いかにして看護師は、自分と周りをコントロールしながら、上手いこと仕事を回していくかということをまとめてみました。
新人時代で髪を振り乱しながら、病棟で働いていたときの自分の経験を思い出しながら、どのようにしてアセスメントという作業を自分は身に着けていったのかということをお伝えできればと思います。
働くことはインプットすることから始まる
どの分野でも働くということは、自分が五感を通じてインプットした情報から求められていることを抽出し、改善できることや切り捨てることなどを自分なりに評価していく作業が必須であります。
医療業界では、この評価する途中過程での作業を「アセスメント」と昔からよんでいます。おそらく、就職したら指導者なり先輩から、一日の行動計画などをきいてもらうときに、「で、あなたのアセスメントは?」と一度はきかれることでしょう。
新人時代をのりこえても、看護師として働いている間は、一生アセスメントする作業はし続けていかないといけないです。
おそらく、学生時代にその作業は嫌というほど、させられるかとは思いますがここでは、仕事をしながらいかに効率よくアセスメント作業を同時進行でやっていくかというヒントをお伝えしたいと思います。
1日のケアの流れをしっかりと考える
順番としては、一日のケアを日勤帯ではどのような流れでやっていくかということを朝に組み立ててやっていくこといなろうかと思います。
その間に、点滴をつないだり、リハビリメニューをこなしたり、食事の介助や服薬介助などなどが入ってきますよね。その途中途中でナースコールには出ないといけないし、電話がかかってきたらその対応もしないといけない。スタッフから、薬のダブルチェックを頼まれることもよくあるし、急にドクターから指示がでて、急きょ点滴の内容を変えないといけないこともあるし、病棟で働いている場合などは特に割り込み作業は非常に多いです。
以上のことからわかるように、看護師の仕事は基本的には途中で遮られてしまうことがよくあるため、一度に3つか4つくらいのことは平気で通常は、同時進行でやっています。
実習中は一人の担当患者さんにつきっきりで好きなだけケアできたし、記録も練って練って時間をかけて提出することができていた、少し前の学生時代とは大違いです。
就職したばかりの駆け出しのころは、目の前のことをこなすことで精いっぱいで、あまり先々のことを予測したり状況判断をすることまでは頭が回らないかと思います。覚えることがいっぱいありすぎて、それどころではないというのが実情であります。
でも、数カ月もすれば日常の業務(ルーチンワーク=通常ルーチンといわれたりしています)はだいたい体で覚えて、あんまり考えずとも無意識で動けるようになっていきます。慣れってすごいです。それとともに、頭の中に余裕が生まれて、アセスメントの作業の余力が生まれてきます。
記録が後回しになりがちだが、忘れてしまう
私の経験では、本当に駆け出しの時代は、記録はどうしてもすべての仕事の後回しになってしまって、夕方疲れ切った頭でPCに向かいながら、もともと賢くない頭を一所懸命動かしながら、
- 「痙攣をおこしたときのバイタルはどうだったかな~。そうだ、フローシートみかえしてみよう」
- 「なんで、あの患者さんは熱発したんだったっけ?そういえば、おしっこ濁っていて報告した気がする」
と、午前中の出来事などはるか昔のように感じながら遠い記憶を掘り起こしながら、記録していたものでした。
看護の仕事は記録ありきで考えてみよう
最初にカルテから情報をとるときに、ざっと患者さんの全体像をつかみとる作業をするのですが、朝病棟にきて、一日の記録をとるときに「何が一番この人にとってのイベントになりうるか」ということを念頭におきながら情報をとると、その後の記録をするときの時間がかなり短縮できます。
早く記録をすれば、早く帰ることができますから、その作業は普段からの習慣化としておくといいと思います。先輩たちの記録から、使えそうなフレーズをメモっておくのもよい方法だと思います。別にカンニングということではなく、その病院、その病棟の記録の独自の暗黙のルールというものが存在していて、そのようなことは、教科書などには絶対にのっていません。過去の先輩のカルテや、看護計画を見返していくと書き方の特徴というのがだんだんつかめてくるので、それらを参考にしながら自分の考えたことをもりこんでいくとよいかと思います。
これは、精神科の実習にいったときい指導教官からいわれたことですが、患者さんと関係性ができていくとだんだん、初回に感じた印象は変わっていくのが通常です。
これは、患者ー看護師という職業的な関係だけではなく、友人同士などどの関係においてもいえることかと思います。変わっていくことは特段悪いことではないのですが、なぜ初回の自分の感じた第一印象が覆されたのか、変遷していくことになったのかということを振り返る作業は、特に慢性期の患者さんとのかかわりにおいては定期的に行っていったほうがよいかと思います。
「ずーっと変わらない友情」という言葉の響きは美しいですが、「人間対人間の関係」は変化し続けていくものです。治療効果の全くでない患者さんや、いきなり好転した患者さんなど、その背景をさぐっていくと治療内容がさほど変わっていなくても「患者さん自身が水分制限を自ら考えてやっていた」「この薬をのまないと自己判断して捨てていた」など、影の行動が見えてきたりします。
今みている患者さんが真実だとは思わずに、自分も含めて変わっていく可能性のある人間同士のお付き合いだと考えて、関係性を構築していくと、仕事はぐっと楽しく、より深みがでてくるかと思います。
まとめ
朝、病棟にきたら情報収集を丹念にやりましょう。その時点で鍵となるキーワードを拾っておくとその後の時間短縮になります。
同時進行でやりつつ、「なぜだ?何がおこっているんだ?」と常に振り返る作業をしていきましょう。そのことがアセスメントの訓練になります。
最初にみた患者さんの印象をメモにとって覚えておくと、行動の変化の重要な裏とりになります。
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