採血を失敗しないで上手に行うには何かコツがあるのだろうか

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#1044 2020/04/12UP
採血を失敗しないで上手に行うには何かコツがあるのだろうか
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看護師になれば、採血をする機会も多いです。
看護師にとっても採血で失敗するのは嫌で自信を失う一因となることがありますが、患者にとっても失敗されるのは、やはり嫌なものです。
看護学生とごくわずかな看護師経験をもち、40年近い患者経験のある私が、患者の立場からと看護師経験からの両方の目線で、上手な採血方法をお伝えしたいと思います。患者の本音も書き留めたいと思います。

<患者の立場から>

何十年も患者をやっている「ベテラン患者」は、看護師以上に上手な採血の方法をよく知っています。特に自分の腕の血管については、ここは見えやすいけど痛みが強いからイヤだ、ここも見えやすくて血管に針は入りやすいけど血液が引けないことが多い、ここの血管は少々見えにくいかもしれないけど一番痛くないし失敗率も低いなどを把握しています。
しかし患者の分際で偉そうに「ここの血管は止めて」、「こっちの血管にしてください」などとは、やはり言いにくいです。
看護師さんがどこにしようか迷っていて、話しやすそうな明るい気さくな感じの看護師さんであれば、「第一希望はここの血管がいいなあー」などと、何気なく言うこともあります。その際も、出来るだけ明るい感じで笑顔で言おう、などとそれなりに気を遣いつつ言っています。

賢い優秀な看護師さんは「ここの血管でやってほしいとか、希望はありますか?」と聞いてくれます。聞いてくれると患者はものすごくホッとします。
やってほしくない血管に針を刺された時は、冷や汗ものです。それでも成功した時に、「この看護師さん凄いなあ」とは思いません。ただただ、「失敗しなくてよかったー」とホッとするだけです。
ベテラン患者には遠慮しないで、「ここの血管が良いとかありますか}などと気軽に尋ねてみるのがベターです。

こういうことを聞いたら、「頼りないと思われるのではないだろうか?」という懸念もあるかもしれませんが、失敗しないことが患者さんにとっては一番頼りがいのある優秀なナースです。それまでの過程はあまり関係ないので、恥ずかしがらずに患者さんに聞くのがベターです。

変に肩ひじをはって突っ張っている看護師さんよりも、気軽に聞いてくれる看護師の方が、私としては良い人・良い看護師に思えます。「私仕事できるので」みたいな雰囲気の看護師が失敗するのが、一番嫌です。

自分がそれほどできないという事を解っていないというのは、イタイと感じて困りもののナースだと思います。
ベテラン患者の中には、自分のこれまでの経験を看護師さんに伝授したいと思っている人も少なくありません。案外看護師以上に、採血のコツを知っているケースも多いです。見栄を張ったりしないで、ベテラン患者には聞いてください。

<血管を出しやすくする方法>

採血をする際に血管が見えるかどうかも、大きなポイントとなるでしょう。最近は、血管を映し出す懐中電灯のようなライトも開発されています。大きな病院では既にこのような便利具グッズが使われているようです。
しかし、こういった便利なグッズがない場合は、少しでも血管を出やすくする工夫が必要になります。
病棟の場合は、採血をする前に採血部分を温かいおしぼりなど温めて貰ったり、洗面器にお湯をはってその中に手を入れて温めてもらうのも一方法です。
外来の場合は採血部分を軽く叩いて刺激したり、しっかりと腕を伸ばしてもらうことで採血しやすくなります。腕が曲がっているとやりにくいので、腕の下にタオルを置くなどして、真っすぐに伸びるようにしましょう。

また、採血の準備をしている間から腕を伸ばして待ち構えている患者さんも少なくありませんが、あまり早くから腕を伸ばして待っていると血管が出にくくなってきます。採血の直前までは、腕は下におろしている方が良いです。

脱水していると血管が出にくくなるので、しっかりと水分を取っておくように伝えることも大切です。特に夏場は来院してすぐに採血となると、汗を掻いていて血管が出にくくなっている場合もあるので、水分を取って一休みしてから採血するのが良いでしょう。
腕をまっすぐに伸ばしたら、親指を中に入れて手をギュッと握ってもらいます。グッと力を入れることで血管が浮き出やすくなります。
患者さんにリラックスしてもらうのも、上手なコツです。
採血の準備をしながら「今朝は冷え込んで寒かったから、朝早くから病院まで来るのは大変だったでしょう」などと、笑顔でたわいない労いの会話を交わすのも上手な方法です。

小さなお子さんの場合は、例えばアンパンマンの服を着ていたのなら、「アンパンマンの服だね。アンパンマンの中で誰が一番好き?」などと、お子さんの興味のありそうな話をするのも良いでしょう。

