患者さんが入院する時に、その治療の一つとして点滴をすることがあります。入院患者さんの治療として、一番行われる内容ではないでしょうか。その点滴は、いろいろなトラブルを起こすことが少なくありません。ここでは、点滴部位の観察のコツについてお話します。
・点滴を行う患者さんについて
点滴を行う患者さんについて、どんな患者さんが行うことになるのでしょうか。それは脱水である患者さんや疾患の治療として行うことになります。その時、患者さんの状態としては、あまりよくないこともありそのことに留意して観察等を行うことが大事です。
点滴を行う患者さんは、その点滴を行うことにより行動範囲が狭くなることになります。狭くなると、そのことについてとてもストレスを感じるのです。点滴スタンドを持ち、歩くことも可能ですが点滴をしていない状態とちがい、やはり行動を制限されることになり、強いストレスを受けることは間違いありません。看護師は、そのことをアセスメントして患者さんの心身の状態を含めながら点滴について留意することが望まれます。
・点滴内容のアセスメント
患者さんが行う点滴についてはそれぞれ内容がまちまちです。抗がん剤等の治療を行う場合もあり、その点滴内容をアセスメントすることはとても重要です。抗がん剤等は、血管外に漏れてしまうとその部位が壊死を起こしてしまうこともあります。そのため、点滴漏れの観察をするときに点滴内容によりその観察を頻回に行う必要があるのかアセスメントします。
また、点滴を行うとかならず尿意を訴える患者さんが多くなります。点滴を行う際には、必要時ポータブルトイレの設置や頻回のコールに備えて看護師は動く事になります。
その時、患者さんの尿量などの観察も必須です。特に抗がん剤を点滴している場合は、腎障害を起こすこともあるのでそれを予防するためにも尿量に注意をします。
・点滴の持続期間について
点滴の持続時間についても留意するようにします。点滴を一本で終了する場合は、そんなに気を付けることが少なくなります。しかし24時間持続で点滴を行うこともあるので、その場合は患者さんのストレスを含めて観察をすることになります。
抗がん剤の場合は、その副作用が強く見られる事が多いのでその点滴内容と副作用の時間を関係などについて、アセスメントをしてケアを行うようにしましょう。副作用としては、まずなんといっても多いのは嘔吐です。嘔吐は、ほとんどの抗がん剤治療をしている患者さんにいられる症状です。そのことからも、点滴を開始した時点で、ガーグルベースンなどを準備してその嘔吐に備えるようにします。
また点滴をしている患者さんの場合は、ベッド周囲のものを取りやすいようにセッティングすることも大切です。特に嘔吐のある患者さんの場合は、ティッシュペーパーをベッド上で患者さんが取りやすい位置に配置してあげるようにします。また水や、その他のものも患者さんの要望により設置してあげるようにしましょう。
・点滴部位について
点滴については、まず患者さんが動きやすい部位であることが重要です。点滴をしている患者さんの場合、短時間であるとトイレに行くこともないかもしれませんが長く掛かってしまう場合はトイレにそのまま点滴スタンドを持ち、移動することになります。その時、移動している時にルートが曲がってしまうと困ります。その時点で、点滴が詰まってしまうこともあるからです。
点滴部位については、患者さんが腕を曲げても大丈夫な位置に固定をするようにします。腕の場合は、正中に大きな血管がありますがそこに点滴の針を固定してしまうと、患者さんが腕を曲げることができません。そのことからも、腕を上げても大丈夫な部位に行うことは必須です。
・ルートの観察内容
針をさして、点滴を行う部位を固定したらその後はルートをしっかり観察することになります。ルートは、患者さんが移動しやすいように固定をします。ルートをそのままたるみを持たさずに固定をしてしまうと、患者さんが何かの時に引っ掛けると外れてしまうことになるのです。そんなことにならないためには、その部位の固定の仕方を考えて実施しましょう。
その後は、ルートが絡んでいないか観察をします。患者さんが移動をする際に、絡んでしまうことがあります。患者さんが気づくこともありますが気づかないこともあるので、訪室する度にルートについて絡んでいないか観察を行います。また、ルートが傷ついてしまうとそこから液漏れを起こすことがあります。そのことも観察するようにしましょう。ルートを点滴ボトルから、刺入部位まで指差しで確認をするといいでしょう。
・固定部位の注意内容
点滴の針やルートを固定するのは,とても重要です。その固定がきちんとされていると、針が間違って抜けてしまったりルートが外れてしまったりすることが少なくなるからです。
まず重要となるのは、なんといっても針を刺している部位です。ここの固定については、見えるように透明のテープで固定をするといいでしょう。それはなんといっても、針が抜けていない事、刺入部位が綺麗な事等を見やすくするためです。
透明のテープを使わない場合は、刺入部位等が見やすいように固定をします。
またアレルギーのある患者さんの場合は、テープで肌がかゆくなったり、赤くなったりすることがあります。かゆみを訴える患者さんについては、その固定するテープについて、アレルギーを起こしにくいテープを使うことが望まれます。
・点滴針入部位の観察
点滴を行うと、その後にかならず点滴刺入部位の観察を行います。点滴をできるだけ安全に終了させるためには、最も重要な内容です。刺入部位は、感染をさせないように注意をします。
その部位が赤くなっている場合は、要注意です。針により刺激で、赤くなっていることもありますが刺入部位から感染を起こしていることもあります。感染を起こしてしまうと、血管からそのまま菌が体の中に入ることになり、患者さんが敗血症という症状になることもあります。そのような状態になると、とても危険です。発熱して、意識が朦朧となり痙攣などを起こすこともあります。命に関わることなので、そのようなことにならないように早めに異常を発見します。
刺入部位が赤くなっていることと、排膿していることもありそのようになっていると、敗血症を起こす可能性も高くなります。そのような症状が見られる場合は、医師に報告をして対処してもらうようにします。点滴を入れ替えることは必須ですが、それ以外で採血等の検査をして、治療を行うことになります。
・患者さんのアセスメント
点滴をしている患者さんについては、点滴ボトルを交換する際にかならず患者さんの元に行くことになります。その時、患者さんの状態をしっかり観察しましょう。
忙しい時には、点滴ボトルをそのまま交換して退室することがありますね。しかし点滴をしている患者さんの場合は、かなりのストレスを抱えながら受けていることに留意して、声かけを行うようにしましょう。
点滴により、気分が悪い等を訴える患者さんもいますが訴えない患者さんもいます。その時、訪室した際に観察することにより以上を早期発見することができるのです。看護師は、訪室たびに具合について確認するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?患者さんは、看護師が思っている以上に点滴を行うことについてストレスを感じています。そのことを思い、ケアをしたり声かけをするように心がけたいですね。また点滴をしている患者さんは、感染のリスクも高くなるので異常の早期発見も看護師の観察に掛かっています。そのことも忘れないようにしましょう。
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