わたしは、市民病院の救急・ICUで4年間働いて来ました。
そのなかでも、3年教育というものがあり、最後に集大成である受け持ち患者のケーススタディを展開します。わたしは、決して出来のいい看護師ではなかったので、失敗や立ち直れないミスを沢山して来ました。
そして、上司からも強く当られる事や後輩にバカにされる事もありました。いつも辞めたいと思っていたのに、なぜ4年間も続けられたのでしょう?回想録を記します。
わたしは、決して出来のいい看護師ではありませんでした。
一年目の時に初めての夜勤でミスを犯し5月?11月まで夜勤が出来ない状態でした。更には、9月までリーダーフォローが外れず、看護部に呼び出された事もあります。看護部長に「あなたのために、どれだけの先輩が神経をすり減らしているか分かっているの?あなたはまだ本採用では無いのよ。
仮採用を延長します、今年中に独り立ち出来なければ不採用よ。」と釘をさされた事もありました。
先輩からも強く当られたり、同期8人のうち私だけ、毎日ミッドナースと振り返りを行いレポートを提出しなければ帰宅出来ませんだした。毎日、帰宅するのが21時頃になってました。
いつも、辞めたいと思いつつ、相談出来る人もいませんでした。師長から呼び出され、「あなたには、同じ事ばかり繰り返すクリニックのような所の方が向いているんじゃない?よく考えて」とか、先輩には、「あんたは救急に向いてないわ」など色々言われて押しつぶされそうな思いでした。
他の先輩からは、「あなたは、まるでロボットね。言われた通りにしか出来ない。10言われないとわからない。」私は、緊張しいで不器用だし要領が悪い、よく言えば丁寧過ぎて時間がかかる性格でした。
自信を失いつつも、必死でしがみついていました。
フォローが外れずれ、リーダーフォローになった矢先の事です。
自分のミスで患者さんが急変して亡くなってしまったと思わずにはいられない事例がありました。
その時、わたしはもう辞職の決意をしていました。
しかし、どういう訳か独り立ちが認められ本採用になったのです。
当時の主任が声をかけてくれました。「何かあったの?」その時、初めて涙がこぼれ落ちました。私は、自分が行った事で患者さんの死に結びついたのではないかと話しました。主任は優しかったです。「誰でも人間だからミスはする。大小あるけど私だってある。
でも、二度と同じことをしてはいけないよ。そして、その患者さんの事を決して忘れてはいけないよ。」と言ってくれました。私はその言葉に励まされて、看護師を続けようと思いました。
もう一度、ICUにも配属され、ICUでも独り立ちをしました。
ICUでは、一対一看護なの同じ患者さんと長く関われます。
そこで、えたものは大きかったです。2週間に1度巡ってくる看護評価でかなりアセスメント能力が身につきました。わたしは、肺炎を起こし無酸素脳症を起こした後、意識不明の患者さまを受け持ちました。その時は、人工呼吸器を2週間つけていました。自発呼吸は見られ出し、床上リハビリも進んでいたのですが、意識も戻らず、脳幹を含め広い範囲で低酸素脳症が起こっていたので抜管は難しいとのことでした。そこから、気管切開をベッド上で施術し、その後も人工呼吸器を使っていました。家族の方とも関係性を築けるようになりつつありました。とにかく、痙攣が起きている時や咳払いなどでガツンと換気量が減ったりする時は、家族さんも涙されるので面会を避けるようにしたり、一緒に手浴などのケアを行うなど家族への配慮も行っていました。
2年目のプレケーススタディでは、迷わずその受け持ち患者さんで書こうと決めました。テーマは迷いました。意識障害か家族看護かで迷っていましたが、家族さんからの情報もたくさん貰っていたので、家族看護の介入について書きました。意識はなくとも、耳は聞こえていたり、目は閉じていても辛い時は顔をしかめたり。気持ちが穏やかだと表情も穏やかだったり。
わたしは、意識障害のある患者さんへの関わり方で、少しでも患者さんをいい方向にもっいける事や、家族さんの気持ちを配慮して支えていく大切さを学びました。意識障害のある患者さんには、五感に働きかける事や座位を保つ事で脳が賦活化されるのです。
さらに、家族は、突然の出来事にショックや不安、悲しみを隠しきれません。しかし、鼓舞に振る舞ったり、人工呼吸器など機械に囲まれた緊張感漂う環境を遠巻きで見ている事もあります。
しかし、患者さんにとっても、家族さんにとってもお互いの関わりがとても大事なのです。それを繋げるのが看護師の役目だと思っています。2年目でまた、立ち直れないミスをしました。
私は、それ以来自分では気がつかなかったのですが、脅迫性障害という精神疾患を患ってしまい、仕事の能率ががくんと下がりました。なので、リーダーオリも出来ませんし、受け持ちばかり任される羽目になりました。それからはずっと救急病棟で働いていました。私は、人の命と向き合う事の難しさを良く理解しました。そして、看護師は辞められないと思うようになりました。なぜかと言うと、ミスをしてそのせいで亡くなったんじゃないかな?と思う節があったので、その思いが拭いきれず看護師を辞めてしまえば、その患者さんに学ばせてもらった事を忘れるのが、怖かったからです。だから、精神的には限界でしたが、4年間続けられました。結局は寿退社という形をとったのですが。
キツい先輩からは、「あんたが何で他の同期と差をつけられてるかわかるか?や、あんたなんか後輩にも負けてるで。」と言われる事もあったし、点滴のルートを投げつけられたりする事もありました。
後輩がリーダーでキツい先輩が主代をしていた時も、オーダーがメンバーの私に降りて来ていないのに、それを私のせいにされたり耐えられない事も多々ありました。それでも、安全に配慮して事故だけはもう起こしたくないとの思いで必死でしたり気がつけば、受け持ち患者数はだんとつで私が一位でした。それを不満に思った時期もありましたが、「それがアセスメント能力につながるんだよ」と先輩に言われた時、すごく気持ちがらくになった事を覚えています。
実際に、わたしはアセスメントのコツが分かるようになっていきました。一年目の時から、結構大変な患者さんを沢山持たせて頂いたおかげで、アセスメントがすっと出来るようになったのです。決して悪い事ではないし、もしろありがたいです。最後の、送別会の時に主任さんから、「あなたはアセスメント能力がたかい。先輩たちも一線を画している。
他の病棟のスタッフからもアセスメントがよく出来ていると耳にする。」など言ってもらえました。それだけで、十分にやってきた甲斐があったなと思えました。見てくれている人は絶対にいるのです。
これからも、機会があれば看護師に復帰したいと願います。そして、経験を活かすためにも日々勉学に励んでいきたいです。
わたしは、4年間しか働いていないのとブランクもあるけど、ICUで働いたことなどの経験から自分を後押ししてくれると信じています。今度はリーダーをやってみたいとの目標も出来ました。今度こそは必ず出来る様に頑張って、とりあえず自分の病気といまはたたかっています。看護師ほど、やりがいのある仕事はないです。実際にいま、コロナで医療崩壊がおきているので、力になれないのが悔しいです。
まとめ
わたしは、こういう事情で今まで4年間看護師をつづけてこれました。むずかしい壁にぶつかっても何度も立ち上がり、それをバネにししがみつき、必死で患者さまと真剣に向き合う、命と向き合うことの大切さを忘れなければ看護師は続けていけます。わたしは、看護をしたいと思っている人全て看護師に向いていると師長さんから言われた言葉が忘れられません。色んな形があるけれど、3年間後をやりとげ、次のステップへ。看護は多岐に渡るという事を実感する事ができました。
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