褥瘡は訪問看護師になるために必要な知識の一つ

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#1509 2021/07/16UP
褥瘡は訪問看護師になるために必要な知識の一つ
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訪問看護師になる前に、病棟看護師を経験してきたという人は少なくありませんが、在宅では病院では見られない褥瘡のケースもあります。では訪問看護師になるためにはどんな褥瘡に関する知識を身に着けておけばいいでしょうか。ここでは事例を通して紹介していきます。

訪問看護師になる方法として、必要な知識はさまざまなものがあります。しかしどこから勉強に手を付けていいのかわからないというのが現状ではないでしょうか。
実際に私が訪問看護師になってもっと勉強しておけばよかったなと思うものに、褥瘡に関することがあげられます。なぜなら在宅において褥瘡は非常に遭遇する確率の高いケースだからです。その事例をあげながら、褥瘡の知識の必要性と在宅において重要な取り組みについて紹介していきたいと思います。

・訪問看護の現場では褥瘡はよくある事例の一つ

病院でも寝たきりの患者が多いところでは褥瘡はよく見られるものの一つです。しかし病院では、医師や看護師が常にいるので、褥瘡ができてもすぐに対処することが出来ます。そのためひどく悪化する前に何らかの処置をして、悪化しないうちに改善させることもできるでしょう。

しかし在宅生活の場合では、形成されてすぐの褥瘡を発見できるわけではありません。毎日訪問している利用者なら、仙骨部等好発部位の皮膚の変化にすぐ気が付くこともできますが、週1回の訪問の利用者の場合は、発見したときにはすでに少し深い褥瘡になっているという場合も少なくありません。
もちろん家族には、褥瘡が出来始めているので処置や体位交換の必要性を説明し、対処してもらいますが、次の訪問の際にはすでに周囲が壊死しているということもあるのです。
在宅生活をしていても、医師が定期的に在宅診療を行っている場合には、早急に連絡して在宅診療日を早め診察を受けることもあります。そして褥瘡の処置の指示を受けるのです。しかしながら在宅生活でまだ通院をしているという場合、移動手段を確保するのも難しい、予約日の変更が難しいといった状況もあるので、褥瘡ができ始めですぐに受診というのは簡単ではないのです。

・早期の褥瘡で対処して悪化させないために訪問看護師の知識が必要とされる

早期の褥瘡の場合は、適切なフィルムやドレッシング材を使用して悪化を防ぐことが出来ます。また浸出液が出ている場合、利用者の持っている軟膏の中から適切なものを選択し使用を開始することもあります。
褥瘡の場合は、できる場所も異なりますし、利用者の栄養状態や皮膚状態によって大きく左右されます。そのため、単に除圧や処置をすればいいというわけではなく、食事や栄養のアセスメントや保清や保湿剤を使用して皮膚の状態を維持することも重要なのです。
そのように褥瘡についてはさまざまな角度からのアセスメントが必要になるわけですね。

・なぜ動くことが出来るのに褥瘡が?という利用者もいる

私は訪問看護師になるまで、動ける人に褥瘡が出来るという認識がありませんでした。もちろん糖尿病患者で靴が合わず靴ずれから潰瘍ができるといった症例は見たことがありましたが・・・。
動けるのに大転子部や臀部に褥瘡が出来るという患者を診たことがなかったのです。しかし在宅に行くと、必ずしもそうではありません。日常生活は自分でできるし、車の運転すら可能という利用者でも褥瘡が出来たケースもあるのです。
その利用者の生活習慣を聞いてみると、いつも同じ方向からテレビを見ているということ。また酔っぱらってそのまま寝てしまった時にもいつの同じ体勢をとっているということから、大転子部に褥瘡が出来てしまったのです。

