アセスメントは意外に難しくない

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#1174 2020/08/19UP
アセスメントは意外に難しくない
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アセスメントとは・・・
看護を行うにあたっての過程のひとつです。
①情報収集、②アセスメント、③問題点の抽出、④看護計画の立案・実施・評価
対象者からの「主観的情報」と医療者の観察からの「客観的情報」を解釈、統合しながら、対象者を取り巻く看護上の問題点を理論的に分析して明確にすることです。
看護を行うにあたって看護計画にアセスメントは必要不可欠な部分で柱となります。

アセスメントって難しくて苦手という声を耳にしますが、意外に難しくありません。少しだけコツがあるかもしれませんので、一緒に考えてみましょう。

まずは、看護を行う前の過程のおさらいです。
①情報収集
②アセスメント
③問題点の抽出
④看護計画の立案・実施・評価

対象者からの主観的情報と医療者の観察からの客観的情報を合わせて、問題点を抽出します。この部分がアセスメントです。


わかりやすいように、おおまかに入院や入所の対象者ではなく外来の診察前の問診段階で具体的に考えてみましょう。

例)風邪症状のある患者のアセスメント

・68歳、女性
・患者の主訴:咳と喉の痛みがあって熱も出てきて体がきついので病院にきました。
という患者様にであったとします。
ここから既にアセスメントの始まっています。あなたが看護師、介護者だったとしたら、患者様に何を聞くでしょうか?
・いつから
・今の症状
・他の症状(頭痛,痰、鼻汁、腹痛、下痢、吐き気の有無なども)
・食事や水分はとれているか
・喉は乾いていないか(必要に応じて排尿回数や色)
・バイタルサイン(熱、血圧、顔色、皮膚の状態)
・既往症
など医師が診察と診断と治療に必要な情報を少し詳しくお伺いすると思います。

患者の主訴と医療者が観察と聴いて得た情報、これを統合します。
・3~4日前から
・咳嗽、咽頭痛、痰、微熱
・昨日より腹痛と下痢1回
・体温:37.3℃、血圧:138/80、SPO2:98%
・吐き気もなく食事や水分は摂取できていて口喝はない
・排尿回数も普段と同じ
・高血圧と高脂血症と喘息の既往あり降圧剤を内服中。
・子供夫婦と同居をしており食事の準備は嫁が行っている。
・歩いて来院

そして考えると思います。
「急ぐ要因の症状はないから、普通の順番待ちの診察を受けていただこう」
「喘息で長引く可能性はあるな」
アセスメントはこの部分です。

症状や病気が軽くても重くてもこの過程は変わらないので基本となります。
この患者様の症状が少し重かった場合を考えてみましょう。

2)例:同じ患者で高熱と頻回の下痢を伴う場合

・38.7℃、血圧120/78、SPO2:97%
・頻回の下痢で腹痛と吐き気があり食事や水分が摂取できない状況が1日
・排尿朝から2回、濃縮尿、口渇あり
・嫁の車で来院

#内服薬が飲めない可能性
#脱水症状の可能性
#喘息で長引く可能性
#肺炎が起こりうる可能性
#脳梗塞が起こりうる可能性
#心筋梗塞が起こりうる可能性

少し症状が重くなっただけで、症状や既往症などから色々な可能性、これから起こるかもしれない可能性が出てきました。
この可能性を引き出す部分がアセスメントです。
吐き気も強く内服が難しそうで高脂血症の患者様に脱水症状がある場合、起こっていることと起きる可能性があることを分析してみます。
いかがでしょうか。みなさん普段から行っていて難しくないのではないでしょうか。
分析して、問題点となることに対して行っていく看護のプランを立て実施する看護計画の基本の柱であることに気づきましたでしょうか。
更に症状が重くなった場合も同じですので、考えてみましょう。

例)3:同じ患者が数日後、入院になった場合

・動けなくなり救急車で来院
・体温:39,5℃、血圧:118/78脈:100、SPO2:85%
・顔色不良あり、やや努力呼吸
・発汗あり
・肺炎の疑いで入院となる
情報収集に外来のカルテや検査結果、家族から聴いた情報を合わせて分析します。

