老年看護をしたいという想いから老人保健施設へ転職して学んだこと

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#1016 2020/03/17UP
老年看護をしたいという想いから老人保健施設へ転職して学んだこと
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私は看護学生のときから、老年看護に興味がありました。看護師の資格を取得し、総合病院にて経験を積んだのちに、老人保健施設へ転職しました。その施設で老年看護を提供したいと思いましたが、実現できませんでした。その現状を伝えたいと思います。

看護学校時代に見つけた自分のやりたい看護とは

私は看護学校時代に色々な実習を行い、様々な経験をしました。 成人・老年・小児・精神・急性期・慢性期看護、保健センター・施設などの実習を通して、自分は高齢者と接するのが楽しく、老年看護に興味があると感じました。老人保健施設での実習では、認知症の入居者の看護ケアにやりがいを感じました。認知症のある方へ、自尊心を傷つけないようにしつつ、安全安楽な看護ケアの提供がしたいと思いました。 看護師の資格を保有してからはまず、病院での実務経験を積み、老年看護を専門に行いつつ、その資格を取得したいという想いがありました。

看護師となり総合病院で働いてみて

看護師の資格を保有してからは、総合病院へ就職しました。 希望が通り、慢性期の病棟へ配属となりました。 慢性期の疾患は高齢者が多いため、疾患や看護技術だけでなく、老年看護も学ぶことができ、充実した日々を過ごしていました。どんな看護ケアをしたら良いか考えることに日々、やりがいを感じていました。高齢者の不穏や昼夜逆転、転倒防止などの個別性を用いた計画の立案していました。しかし現実は、総合病院は配置換えがあるため、自分のやりたい看護ができるとは限りません。その後は、消化器・循環器疾患の病棟や外来診療棟への異動がありました。自分のやりたい分野の看護ではありませんが、そこから学ぶこともあるという想いから看護ケアをしていました。

老人施設へ転職したい

総合病院の外来診療棟の勤務では、外来の待ち時間の際に患者さんが急変することに度々、遭遇しました。急変時の対応を学ぶことはできましたが、私はゆったりと患者さんへ接したいという思いが強くありました。外来は高齢の患者さんだけが来院するとは限りません。総合病院では、約10年の実務経験を積みました。そろそろ自分のやりたい看護を実現するために、転職を考えるようになりました。色々と悩んだ結果、総合病院を退職し、転職することを決めました。

就職活動について

次の就職先を決定するためにハローワークで就職活動をしました。どこか老人施設はないかと探している時期に、老人施設の就職説明会があったので参加することにしました。この施設はグループ企業で、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・ケアハウス・保育園を経営しています。私の自宅の近隣には、このグループ企業が新たに造設してから約1年が経過した老人保健施設がありました。就職説明会では、その老人保健施設の責任者である事務長と面談をすることが出来ました。自分の希望する条件についてなどを話すことができました。後日、ハローワークを通して就職の面談をすることになりました。面接では前職場の退職理由や家族状況、特記事項などを質問されました。なんと面接時に即採用され、勤務が開始出来る日を聞かれました。即採用されると思わなかったので、とても驚きました。

老人保健施設の実態

老人保健施設に勤務する看護師は、入居者とデイケアに担当が分かれていて、私は入居者の担当に配属となりました。 入居者へのケアは看護師と介護士で行っています。勤務初日はオリエンテーションや施設内設備の説明を受け、入居者の情報収集をしました。 看護業務のマニュアルはほとんどありませんでした。看護師の新規入職者に対し、指導をしてくれる人はいません。 分からないことはそのつど聞きながら行い、時には介護士に聞くこともありました。入職して1ヶ月が経過した頃、発熱のために欠勤をしました。体調が良くなり翌日に出勤すると、介護士に「このまま出勤して来ないかと思いました」と言われました。 この施設は職場全体として離職率が高い職場で、常時人手不足でした。特に介護士の離職率が高く、勤務を開始して3ヶ月以上勤務する人はごく一部のみです。介護士の管理職も退職しています。 退職者がいないのは事務職とクリーンスタッフのみで、栄養部門・リハビリ部門・ケアマネージャー・看護師は退職者がいました。 介護士は介護福祉士の資格の有無に関わらず採用していて、介護士の仕事が未経験者も採用していました。 介護士の新規入職者に対し、看護師の立場から必要な指導をしていますが、指導をしても退職者が多く、やりがいを感じませんでした。人手に困ったときは、副事務長・リハビリ部門・ケアマネージャー・デイケアの介護士・事務職に応援要請を行っていました。 職員の確保のため、グループ企業からも出向することもありました。後にこの施設は人手不足で、常にハローワークや様々な看護師のインターネットの求人に掲載されていることと、就職の面接を受けた人は、選ぶことなく採用していることを知りました。 毎年、6月と12月にボーナスの支給がありました。 グループ企業の業績に応じてボーナスは変動していて、ボーナスが減少すると、退職者が増えました。 施設はベッドが100床あり、100名入居可能です。 私が入職したときの入居者は40名程度でした。グループ企業の業績悪化に伴い、入居者を2ヶ月間で40名増やしました。 常時人手不足の現場なのに入居者を一度に増やしたので、入居者のケアの質が低下しました。常時人手不足、新規入居者への指導に日々追われ、入居者へのケアが十分に行き届かないのが現状です。認知症へのケアや転倒転落の防止、予防ケアなど色んなケアをしたいと思いますが、できませんでした。 せめて、水分管理や清潔ケアだけでも行いたいと思いますが、できてないこともありました。 施設には施設医が常駐していますが、設備や医薬品に限りがあるので、入居者の体調不良時は病院への受診となります。受診対応は看護師が付き添いますが、人手不足のため受診に連れて行けずに施設で過ごすこともありました。

まとめ

私は老年看護がやりたいという気持ちから老人保健施設へ転職をしましたが、理想の老年看護の提供はできず、失敗しました。これから日本は高齢化社会が進み、高齢者の人数は増えます。老年看護は病院でも行うことはできます。転職をしたことで自分のやりたい看護は必ずできるとは限らないと感じました。

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