新人看護師の身体的アセスメント学を病院で担当して教えています。アセスメントっと聞くと難しく感じるかもしれませんが、実は皆さんは無意識のうちにアセスメントを行っているのに気付いているでしょうか?ポイントさせ抑えてしまえば、アセスメントは簡単に行うことが出来ます。
新人さんが看護師として、患者さんの基に行き、実際にケアをするときはとても緊張します。
実習とは違い、誰かがそばにいるわけでもありませんし、実習記録を記載するような時間もありません。業務の一環として行わなければなりません。ましてやプリセプターが怖い人や教えるのが苦手な人などでは、月日だけが経過してしまい、思うように結果が得られないなんてことも多くあります。そんな時に同期は著しく成長しているのに自分だけ取り残されているような感覚に陥るのではないでしょうか?
今回は看護師としてのアセスメント方法は実は簡単な事であるという点に着目して記載していきたいと思います。
看護をする上での観察ポイントは、救命救急のアセスメントに通じるものが多いんです。
皆さんは一次救命処置BLSや二次救命処置ACLSを受講したことはあるでしょうか?
特にACLSはチーム蘇生の練習を行い、アセスメント学を再学習するにはもってこいの学習シナリオとなっています。興味があればプロバイダーコースを受講することをお勧めします。
前述であったように、アセスメントは救命に通じるものがあるというのは、評価のポイントの重要な部分を抑えているからなんです。急変したときの患者の観察ポイントはABCDEとして評価を行います。
ひとつづつ説明を行っていきますね。
A:airway(気道)です。
気道が開通しているか開通していないかは、会話をすることで分かりますよね。声が出てれば気道は開通しています。声が出るということは呼吸も行っているということになります。朝、患者さんのところにいき「おはようございます。」と声を掛けて返答が得られれば気道は開通しています。嗄声といって声が枯れたような感じが得られた場合は気道に何か異変がおきているのかな?っということに繋がりますよね?何かおかしい?なんだろう?がアセスメントにつながります。そうなったばあい、口腔内を確認して、咽頭発赤がないか、甲状腺が腫れていないかなどを実際に触って確認をします。
B:Breathing(呼吸)です。
呼吸をしているかどうかは、会話が出来ていれば呼吸をしているということです。ここで着目するのは、呼吸のパターンです。
いつもより苦しそうだな?息が苦しそうだ。と感じたら呼吸回数を見てみましょう。呼吸回数が多い・少ないなどの異常がみられれば、胸の動きを見ます。左右同じくらいで胸が上がっていますか?上がっていなければ緊張性気胸などの肺疾患を疑います。また胸を直接触ることも大切です、皮下出血がないか、浮腫みなどはないかなどを実際に触って確かめましょう。そこで異常があれば、呼吸数○○回/分、胸郭の動きに左右差あり。胸部皮下出血・打撲婚ありなどのアセスメントにつながります。
C:Circulation(循環)です。
朝、バイタルを測定するときに血圧を測定しますよね?これは循環になります。血圧が高い、低い。なんでだろうと思ってA・Bを同時に見てみましょう。循環を見るポイントは血圧だけではありません。患者さんの手先などを診たり触ったりしましょう。指先は冷たいですか?チアノーゼは出ていませんか?CRT(毛細血管再充満時間)は2秒を超えていませんか?などを診ましょう。そうすることで、この患者さんが現在、おかれている状況が正常化異常かを判断することが出来ます。
D:Disability(神経学的所見)です。
これはAVPUとして評価するとわかりやすいです。神経学的所見?よくわからないと思いますが、安心して大丈夫です。
左記のAVPUはA(アラート)呼びかけに反応しますか「大丈夫ですか?」の声掛けに反応しますか?V(ボイス)発語はありますか?P(ペイン・瞳孔)痛み刺激に反応しますか?瞳孔の左右差はありますか?消耗反射は見られますか?U(アンレスポンシブ)従命はとれますか?「手を握ってください。」「手足をあげてください。」などです。これが全部OKであれば神経学的所見に問題がないとします。問題があれば、アセスメントで痛み刺激に反応が鈍いとか、手を握ってくださいといっても右手の握力が弱いなどのアセスメントが出来ます。
E:Exposure & environmental control(外傷)です。
患者さんの全身を観察します。全身に異常はないかな?どこか打ったりしてないかな?ドレーンなどは抜けていないかな?など全体を評価します。
アセスメントで外傷があれば、頭部出血あり、夜間帯、トイレに行こうとして、転倒した様子。などを記載します。
ここでの、アドバイスは、全身観察をして異常が見当たらないばあいは、消化管出血も視野に入れておきます。直腸診を行って、出血がないかを確かめることも大切です。意外とオムツ着用患者さんを看護師さんが見る時に、オムツの中まで見ておらず、実は出血があり、消化管出血で血圧が低下していたなんてこともありますので、しっかりと確認しましょう。
上記だけを見ると難しいです。っと思うかもしれませんが、これは冒頭にもあったように無意識におこなっているんです。朝からの自分の看護業務を見返してみましょう。
朝患者さんの部屋に行き、何気なく会話をしながら、検温を行いますよね。患者さんと話している時に、ABは評価していることになるんですよ。笑顔で、何気ない会話が出来ているということはABは問題がないということに繋がります。
検温をするときに、患者さんの手に触れますよね?血圧を測定するときに「血圧計(マンシェット)を巻きますね。」と声を掛け、患者さんが無意識に手を動かしたり、血圧計(マンシェット)に手を入れてきたりしますよね。これはCDを評価していることに繋がりますよね。また、ドレーンやバルーン、IVHなどを入れている患者さんは、ドレーンが抜けていないか、位置は正しいか、ドレーンから体液の流出があるかどうかを確認しますよね。
それに合わせて全身を清拭したりしますね。その時に「横を向いてもらっていいですか?」「自分で拭けるところを手伝ってもらってもよろしいですか?」などを声を掛け、ケアを展開していきますよね。それhまさに、DEを評価していることにつながるんですよ。
アセスメントと難しく考えると、どうしても専門用語を使用したり、具体的な数値を覚えなければいけないと感じがちなのですが、基本は自分たちが行っている部分を、相手にわかりやすく伝えることが重要になってくるんです。普段行っているケアをABCDE評価を意識して、観察してみると、普段より専門的に見なければいけない部分が出てきますし、自分の中で意識するようになります。正常・異常がわかるようになると、なんでだろうと疑問が出るようになります。そこを自分で勉強したり、専門医や先輩などに聞き、紐づけることで専門性が高まっていきます。アセスメントのコツは普段行っているケアをABCDE評価にあてはめることにあると思います。是非実践してみてください。
まとめ
アセスメントが苦手、アセスメントは難しいと感じている看護師さんは多くいると思います。でもアセスメントは普段行っている看護ケアの中にあります。その部分に気づかせてくれる教育や指導が重要だと私は考えています。普段行っている看護ケアに疑問を持ち、なんでこうなるんだろう?を普段から意識するようにしてください。それをルーティン化するとアセスメントが深まりません。自分で調べた回答や専門医・先輩看護師からの回答を紐づける作業こそが、アセスメント学の習得につながります。是非意識して、ケアを行ってください。一年後のあなたは見違えるように成長していますよ。
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