インシデントとして一番上がるのは、なんといっても転倒事故です。自宅で転倒するのと違い、病院内で転倒すると責任を問われることもあります。そのことは避けたいですね。そこでここでは、転倒が起きる現場をアセスメントして防ぐコツについてご紹介します。
・どんな患者さんでも転倒することがある
患者さんの中で、この人はよく転ぶという人が必ずいます。そのような人は、よく注意をすることができますね。付き添ったりして、注意をして見ることができます。しかし現実的には、この人はマークしていなかったと思うような人でも転倒をしてしまうこともあります。そのことから、この人は大丈夫ということは全くありません。入院をしている全員の患者さんが、その恐れがあるのです。だからこそ、予防をすることが大切です。病院とは安全なところとしてあるべきなのです。そこで、安全な場所として様々なことについてアセスメントをすることが大切です。
・病院で転倒する危険性について
病院で転倒をしてしまうと、大変なことになってしまいます。まず入院をしているということで、健康な人が転倒をすることと違うのです。転倒をした患者さんは、何らかの病気を抱えているのでそれだけのリスクが伴います。もしかしたら、その病気を悪くしてしまうこともあります。
もしも手術後に転倒をした場合は、その骨折などをしてしまうことにより手術がまた必要となるケースもあります。またお年寄りの場合は、骨折をして命に関わる事だってあるのです。それを思うとかなり注意をして観察をすることが重要となってきます。
・病棟の廊下にものを置かない
まず病棟内の環境整備を行うことが大切ですね。特に重要となるのは、なんといっても廊下です。廊下は患者さんが歩く場所として、安全なところにするべきです。一番は、歩きやすい場所にすることなのです。歩きやすい場所として、まずものを置かないようにしましょう。患者さんは、廊下の手すりを掴んで歩くことがあります。寝ていることが多い患者さんの場合は、足腰が弱っているので手すりを持ち歩くことが求められます。その時、その手すりを使う場所にものがあると、安全に歩くことができません。そこを通ることができないので、手すりがない場所を歩き、転倒をしてしまうこともあります。手すりのある場所には、ストレッチャーやワゴンなどを置かないように気をつけましょう。
そしてそれ以外でも、ものがない廊下を目指すことが大切なのですね。看護師も歩きやすいので、転倒事故を起こすことが少なくなります。看護師の場合は、救急の場面で小走りになることがあるのでその時にスッキリしたろうかであると安心して駆けつけることができます。患者さんのために、医療者のためにスッキリした廊下にしましょう。
・滑りやすい状況を作らない
転倒をしてしまう原因の一つとして、滑ってしまうことがあります。それは水などがこぼれていて滑ることがあるのです。水がこぼれていると、最大のリスクとなります。廊下にこぼれていると、できるだけ素早く拭き取るようにしましょう。そしてその水は、どこからこぼれたのかアセスメントをしましょう。
一番可能性があるのは、患者さんがお茶などをこぼしてしまうことなのです。しかも患者さん自身も、そのように廊下や病室などにお茶をこぼしたことをわからないこともあります。知らない間にこぼれていることがあるので、絶えずこぼれていないか目を光らせていることが大切です。
・患者さんの靴は安全か
廊下を安全に歩くことができるのは、安全配慮をすることにつきますね。しかしそれだけでは、転倒を防ぐことができません。これだけ注意をして廊下を安全な場所にしたのにどうしてなのかと思うこともあるでしょう。それは、転倒する要因としてそれだけではないからです。その要因の一つとして、患者さんの履物があります。履物をきちんと履くことができていないと、転んでしまうことがあります。
最近では、スリッパで歩くことを禁止している病院があります。それはスリッパというのは、足に沿って履くことができないからです。踵がないので、そのまま脱げてしまい転倒をしてしまうことがあります。そのことを思うとできれば、スリッパではなく靴を持参してもらうことが転倒リスクを減らせることになります。
・患者さんは転倒に対して知識があるか
転倒をしてしまう要因として、患者さん自身が気をつけていなことがあげられます。入院をすると、そこで安心してしまい、ふとした時に転倒をしてしまうことがあります。患者さんの意識の中には、病院は安全という思い込みがあるのです。その安全な病院でそんなことが起きるはずがないと思っているのですね。ところが、多くの患者さんが転倒してしまう事実があります。
そこで患者さん自身に、転倒についてしないように気をつける意識を持ってもらうことが大切になります。そのように患者さんが気をつけることにより、ぐっと転倒リスクを下げることが出来るといっても過言ではありません。
ちょっと具合が悪い時には、無理をしないようにナースコールを押してもらえるようにします。患者さんはいつも看護師に遠慮をしています。しかしそのことにより、無理をして立ち上がることがあります。足の筋力が弱っていることを知らずに立ち上がると、その場所で転倒してしまうこともあるのです。患者さんに遠慮をしないで、看護師を呼んでもらえるように伝えておくようにしましょう。
・患者さんの状態をアセスメントする
転倒リスクを減らすためには、なんといっても患者さんのことをアセスメントするに限ります。その患者さんが転倒リスクについてあるのかをまずアセスメントをします。高齢である場合は、確実にリスクがありますね。足腰が弱っているので、長く寝ていた状態から立ち上がり歩くことはとても危ないです。歩く方などもアセスメントをして、どんな程度なのか知っておきましょう。
またリスクのある疾患もあります。足に疾患がある人、手に疾患がある人の場合は、自分の体を支えることがむつかしくなるのでそれだけで転倒リスクがアップします。
・患者さんのベッド周囲の環境を整える
患者さんが転倒をする場所として廊下がありますが、それと同じぐらい危険なのはベッドサイドです。ベッドサイドは、常に整理整頓されていないと危ないのです。しかし忙しかったりすると、環境整備ができないこともありますね。そんな時に、転倒してしまうことがあります。ベッドサイドは、足元に何も置かない事、足元に履きやすい靴を揃える事、そして安静度がある患者さんの場合は必ず看護師を呼んでもらう事などが必要となります。
・転倒について話し合える環境があるか
転倒については、組織全体でそのリスクを知り、予防について取り組むことが大切です。転倒を防止する委員会を作るなどして、その都度取り組みなどを報告することにより、看護師全体の意識も変わりますますリスクをしっかり把握できるようになります。
転倒があった時には、その時にカンファレンスを開くこともいいですね。そのカンファレンスの中で、いろいろなアセスメントを行い、看護師と医療スタッフで防止することができると、その病院全体の転倒リスクを少なくすることができます。そしてそれは、もしも転倒を起こしたとしても、そんなに重症化することがなくなり患者さんを守ることにつながります。
まとめ
いかがでしたか?病院内で転倒を防止しても、やっぱり起こしてしまうと悩んでいるところは多いですね。そこで大きなインシデントとならないためには、患者さんの一番身近にいる看護師の行動が鍵を握ります。日々の環境や患者さんの状態のアセスメントが重要なのです。そのことを看護師一人一人がしっかり認識して、取り組むようにしましょう。
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