訪問看護の世界に転職する際に必要とされるスキルや考え

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#746 2019/06/27UP
訪問看護の世界に転職する際に必要とされるスキルや考え
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訪問看護師というと、豊富な経験と知識が求められ、自分一人で判断・実施をするというイメージで、看護師の中でも敷居が高く感じられる仕事です。訪問看護師になるには実際にどういったことが必要なのかをお伝えします。
   

病棟の常識が全て覆される在宅看護

総合病院で7年働いた私が訪問看護師になって一番衝撃を受けたのが、在宅看護での自由度でした。訪問看護師になるにあたり、それぞれの家庭のやり方や利用者さん自身の考え方が何より大切だということは頭では分かっていたつもりでした。けれど、実際に目にするとそれまで看護師として気を付けてきたことが全て覆されるようなことが多々あり、衝撃の連続でした。

全ての家庭で医療機器や清潔器具がほぼない状況での看護は当然です。

さらに、感染症を患っていても明らかに不衛生な環境で生活している方、高蛋白食が必要な状況であっても経済面を理由に限られた食事しか摂れない方、寝たきりで独居は難しいように感じられるけれど、どうしても思い出の自宅から離れたくなく独居を継続している方…と挙げればキリがありません。

制限のある環境の中でいかにQOLを上げるかを考えられる

そういった制限のある環境の中で、いかにして利用者さんのQOLを上げられるかを考え、実際に看護を提供することが訪問看護師には求められます。ここで「○○がないからできない」「本来こうあるべき」という思考になってしまい、それができないことが辛くなってしまう方には訪問看護師の仕事も辛くなってしまいます。

一方で、「○○に少し工夫を凝らして使ってみよう」「○○を○○の代わりにしてみてはどうか」「他に何か使えるものはないか」と家にあるものの中で発想を膨らまし実施する方法を考えることができれば、訪問看護師の仕事は一気に可能性が拡がり楽しくなります。

もちろん、総合病院の経験しかなくカチカチの頭だった私は、初めからこういった発想はできずに戸惑うことは多くありました。けれど、そこは在宅での生活の大先輩の利用者さんやご家族と相談したり、どうしても解決しない時には上司に助言を求めたりと、解決策はたくさんあります。また、病院のように制約がない分可能性も無限大です。制限のある環境の中では絶対にできない、と初めから拒否する姿勢でない限り、少しずつ適応できるはずです。

臨機応変にできることを実施しようとする‘意思‘

訪問看護師になるにあたり、私が一番不安だったのが一人で訪問した先で何かが起こった時、自分一人で判断して対応するということができるのか、でした。病棟では何か分からなかったり自分一人ではできないことがあれば、他の看護師に相談したり手助けを求めたりすることができました。また、必要があればすぐに医療機器が手に入り、医師に指示を仰ぐこともできました。それらをほぼ医療機器がない在宅の場で、さらに自分一人の判断で行うことに、重い責任を感じ、若干の恐怖心すらありました。これは訪問看護未経験の方であれば、多かれ少なかれ誰もが持つ不安ではないでしょうか。

ここでも、先ほどと同じように制限のある環境の中で何ができるか、を考えようとする‘意志‘があれば大丈夫です。ここであえて‘意志‘としたのは、実際に初めから実行することは難しいことも多いからです。物品や環境面に関しては、自分の生活力に加え、利用者さんやご家族の力を借りることで解決することが多々あります。

しかし、身体面に関しては医療者として訪問している自分のその場の判断だけしか頼れるものがありません。そこで、その場でできることを最大限に実施しようとする‘意志‘が求められるのです。

自分がその場で持っている医療物品と知識、住環境や生活の変化の情報でできる限りの身体的アセスメントを実施する。その場にいない他の看護師に相談してみる、家族や担当ケアマネージャー、必要があれば担当医に連絡をとってみる…と、できる限りのことをしようとすることが大切で、そうすることで結果としてどうするべきかが見えてくるはずです。そしてその経験は次の訪問での自分のアセスメント能力に必ず役立ちます。

こんな風に言われると、自分の知識だけでそんなことできるかな‥と不安になる方もいるかもしれませんが、あくまで必要なのは知識ではなく実行しようとする‘意志‘です。訪問看護師として利用者さんにできることをしたい、という気持ちさえあればだれもが持てるものです。心配しすぎないでくださいね。

天候や交通状況に関係なく訪問できる体力

これは在宅看護における宿命とも言えます。どんなに暑くても寒くても、雨や雪が降っても、激しく雷が鳴っていても、利用者さんにはいつでも同じように訪問看護が必要です。利用者さんの状況によっては別の日に振り替えたりお休みしたりできる方もいらっしゃいますが、必ずその日・その時間に訪問を必要としている方も多数いらっしゃいます。病棟の変則勤務も体力的に厳しいですが、訪問看護師にはそういった環境の中で自転車で訪問先に向かうというまた違った厳しさがあるので、それを受け入れる覚悟と体力は必ず必要とされます。

在宅看護の世界を覗いてみる

これができれば大丈夫と色々と綴ってきましたが、訪問看護の世界に入るのに不安だらけだったのは私自身です。自分の判断によって利用者さんの生活が一変する可能性があると考えてしまい、怖くて踏み込めずにいました。それでもどうしても在宅看護に興味があり諦めきれなかったの私は、実は訪問看護師になる前に3か月ほど、派遣で訪問入浴の仕事をしていました。そこで在宅での利用者さんの生活や関わる専門職の関係性を見たことで、その場にいるのは自分だけでも、利用者さんに関わる人達皆で相談し、判断できるシステムになっていることを身をもって感じ、訪問看護師になる決意をすることができました。

今、在宅の世界に興味を持ちながら一歩を踏み出せずにいる方がいらっしゃったら、何かしらの方法で在宅看護の世界を覗いてみて、それから考えてみるのもお勧めです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

経験・知識の面から訪問看護師に敷居の高さを感じていた方にとっては、この発想ならできる、と思うことが多かったのではないでしょうか。もちろんアセスメントをする上で看護師としての最低限の知識や経験は求められますが、それ以上に自分の持つ力とその場にあるものをいかに活用するかという気持ちが求められる仕事なのです。

そのため、興味を持っている方はぜひ踏み込んでみてほしいと思っています。

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