看護師をしていてアセスメントとは切っても切れない関係ですよね。実習などでも特に悩みが尽きない分野だと思います。筆者も過去はアセスメントが特に苦手意識が強く、よく実習指導者や学校の先生から指摘を受けていたように思います。ですが苦手意識をもっていてもアセスメント次第で看護のポイントがいくらでも広がります。参考にして頂けると幸いです。
アセスメントに正解も不正解もありません! 看護師をするうえでアセスメントは一生付きものです。何かと苦手意識がある方も多いとは思いますが、経験次第でどうにでもなると思います。逆に苦手意識が強いことで成長を止めてしまうかもしれません。私の経験をお伝えし、少しでも苦手の克服に繋がれ良いと考えます。
●アセスメントに正解も不正解もない
まずはここを一番に伝えたいと思います。アセスメントをする上で大事になる事はまず情報を的確に捉える事です。的確に捉えるには様々な事象の正常と異常を分かっていなければなりません。もう嫌と思った人もいるかもしれません。まずはフォーカスする場面が正常なのか異常なのかを判断する事です。例を挙げてみます。
(例)Aさん 頭痛の訴えで来院。血圧203/102mmHg 脈拍82回 嘔気なし。
どうでしょう?正常と異常の差は分かりましたよね。Aさんは頭蓋内圧亢進症状があり、血圧が高値ということがわかります。実際には情報はまだまだあると思いますが、ここから展開をしていく事がアセスメントという事になります。高血圧を呈しているだけでも十分なアセスメントとなりますので自由に展開していって構いません。少し話を進めると高血圧で頭痛の症状が出ているのか、何か頭部に異常を来たし→頭痛を感じ→高血圧になっているのかを推理していく作業になっていきます。少し医者の様な仕事内容かもしれませんが、やって損はないと思います。もう少し話を深堀すると、可能性を考える事で更にアセスメントに磨きが加わります。Aさんはもしかしたら内服のコンプライアンス不良で飲み忘れが多かったかもしれません。そのことで高血圧を呈し、頭蓋内圧亢進症状に繋がってしまい来院に至った。と、文章化出来ます。アセスメントさえ出来れば答えは簡単ですよね。看護師、または薬剤師がAさんに服薬指導をしていく事で内服コンプライアンス(又は病識)の向上に繋がって行く事が予想されます。 いかがでしたか。振り返ると、血圧の価が正常ではない事。血圧の値が異常値でありなんらかの症状を来たしている状態であること。それだけでも十分にアセスメント出来ていると思いませんか。今回の例は情報が限られているのでアセスメントしやすかったと思いますが、経験不足であると観察ポイントをどこに当てていけば良いかがわからない方が多いかもしれません。それでも一つ一つの情報が正常なのか異常なのかを調べていく作業の積み重ねがアセスメントとなって行くためご自身がなんか変だなと思った場面は他の人も気になっているはずです。次の例を見てみましょう。
Bさん 80代女性 誤嚥性肺炎で入院中 排便後より右胸部痛が出現。
SOP2値が80%まで低下(元々95%くらい)肺のエア入り左右差あり。既往に肺気腫あり。 12誘導心電図上:洞性頻脈のみ どうでしょう。正常と異常の情報を整理していきましょう。SPO2値は正常から逸脱していますよね。また肺音も基本的には左右差はないですよね。同じように異常所見があるので深堀してみましょう。SPO2値が低下している状態であるという事は何かしらガス交換に支障を来たしていることが予測されます。元々、肺気腫の既往がある事から機能していない肺胞が有るかもしれませんが、元々のSPO2値が95%とある程度保てています。そこで次の異常所見を付け加えてみましょう。肺音に左右差があるということはどちらかの肺が機能していない可能性を示唆しています。排便後に胸痛がある事も加えると、排便(努責をかける)機に気胸を併発し、胸痛が生じ、気胸により肺の機能が低下し十分なガス交換がなされずSPO2値の低下に繋がってしまった。ということが予測されます。ここからは経験の差が出てくるかもしれませんが、肺気腫と診断されている以上、正常な人に比べて肺胞が破れてしまっているため(胸部CT上、気腫性変化という)体に負荷がかかったりすると肺胞の破れが広がり気胸を呈しやすい可能性があります。これらをアセスメント出来ると医師に報告しやすくなりますし、次にどんな検査などを行い、必要時なにをしていけばよいか導きやすくなります。これをアセスメントせずに生じたことのみを医師に報告するとスムーズに事が進みにくくなります。医師への報告の仕方は本日は割愛させて頂きますが、看護師の情報が特に重要になってくるため、なおさらアセスメントを深めることはやりがいに繋がると思います。 いかがでしたか。簡単に2つの例を挙げましたがすべての情報がリンクしているとより信憑性も増していきますよね。楽しくなって来ませんか? とにかく情報を正常か異常に分け、異常を組み合わせていく事でそれがアセスメントとなっていると思います。あとは経験値で色を付ける事でより第三者に伝わりやすくなると思います。
最後に少し難しくなりますが自分が経験したアセスメントをご説明させてください。
Cさん 40代 男性 胸痛を訴え入院し、不安定狭心症疑いのため週明けに心臓カテーテル検査目的で入院となる。入院当日の夜間帯、モニター監視をしていると、ST上昇を認めていた。Cさんに胸痛などの症状はなくバイタルサイン異常値なし。この段階でCさんには苦痛を示す症状はないですよね。そのまま経過置いてしまうとどうなるでしょう。基本的に心筋梗塞を生じた場合、心電図変化と胸痛などの随伴症状が出るのはどちらが早いと思いますか?仮に胸痛で来院したのに心電図変化は起こさないですよね(STーT変化を生じない心筋梗塞を除く)心筋壊死してから→心電図変化→症状へと繋がります。Cさんの例からすると、モニター心電図でST変化を認めた時点で12誘導心電図で他にST変化がないか確認することが求められます。1分1秒をを争う疾患だと尚更、可能性を考えてアセスメントし行動に移すことが必要だと思います。実際に12誘導を施行し、Ⅱ、Ⅲ、aVFにST変化あり。Ⅰ、aVLにST低下を認めており、入院時の12誘導と比べて変化を生じていた。よって急性冠症候群を疑い当直医に報告し、緊急カテーテル検査しステント留置を実施できた。という結果に至りました。もしかしたら最初にST変化を見逃していた場合は胸痛発作を起こしてから色々とバタバタ慌てて報告になっていた可能性もあります。梗塞が長引けば長引くほど、患者の負担も大きくなりますし、退院の日数も長くなってしまいます。この事例では梗塞した部位も予測出来るため治療への時間も短縮できると思われます。ちなみに右冠動脈の梗塞であったため、12誘導上、Ⅱ、Ⅲ、aVFは心臓の下壁を指しますので矛盾していなかったことが分かります。ここまではまだ出来なくてもよいとおもいますが出来ればかなり自信につながると思います。 3つの例をあげましたがどれも正常か異常かを見極める事でアセスメントに繋がります。正常か異常なのかは教科書を見れば一目瞭然なので気づけた異常から話を深堀していけば自ずとアセスメントに繋がっている事でしょう。
まとめ
アセスメントを行うことは、なにかしらの事象を正常なのか異常なのかを線引きし、話を深堀することがアセスメントに繋がっていると思います。基本的に正常か異常かを線引き出来ればもうアセスメントは半分くらいは終わっていると思います。わからない症状はまず調べることが必要なので調べる習慣は常にしてもらいと思います。
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