除圧や清潔保持の重要性を説いても、独居の高齢者が自分の生活習慣を変えることは簡単ではありません。褥瘡はそれほど悪化はしませんでしたが、改善も見られませんでした。皮膚科の医師の診察を受け軟膏を塗っても、1年以上が経過した今でもまだ硬結が残り、調子が悪い時には排膿もあるくらいです。この事例ではADLにかかわらず、褥瘡には生活習慣も大きく影響するということを実感しました。
このように病院で勤務をしていた看護師が訪問看護師になった時、なぜこの利用者に褥瘡が?とびっくりするケースもあると思います。ただその時には生活習慣や寝具などから総合的に判断することが重要といえます。

・皮膚・排泄ケア認定看護師のタグ組もう

訪問看護師として訪問し始めたのはいいけれど、慣れてくると一人で利用者宅に訪問することが多くなります。そんな時に褥瘡が新たにできていたら、どのように対処すればいいのでしょうか。自己判断で利用者が持っている軟膏の中から適切なものを選んで対処することも可能です。ただその前提として、褥瘡の段階によって選択する軟膏、使用するものが異なるという知識は必要となるでしょう。
自分一人で判断できなければ、褥瘡を画像にのこし、ステーションに帰ってからカンファレンスをすることもできるでしょう。訪問は一人で行うことが多いけれど、やはり各看護師が持つ知識や能力というのは限られていますし、それを補うために、みんなで情報共有することも大切です。

それでも経過がよくない場合は、主治医の診断を早めに仰ぐことも重要です。主治医といっても内科の医師や外科の医師の場合、なかなか褥瘡の経験がなければ判断に困ることもあります。
そんな時に活用したいのが、皮膚・排泄ケア認定看護師です。この認定看護師は、基本的に病院に所属しているのですが、地域で研修を行ったり、気軽に相談に応じてくれることもあります。また利用者が通院している病院に、皮膚・排泄ケア認定看護師がいる場合には、必要に応じて医師から紹介してもらい、一度診察を受けるとよいでしょう。
ただこれらの多くの人とのかかわりをもつためには、人とのつながりを作っておくことが大切ですね。個人的なつながりがなくても、事業所でつながりあればどこかに相談して解決策を見つけることも可能になります。

私は訪問看護師になって、研修に参加する機会が増えましたが、やはり一人前の訪問看護師になる方法として心掛けていることは、知識の習得も必要ですが人脈づくりを心掛けています。地元で働く人が参加する研修であれば、事業所の代表やケアマネ、ヘルパー、看護師、医師といった人が参加しています。そこで少しつながりを作っておくといいのです。
名刺交換をしておき、何かあった時には相談できるように窓口になってもらうとよいのです。

・褥瘡はチームで治す

褥瘡は訪問看護師が非常に遭遇する確率の高い事例の一つです。高齢者がどんどん増え、在宅医療も進んでくれば、今後も褥瘡に遭遇するケースは増えるでしょう。もしも自分の看護経験の中で褥瘡に関する知識や技術があまりないという場合でもこれからしっかり勉強をしていけば大丈夫です。先輩看護師などの指導を受け、褥瘡について学ぶこともできるからです。

ただ褥瘡を改善させるためには、みんなで協力して、つまりチームワークが重要であるということを覚えておきましょう。例えば訪問看護師の場合は、同じ利用者のところに同じ看護師がいつも行くとは限りません。そのためみんなが統一して処置ができるようにしておくことはとても重要です。
また利用者の介護をする家族の協力を求めることも重要です。日ごろから皮膚の観察をしておくこと、適宜体位交換をしておくことなどが重要なので、家族にも保清の仕方や除圧の仕方を指導しておきましょう。
褥瘡というのは出来ないようにすることが肝心です。しかし出来てしまったら早めに対処することが重要です。その時に必要となるのが、褥瘡の知識、技術、そしてチームワーク。家族と訪問看護師、訪問看護師とヘルパー、訪問看護師と医師や認定看護師などチームで取り組むべき問題の一つなのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。在宅では日常生活が自立している利用者でも褥瘡が出来るケースがあります。そんな褥瘡の基本は、まず作らない、できても悪化させない、早く治すが基本です。そのためには、各訪問看護師の正しい知識と技術、そして各医療部門、関係部署とチームワークをはかりながら褥瘡を改善させていくことが重要となります。

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