患者様がどんな状況であるか、何が起きているのか考えれたのではないでしょうか。
症状が重くなった場合も、アセスメントは難しくなかったのではないでしょうか。
・呼吸が苦しいよね、呼吸状態の改善が必要だな
・肺炎で熱発していてベッドから起き上がれない
・食事は難しい状況だけれども水分はとれるかな
・発汗が多いし、IN・OUTのチェックも必要だな
など、同時に問題点と必要な看護が抽出されます。

「起こる可能があることを予防するためにどうするか」も組み込んでいきます。
外来で最初に行ったアセスメントです。
#喘息で長引く可能性
#肺炎が起こりうる可能性
#脳梗塞が起こりうる可能性
#心筋梗塞が起こりうる可能性

高脂血症と喘息の既往症があるため肺炎が生命の危機となる可能性があります。
この部分が重要なケースもあるのでアセスメントが柱となります。
問題点を改善するために目標とプランを立てて実施、プランを続行するか変更するかアセスメントを行っていくことが看護計画です。
看護計画の実施中も定期的にアセスメントを行い、ポイントを記録に残しチーム全体で取り組みやすいようにします。

看護計画ができたら患者様のために誰が見てもわかりやすく、他のスタッフのアセスメント助言をもらえたりする効果的な記録の方法を取り入れてみましょう。

■看護記録において必要な分析手法の一つであるSOAP(ソープ)■

S (Subject):サブジェクト
主観的情報患者様の話や訴え、病歴、自覚症状などを記述する。
O (Object):オブジェクト
客観的情報医師や看護師など医療関係者が身体診察・検査から得られた情報などを記述する。
A (Assessment):アセスメント
上記、SとOの情報をもとに分析・結合、判断・評価し、意見・印象などを記述する。
P (Plan):プラン(計画)
上記、S、O、Aの情報をもとにした治療方針や問題解決のための計画を記述。

アセスメントは、この「S・O・A・P」の4項目の中で重要な「評価」の部分です。
「S・O・A・P」で記録を行うことで、患者様の状態や経過が明確になります。
他のスタッフが記録を見て情報収集しやすい記録となりアセスメントに助言をいただけたり患者様のためになります。
何よりアセスメントを行いやすくなります。

スタッフが得てくる情報は同じとは限りません。アセスメントの内容も全く同じではないでしょう。それでよいのです。
「S・O・A・P」で看護計画を実施して記録を行う上で、計画は修正・変更してよいのです。
患者様の状態が変われば変更・修正が必要となるのは必然的です。
より良い看護を行うための計画ですからそれでよいのです。
スタッフが患者様と記録を見て情報と計画を共有して看護にあたれるように効果的な記録方法を身につけましょう。

看護師は患者様やそのご家族からの主観的情報や、バイタルサインなど根拠となる客観的情報を記録します。
大きな目標が「自宅で生活できるようになる」であれば、そのために患者が行うこと、医師が行うこと、看護が行うこと方向性は同じです。

入院の場合も、訪問看護の場合も、入所の場合もアセスメントは同じです。
的確にアセスメントできる情報収集・観察能力と医療知識が身についていれば難しくないのです。

看護計画に差が出るとしたら、情報収集・観察能力と医療知識の差であるといってよいでしょう。
その部分はチーム全体で情報を共有してアセスメントを行い修正・変更していくことで解決しより良い看護計画になります。
アセスメントの結果で問題点や優先度を判断し、看護ケアの方向性を明確にして看護に役立てましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。アセスメントは意外に日常的に行っていることで難しくなかったのではないでしょうか。
重症な患者様も、救命救急センターや術後の患者様から外来の患者様もアセスメントは行われるものです。重要度や問題点の数が違ってきますが考え方は同じです。普段から少し意識するだけで手早くできるようになります。
良い看護計画は「チーム全体で共有してみんなで修正・変更していくもの」と理解できたら苦手だなという意識が変わってくると思います。お役に立てましたら幸いです。

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