喀出される
【A】高齢者でもあることから、嚥下機能が低下し誤嚥をしていると考えられる。38℃の発熱があり、SpO2も低下していること、また、淡黄色痰が中等量喀出されること、本人から「少し息苦しい。」との訴えがあることから誤嚥性肺炎を発症していると考えられる。
【P】医師へ状態報告し、指示を仰ぐ。敗血症によるレベル低下、SpO2の低下に注意し観察していく。 現状を把握すること、原因を判断することが明確化していれば、どのようなことが起こりえるのか想定できるようになります。

【情報収集のコツ】

これまで説明したように、患者様の現状を把握することがまず重要となるわけです。そのためには、適切な情報収集の仕方をおさえることも必要になってきます。そこで、情報収集について意識しておきたいことを説明します。 ●必要な情報のみおさえる 看護学生や新人看護師などは、カルテの情報がありすぎてどの情報を把握しておけばよいおかわからないという方も多いと思います。ですが、情報をとればとるほど良いというものではありません。情報収集の時間は限られており、膨大な量をとればとるほど頭の中がこんがらうこともあります。
したがって、まずは現在の患者さんの問題になっていることについての情報を取捨選択し必要なことだけおさえることが重要です。

●普段の患者様の状態を把握する

患者様の病状を確認するために、検査結果やバイタルサインなどの数値を把握することは大事なってきます。それと同じように大切なことが、患者様とコミュニケーションをとったり、観察していきながら、何か普段と様子が違う部分がないか意識することです。 例えば、「普段はもっと会話をするのに元気がないな」だとか、「声かけに対し返答はするものの、今日はほとんど覚醒せず横になっているな」などです。このように何か変だなと感じることがあれば、それも重要な情報となり病気の早期発見につながることがあります。より適切なアセスメントをするためにも、普段の患者様の様子を把握しておくということが大切です。

まとめ

アセスメントとは、情報をもとに、分析、判断、評価して患者様の問題を明確化していくこととなります。そして、アセスメントのコツは、現状を把握する、原因を判断する、起こりえることを想定することです。また、アセスメントをするためには、情報収集が重要です。情報収集のコツは必要な情報のみおさえる、普段の患者様の情報を把握することです。

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