明日から使えるのアセスメントのこつ

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#1689 2022/01/09UP
明日から使えるのアセスメントのこつ
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患者さんは致死性の不整脈になる8時間前に何かしらバイタルに異常をきたしていると言われています。患者の状態に気がつくには普段から意識して患者さんを観察しておく必要があります。救急蘇生法は5年毎に改定されます。ここでは最新のガイドライン2020に基づいて話をしたいと思います。

看護師として知っておけば臨床で役立つアセスメントについてお話したいと思います。ここでお伝えする内容は患者急変時の対応になりますが、一般的な観察にも十分使用できる内容になっていますので、ぜひ現場でも活用していただければとおもいます。

現在、病院で使用されている患者急変時のアルゴリズムの元はAHA(アメリカ心臓協会)になります。AHAは5年毎に救命の効果をデータとし集約し、より効果的な救命方法について話し合いガイドラインの変更が行われます。日本においては、日本語版の2020ガイドラインが今年教材として発表されました。医療は日進月歩で日々学習や自己研鑽が必要になります。その一部として現場でも上手に活用できる方法をいくつか記載したいと思います。

皆さんは患者さんに関わるとき何を意識して関わっていますか?ごく自然の事ですが、この「何を?」がとても重要になります。AHAでは患者は急変前8時間内に何か異常なバイタルを示していると言っています。患者さんと関わる時間が多い職業は看護師です。病院において異常に気がつく可能性が高い看護師がアセスメント能力を持っている、いないでは患者さんの予後が全く違ってきますし、異常の早期発見にもつながります。そのためにも、普段から「何を?」を意識して関わるということが大切なアセスメントへの第1歩です。

では、その「何を?」は患者さんの何を見ればいいのかを記載していきます。

まずは第一印象です。これは見た感じっという部分になります。顔色はどうかな?話し方はいつもと同じかな?食欲はあるかな?など、看護師の皆さんが普段声掛けしている内容になります。
まずは第一印象を意識を持って行うことです。
まず顔色です。青ざめていたり、額などに発汗が見られる場合は、バイタルを測定し異常がないかを確かめます。
バイタル測定時には患者さんの手を触ると思います。末梢は冷たくないですか?手のひらはジメッと汗をかいていませんか?血圧は普段と比較して差がありますか?脈拍はどうですか?などを具体化していきます。
一般に収縮期血圧が90mmHg以下はショックバイタルです。
脈拍も60-100の幅を超えていれば徐脈、頻脈としてより精密な観察を行っていく必要が出てきます。次に話し方です。呂律が回らなそうだったり、顔面は左右対称かを見ていきます。呂律が回らないようなら「らりるれろっと話してみてください。」と声をかけ発語の内容を観察していきます。
異常がみられたら、いつから話しにくくなったのかを患者や周りの患者、家族に尋ねて見ましょう。
発症時間は脳梗塞においてはとても重要になります。最後に正常に話せていた時間から4.5時間以内であれば血栓溶解療法適応になるので、ここでも迅速な対応が重要になります。その他にも両手を挙上させ、上がり方に左右差がないかも見ておくことが大切です。
この観察方法はシンシナティプレホスピタル脳卒中スケールと言われ、高い確率で異常を見つけることが出来ます。
次に食欲です。普段通りに食事が取れているのか、全く食べていないのかなどを尋ねる事で消化管の異常を見つけることがあります。腹部に痛みはないか?
嘔吐、吐気はないか?も同時に観察しておきます。食事量を聞いておくと、万が一の急変時に内視鏡や挿管処置選択における方法の選択幅が広がるので情報を収集しておくことが重要です。

次に異常が診られたら、一人で頑張らずにまずは応援を要請しましょう。

当たり前と思うかもしれませんが、トレーニングを何回も繰り返していても応援が抜けてしまい、チーム蘇生が遅くなることが多々あります。また応援を要請したけど、その後どうしたら良いのかがわからなくなりパニックになることもあります。
応援が来たら落ち着いて、自分が収集した情報を整理してメンバーに伝達することが大切です。
自分が知っていることは他の人も知っている訳ではありません。応援時に要請するのは「人、物」です。
具体的には、救急コール、救急カート、モニター付除細動器です。応援が来たら、メンバーに患者さんの名前、年齢、症状、バイタルサインを伝えます。その後役割を分担していきます。
心電図モニターをつける。点滴ルートを確保する。ついでに採血を実施すると共に、血糖を測定しておきます。
バイタルにおいてSpO2が低値であれば、酸素の供給も依頼します。その後12誘導心電図を依頼し、心臓の異常早期発見に繋げたり、ポータブルレントゲンを依頼し、肺や心臓の状況も詳しく見ていきます。
徐脈であれば、硫酸アトロピン1mgや経皮ペーシング、循環器コールなどを準備、検討。頻脈であればアデノシン三リン酸10mgや同期ペーシングの準備、検討していきます。致死性不整脈のVFや脈無し心室頻拍では早期除細動器が適応になります。
医師が来たから、役目は終わりではありません。CPR(胸骨圧迫)は看護師が実施する事が多く、ACLS(二次救命処置)はBLS(一次救命処置)が適切に行われていないと蘇生には繋がりません。心停止の状況に遭遇した場合は医師に繋ぐだけではなく看護師として救命に参加してくださいね。

いざと言うときにここだけ覚えておいて欲しいポイントがありますので簡単に紹介していきたいと思います。

ポイントはCPRコーチと言う役割です。
ガイドライン2020に移行して、この役割が追加されました。内容は胸骨圧迫の質を管理すると言うことです。具体的には1.胸骨圧迫の深さ5cm以上。これは実測するのは難しくフィードバック器具があるととても便利です。他覚的に見てあまりにも浅すぎたり、逆に深すぎる場合は注意を促して調整しましょう。2.戻り。押し胸がきちんと戻っている(リコイル)かを確認します。なぜかと言うと心臓の栄養血管である冠動脈は拡張期に8割以上血流があると言われています。押した胸をきちんと戻さないとせっかく胸骨圧迫しているのに血流が生まれていないことに繋がります。3.速さです。ガイドラインではテンポは一分間に100-120回になるように調整と記載されています。早すぎると拡張がとれず、有効血流量が得られていない。
逆にゆっくりでも同じです。具体的に指摘するためにはストップウォッチなどを活用し、30(胸骨圧迫):2(換気)における30回が15?18秒で終わるように調整しましょう。4.手の位置。手の位置は胸骨の下半分と言われています。
解剖学では胸骨丙、胸骨体、剣状突起の3つの骨を合わせて胸骨といいます。医療従事者であれば剣状突起を避けるのは当然ですね。ポイントは押している場所が常に変化しないように一律の場所(胸骨の下半分)を押していることを確認しましょう。5.換気。チーム蘇生ではバックバルブマスクによる換気が行われます。換気は胸が上がる程度で良いとされており、過剰な換気は胸腔内圧を上昇させ、心拍出量の低下の原因に繋がります。換気は一回1秒かけて吹き込み、胸が上がる程度を評価しましょう。
普段の看護において目的をもって観察することこそ異常の早期発見につながり、自己研鑽にもつながります。明日から実践して見てください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?普段からなんとなく行っている看護業務において、視点を変えるだけで患者さんの異常を早期発見できることが理解できたのではないでしょうか?いつもと同じではなく、何が起こってるのかな?っという疑問を持つことが成長の鍵になりますし患者さんの命を救うことに繋がります。是非、普段の看護に「何?」を思いながら実施してみてください。意識するだけで成長できると思います。

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