看護師が在宅で看取りを支える際のポイント(訪問看護)

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#646 2019/04/09UP
看護師が在宅で看取りを支える際のポイント(訪問看護)
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訪問看護をしていると、在宅で生活をつづけながら、何かあれば最後は病院にやっぱり行きたいという人と、最後まで自宅で過ごしたいという人に分かれます。今回は、そんな在宅での看取りを支えるということについてご紹介していきたいと思います。
 

訪問看護を行う上で避けれない在宅看取り

訪問看護をしていると、さまざまなところから訪問の依頼が来ます。病院の先生から直接電話がかかってくることもあります。病院のケースワーカーやケアマネからの依頼も少なくありません。時には患者の家族が直接電話をかけてくることもあります。そんな中には、在宅に帰りたいと思っているが、それほど寿命は長くないだろうと予測されて在宅に帰えることがあります。そんな時に私たちが必ず確認すること。それが、最後をどこで迎えたいかということなのです。選択は二つしかありません。病院か、自宅か。

できればみんなの希望をかなえてあげたいけれど、利用者を支える家族の意向もあります。最後に向けて話し合いをすることは簡単なことではありません。そこで今回は、どんなことに注意して在宅看取りを支えることができるかということについてご紹介していきたいと思います。

やはりなんといっても利用者の意思が一番大事

自分の人生なんだから、最後をどのように過ごし、どこで迎えたいかということは、結局本人の意思が一番大切です。最近ではAPC、アドバンスケアプランニングという言葉が注目を浴びています。これは、もしものことを考えてどのように最終段階を迎えるかという話し合いのプロセスのことです。そこには利用者本人の意思、家族、医療従事者などさまざまな人がかかわります。最近では人生会議という言葉が使われることも多くなってきました。

私たち訪問看護師は、利用者の意思を大切にしますが、時にその考えが不安定なこともあります。しかしそれは当然のこと。その意思決定支援を支えていくこと、アセスメントしていくことが重要だと思ってかかわっています。

病状の変化、環境の変化で考え方も変わる

私たちの考えは、根底にあるものは同じかもしれませんが、本当は揺れ動いていることも少なくありません。特に人生最後を迎えるにあたっての思いは、揺れ動くことも。例えば、始めは最後まで自宅で過ごしたいと思っていたけれど、あまりに痛みが強くなってきて薬のコントロールが必要になってきた。覚悟は決めていたけれど自分の症状が心配となり医師の助けをかりたいと思って病院にすがりたい気持ちも出てきたということはよくあります。
また最後までトイレなどに行きたかったけれど、体が思うように動かず、家族の介護力が増してしまった。介護をさせることが申し訳なく思い、動けなくなってきたら病院に戻りたいという人もいます。

私たちは何とか自宅で過ごすという目標をかなえるために、医師と協力して痛みのコントロールや環境整備、トイレなどの工夫も行いますが、やはり利用者の考えは揺れ動き、最後まで自宅で過ごすか迷う人もいるのです。

APCはいつでも何度でも!

意思決定支援を行うのは、基本的にいつでも何度でも行ってよいとされています。

一度話合って決めたから、それで終わりということではなく、利用者の意思も病状や環境の変化で揺れ動くこともあるため、いつでも何度でも行うのが一番なのですね。
私たちはその時々の思いを受け止め、利用者を支援していくことが求められます。

利用者のケアも必要だが、家族のケアも重要

利用者が最後まで自宅で過ごしたいと思っていても、それを支える家族が不安を抱えていることは少なくありません。本当に自宅で大丈夫か、また何かあったときには気が動転するので、やっぱり病院に行ってほしい、介護できるかどうか不安という声をよく聞きます。

私たちは訪問看護で、利用者のケアが終わった後に、家族と話をする機会もあります。そんな時には、家族としての思いを聞いてアセスメント、必要があれば一緒に解決する方法を考えます。もしも不安が強ければ、医師とコンタクトを取り、今後の相談をしてもらうこともあります。

在宅で過ごすということは、家族の支援がなくては難しいことなのです。

では、独居で最終的に在宅で亡くなる方はいるのでしょうか。在宅を専門とする医師でもほとんど経験したことはないと聞いたことがあります。地域の人や行政、訪問看護、医師がどんなにかかわっていても、やはり独居で最後まで自宅で過ごすということは難しく、やはり家族の協力が不可欠なのです。

病院から帰りたいと思ったときが帰り時!

病院に入院していたけれど、やっぱり最後は自宅でと思い退院を決意する人もいます。利用者とその家族、病院のケースワーカーやケアマネが調整し、退院調整会議を開き、訪問看護師や医師などと話し合い、在宅へ帰る調整をします。

私たちの経験からすると、利用者が自宅に帰りたいと思った時には、すぐ帰るほうが希望をかなえられると思っています。利用者の疾患はさまざま。特に末期がんの人には時間がありません。退院調整会議をして退院を控えていても、その間に病院になくなるケースもあります。早い時には、退院調整会議の翌日になくなってしまうことも。それほど残された時間が短いときがあるのですね。

もしも慢性的な疾患で在宅での残された時間がまだまだ長いと予測される場合はいいでしょう。しかし疾患や状態によっては、時間がない場合があるのです。そんなときには、退院調整会議の時にすぐにアセスメントをして、在宅でするべきことは何かを考え、環境を整え、すぐにでも自宅に帰ることができるように準備することが重要なのです。

病院から帰りたいと希望されたときには、すぐに帰るという気持ちをかため、みんなが話をすすめていくほうが利用者の希望を叶えることができるのです。

まとめ

訪問看護で一番難しいことは、やはり在宅での看取りを支えることだと思います。利用者の人生の最後を迎えるにあたっては、アドバンスケアプランニング、人生会議が一つのポイントになります。決して訪問看護師だけでサポートできることではありません。しかししっかりアセスメントをしてかかわること、最後まで利用者に寄り添うことが訪問看護師としての重要な役割だと思っています。

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