母性看護における妊娠期の各期に応じた看護とアセスメント

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#1376 2021/03/06UP
母性看護における妊娠期の各期に応じた看護とアセスメント
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母性看護は他と違いウエルネスの視点を持って看護をしていく必要があります。そして対象が母親と赤ちゃん両方です。母親と赤ちゃんの両方の健康状態を捉えていかなければならないので苦手意識を持つ方がとても多いと思います。今回は妊娠期の看護、アセスメントの視点を伝えていきます。

・妊娠初期の看護と視点

妊娠期の初期では特に母体のマイナートラブルについてアセスメントしていくことが大切になります。ここではそのマイナートラブルが正常の範囲内にあるのか、そこから逸脱しているのかどうかをアセスメントしていくことが大切です。マイナートラブルの症状は多岐にわたりますが、主に注意したい初期のトラブルはつわりです。つわりも明らかに脱水や体重減少があれば重症妊娠悪阻として入院が必要になってきますが、正常範囲内であっても妊婦さんにとってはものすごく辛いことなので、血液データ、体重減少の程度、食事摂取状況をしっかりアセスメントして看護につなげていく必要があります。この頃の看護で必要な技術としては傾聴や寄り添いです。辛い状態は妊婦さん本人にしかわかりませんが、辛さを理解し無理しないことをしっかり伝えてあげてください。食事に対しては妊婦さんの食べやすいものなどの話を聞き、どういうものを食べれば良いのか具体例を出してあげることも良いと思います。この頃は食べられないことから赤ちゃんに栄養がいかないのではないかと不安を抱く妊婦さんがたくさんいます。妊娠の初期は赤ちゃんの発育に影響しないことをしっかり伝えてあげることが安心につながります。

またパートナーの付き添いがある際は家事などのサポート体制を整えることと、精神的に不安定であることをしっかり伝え理解してもらうよう努めることが大切になります。
また社会的側面として仕事をしている妊婦さんたちはとても職場に気を遣います。休みを取れる制度があることを伝えて無理なく妊娠生活が送れるようサポートしていくことは重要です。

・妊娠中期の看護と視点

妊娠中期では徐々につわりも落ち着いてくることから食欲が増強してくる時期に入ります。つわりで食べられなかったことからの反動から一気に体重増加をきたすこともあります。妊娠中の体重増加は妊娠合併症や胎児が大きくなりすぎることにより帝王切開へなるリスクなどが挙げられます。これらを予防するために現在の体重増加量、食事量、食べのもの内容、活動、運動量などアセスメントしていく必要があります。必要な看護は本人がBMIを元にどれだけ妊娠全期間を通して体重を増やして良いのかを理解してもらうことです。もちろん妊娠しているため非妊娠時よりも多少はカロリーを多くとっても良いですが、食事バランスガイドを目安とし食事内容をや活動について伝えていく必要があります。食事の食べ方の工夫についても情報提供してあげる必要があります。また体重増加と反対に、体重が全く増えてこない妊婦さんもいます。体重が増えないことで胎児発育不全につながることもあるのでリスクや必要性を説明することも大切な看護です。
妊娠中期では妊娠に伴い貧血傾向も出てくるので鉄分の取れる食事など具体的に食材やメニューの提案も良いと思います。

また、妊娠中期に入ると胎動を感じることができます。そのため初期の胎動はどのようなものなのか、というのをしっかり伝え胎動が赤ちゃんの元気かどうかの大切なサインであることを妊婦さんに伝えることは重要です。胎動を感じ始めたら毎日自然に感じていくものですが、胎動がない時や感じにくい時などはどうしたら良いのか、病院に連絡するなど妊婦さんにしっかり伝えていくことが必要です。妊娠した時から母親と赤ちゃんの愛着形成は少しづつ始まっています。胎動を通しキックゲームなどの遊びも伝えていくことは生まれてから母親と赤ちゃんの関係にもつながってくるのでとても大切になります。
またこの頃は胎盤もでき一般的には安定期と言われる時期に入ります。母乳育児をしたい妊婦産へは体調をアセスメントしながら乳房のお手入れ方法を伝えていくのも良いと思います。また母乳育児のメリットやデメリットは正しく伝えていく必要があります。

・妊娠後期の看護と視点

妊娠後期に入るといよいよ出産日が近づいてくるので、出産後の背景も踏まえてアセスメントしていくことが大切になります。妊婦さんの家庭背景、家族状況、育児を手伝う人の有無など把握する必要があります。また出産準備が整っているかの有無、後半になれば早産のリスクなどもあるためなるべく早く動けるうちに赤ちゃんを迎えることができるように家庭での準備をしていくことが大切です。初めて赤ちゃんを迎える妊婦さんにとっては楽しみである反面、心配事もつきものです。物品準備や心理的な面でもどんなことに心配や不安があるのかをアセスメントして介入していく必要があります。
また社会的ハイリスクの方へは社会資源の提供もその後の育児環境へ大きな影響をもたらすのでしっかり行う必要性があります。出産はゴールではないとよく言いますが、本当にここからが始まりです。赤ちゃんを育てる環境を産前から把握しておくことはその家族にとってとても重要なことです。

身体的な側面ではお腹もだいぶ大きくなってきて運動不足になりがちです。お腹の張りはどうか、頻度はどうか、痛みの有無、程度、出血など、切迫早産の兆候はないかアセスメントしてことは重要です。早産兆候や安静指示がなければ、適度な運動や安産のための体操など日々の生活に取り入れるよう説明します。また市町村等で実施している母親学級の参加など促していくと良いと思います。
妊娠後期になると出産が怖いや痛いなどのマイナスの心理が強くなることもあります。そのため出産の進み方、痛みの感じ方、産痛緩和方法などしっかり理解できるように伝えていきます。また出産は母親だけでなく赤ちゃんはどのように生まれてくるのか、という視点でも話をしていくことで母子での出産なんだな、ということを感じてもらいます。そして、いざ出産を迎える妊婦さんや家族へ、病院への来院の方法を正しく伝えます。陣痛とはどんなものなのか、出血や破水したらどのようにしたら良いのかなど、突然始まる陣痛などは妊婦さんにとっては不安の強いものです。病院まで来る手段などしっかりサポートがあるのかどうかはしっかりアセスメントしていきましょう。

妊娠は生涯そう何度も経験することではありません。その中で、妊婦さんが280日という妊娠期間を不安なく安心して過ごしていけるように介入していくこと、しっかりと正期産を迎えることができるよう看護していくことが大切になります。妊娠経過が正常な経過なのかどうかアセスメントすることが異常の早期発見につながります。正常な発育かどうかは妊婦産だけでなく胎児含めてアセスメントしていことが大切です。
ほかの科の看護と違いケアの介入が少ないため指導的なことが大半を占めます。そのためたくさんの言葉の引き出しを作り相手の理解力を考慮し伝えることは母性看護の特徴の一つだと思います。妊娠ひとつにしても症状はみんなそれぞれ違うので、アセスメントはとても重要になります。

まとめ

妊娠は妊婦さんとその家族にとって人生の中の一大イベントです。妊娠は決して病気ではありませんが、その中でさまざまな身体的、精神的、社会的にも変化を伴うものです。そこに関わる看護師の対応で妊婦さんの気持ちの変化はとても大きいものです。ナイーブになりがちな時期だからこそ、妊娠各期に応じた正しい知識と確実なアセスメントを行い妊婦さんとその家族を支える看護が必要です。

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