出産、育児をきっかけに看護師を長く休まれている方で小児科へ転職を考えている方、今まで成人の経験しか無いが子どもが好きで小児科への転職を考えていらっしゃる方へ。小児科と言えばどんなイメージがありますか?子どもたちは可愛いく、明るいイメージでしょうか?病気で元気の無い子達へ治療や処置をすることも小児科ナースの仕事のひとつです。小児科ナースの仕事内容や処置時のちょっとした工夫を紹介したいと思います。
小児看護師になるために大切なことと工夫
私自身も、3年前に成人病棟から小児科の病棟がある病院へ転職をし、今は小児科病棟で働いています。小児科外来へもお手伝いで仕事に行くことがあるため、私の経験を踏まえて何かお役立ちする情報があればと思い書かせて頂きます。
小児科看護師の仕事
小児科では診察の介助はもちろんですが、バイタルサイン聴取や観察に加え、児の身の回りのケア( オムツ交換、清拭や沐浴、ミルクなどの哺乳介助 など )、遊びを取り入れて児の発達を促したり、ストレス発散をさせてあげることも大切です。
その中でも、採血などの処置の介助につくことが外来や病棟でも多いと思います。
学童期になると説明をすることで処置の際に協力的な児もいますが、乳児、幼児に関しては採血や処置への恐怖感が強く、安全且つ的確な処置をするためには、看護師の介助が重要になってくると思います。
処置の際に気をつけること
採血を例にあげると、児が落ち着いた状態で採血ができるよう母や家族が抱っこをしてもらった上で介助をすることもあります。しかし、やはり家族は激しく啼泣するわが子をみたら可哀想だと思いますし、児も家族も辛い思いをすることになります。
また、家族に採血時の固定をお願いするのは少し危険なこともあります。
子どもの力は思ったよりも強いので、途中で固定する手を緩めると、針でケガをしてしまうこともあり、固定介助する人はしっかりと腕や足を押さえなければなりません。そのため、状況に応じて一旦お子さんをお預かりし、看護師だけで介助することも必要な判断だと言えます。
固定する際のコツは、腕や足など採血する部分の大きな関節を2点保持で押さえます。
体全身を使って抵抗することも多く、先程述べたように事故の危険性もあるため、抑制帯やバスタオルなどを使い体幹を包んで採血箇所だけを出したりもします。この時に、採血箇所を固定する人が強く押さえすぎると、児の腕や足に内出血が残ってしまったり、血管が収縮してしまい採血がしにくくなってしまいます。
コツとしてはずっと強く押さえるのではなく、採血する瞬間にしっかりと固定するようにします。長く啼泣することでどんどん血管が収縮していきますので、血管が無い際は成人同様に温めることも必要です。
人形やおもちゃを使ってあやしたりもしますが、やはり注射は大人でも痛くて怖いことですので、必ずと言っていいほど子どもたちは激しく啼泣します。大切なことは短時間で終わらせる、という事だと思います。
必要物品をきちんと揃え、採血者である医師や看護師と介助者が協力して最短で処置ができるよう心がけます。そして採血がおわると、すぐに抱っこをして頑張った児を褒めます。家族に退室してもらっている時はすぐに家族に児を抱っこしてもらい、家族と一緒に沢山褒めるようにしています。
また、ここで大事なのが家族への説明になります。
家族も不安な思いの中、採血など処置が終わるのを待っています。子どもをお預かりしている時は特に何をされているのかが見えず家族の不安も強いものです。「〇〇ちゃん(くん)、とても頑張りましたよ?、1回で採血できましたよ。おつかれさまでした。」など、家族へも労いの言葉を忘れないようにしましょう。
啼泣する児への対応
上記で述べたようにこどもたちは病院では必ずと言っていい程泣いてしまうことがあります。泣くことはこどもにとっては意思表示になるので必要なことです。しかし、疾患によっては長く泣くことで酸素状態が悪くなる児もいます。
入院中の児であれば、SpO2の値をみればすぐに分かることかも知れませんが、SpO2モニターをつけていない場合がほとんどですので、処置中には児の顔色を気をつけてみることが大切です。
小児の場合は、成人とは違う点として呼吸性の心停止が多いと言われています。
全身の観察はもちろん必要ですが、特に呼吸の観察は重要で、急変する前の徴候に気づく重要な情報だと思います。顔色に加え、胸郭の上がり方はどうか、努力呼吸はないか、呼吸回数はどうか、そういった点をすぐに観察することが早期に異変に気づけるコツだと言えます。異常時や何かおかしいと思えばすぐに医師に報告します。
また、不快があることで啼泣しますので、何が原因で啼泣しているかを考えるように私はいつも心がけています。
- オムツが汚れていないかな
- お腹が減っているのかな
- お腹が張っていれば便が出なくて苦しいのかな
- 病気のこどもたちはきつくて泣いているのかも知れません。
抱っこで落ち着く子も多いため抱っこをすることも必要ですが、まずはその原因を考え、それを解決することで泣き止むことが多いです。
その点に関しては、お子さんがいる子育てをしてきた看護師さんは気づきが多く、ケアも丁寧でとても上手に対応されていると思います。子育てをした事がない看護師にとっては、他人の子を預かるということはとても不安が大きいと思いますが、私も自分の子のように大切にケアをする、ということを目標にいつも子どもたちと触れ合っています。
また、何人もの子育てをしてきたお母さんや家族たちは、子どものケア方法などもご自身の方法があったり、こだわりがある方もいますのでお母さんたちと相談しながらケアをすることが1番大切だと思います。
例えば、オムツ交換やおしりのふき方も、皆さんそれぞれ方法が違います。看護師としてケアの根拠を知った上で、お母さんたちの方法を取り入れるなど、柔軟性も必要だと思います。
また、子どもたちが安心して過ごせるように介助するコツとして、子どもたちのことを1番知っているご家族に情報収集を行うことです。抱っこも縦抱きが好きな子、横抱きが好きな子とそれぞれです。好きなアニメやキャラクターはなにかなど、そういった児が落ち着いて過ごすめに必要な情報を把握して活用していくことも大切だと思います。
まとめ
採血介助のことを主に書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?やはり処置時や病気の時は泣いている子ども達が多く、辛いことも多いですが、一緒に遊ぶことで見られる笑顔や元気になっていく姿はとてもやりがいを感じられます。小児科に興味のある看護師のみなさんにとって、少しでも小児科ナースの仕事のイメージができればいいなと思っています。
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