<声かけも重要です>

ベテランの患者さんなら、何も言わなくても自ら親指を中に入れて手をギュッと握ってくれたりしてくれますが、初めての患者さんや慣れていない患者さんの場合は、声掛けも重要なポイントです。
「消毒しますね」「血管を見やすくするために少し腕を縛らせてくださいね」「痛くないですか?大丈夫ですか」「少しだチクッとしますね」などと、一つ一つ丁寧に声をかけることが大切です。
初めての人にとっては、駆血帯で腕を縛られただけでも、もの凄いことをされている気分になってしまいます。考えてみれば、医療機関以外の場所で腕をこのように縛られることなど、まずないでしょう。

看護師はいつもやっていることなので何も思わないかもしれませんが、駆血帯で腕を縛るという行為ですら、クリニックや病院以外で行うことはない行為だという事を今一度、認識しておきましょう。

<血管が逃げていく場合>

採血の失敗でよくあるのが、血管が逃げていくというパターンです。針を刺したとたんにスッと血管が逃げて行って失敗してしまったということは、多くの看護師が経験しているでしょう。

採血をする時は、見えやすい血管を選ぶ傾向がありますが、見えやすいという事は浅い所にある血管だからです。浅い部分にある血管は見えやすいけど、その反面逃げやすいというデメリットもあります。
右利きの人の場合、左の指でしっかりと血管をホールドできれば失敗する確率は低いのですが、少し深めの位置にある血管の方が成功率は高いと言えます。
血管が2股に分かれている部分は血管が動きにくいので、そこを狙うのも上手な方法の一つです。
左手の1指2指で上から少し引っ張り気味にホールドすると、血管が動きにくくなります。
また、駆血帯をきつく縛りすぎると、血管は浮き出ますが逃げやすくなります。

<肥満している人の採血が苦手>

太っている人はスリムな人と比べると、血管が脂肪に覆われてしまって見えにくいでしょう。この場合は、指で探すしかありません。触った感触で血管と皮膚を見分ける必要があります。
そしてスリムな人よりも、深めに針を刺すこともコツの1つです。

<小児の場合>

泣いて嫌がっている子どもの場合は、極力1回で済ませることを優先しましょう。
何度も針を刺すことは避けたいです。腕で成功しそうな血管が見つからない場合は、何とか腕から頑張ってみようなどと思うよりは、足から採れそうな血管を探す方が賢明です。成功率の高そうな血管を探しましょう。
血管を探している時に、お子さんが興味のありそうな話などをして、できるだけリラックスしてもらうことも大切です。
看護師が2人以上いる場合は、1人がぬいぐるみなどであやしたり話をしたりして気をそらせて、その間にもう一人が採血を行うと良いでしょう。出来るだけ素早く行いましょう。

<針が苦手、血が苦手な人>

プロレスラーのような巨漢で強面の人であっても、針が苦手だったり血を見るのが苦手だというケースもあります。
よく、女性は毎月の生理の血を見ているから男性よりは平気だろうと言われますが、生理の血は大丈夫でも自分の腕から血を抜かれるのを見るのは無理だ、という人も少なくありません。
また比較的若い男性の場合は、自分から「血が苦手です」とか「針がどうも苦手で」とは言い出しにくいです。
初めての患者さんや緊張した顔をしている患者さんには看護師の方から「ベッドに横になって採血することもできますよ」と声をかけると、患者さんはとても助かります。
採血の途中で気分が悪くなってフーッと倒れこむようになってしまうのが一番困るので、顔見知りの患者さん以外には一言声をかけるのが良いでしょう。

ベテランの患者さんの場合は、自分の血管が採血しにくいことが分かっている人も多く、失敗されても逆に「大丈夫よ」と明るく笑って許してくれることも多いです。しかし中には嫌な経験があって、もう二度と失敗はされたくないと厳しい患者さんもいます。

また、採血された経験が少ない患者さんの大半は一発でやってくれるもの、失敗しないものだと思っています。このような患者さんの場合は、「できるかなあ」といった不安げな顔を見せるのはNGです。
自分にはとても無理だと思った時は、先輩に叱られたとしても、上手な看護師に交代してもらうのが賢明です。

私が患者だった時に3回失敗されて、上手くできずに苦労していた5年目の看護師が「誰だったら成功しそう?」と聞いてくれた時は、本当にホッとしました。「バーでホステスさんを指名するみたいで申し訳ないけど、SさんかOさんなら成功すると思う」と正直に言いましたが、Oさんは看護師免許を取得してまだ10か月の看護師で、Sさんは10年目くらいでした。

新人でも上手な人もいるものです。「誰ならできそう」と聞いてくれた看護師を尊敬します。あなたにもプライドや見栄よりも患者さんのことを第一に考えてくれるこういう看護師になってほしいです。

まとめ

余談も少々入りましたが、採血上手な看護師はやはり患者さんからも頼りにされます。少しのコツという感じですが、知っておくと良いでしょう。

血管の見た目に騙されないことや、声掛けの大切さ、ベテランの患者さんには「ここの血管でやってほしい、などの希望はありますか」と聞いてみることの大切さ、自分には無理だと思った時にはできる人と交代することも必要だ、という事を頭の隅に置いてもらえると、ありがたいです。

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