看護師で就職し希望の配属部署選びに悩んでおられる方へ。
新卒でICU配属。以降病棟や手術室、外来と経験した私の感じた手術室の魅力をお伝えします。
手術室看護って大変なの?
手術室看護というと、『難しそう』『勉強が大変そう』『患者さんとあまり関わりを持てず自分のやりたい看護のカタチではない』などの思いを持っておられる方も多いのではないでしょうか?
実際に、勉強という点に関しては手術室特有の勉強は必要です。器械名や滅菌の知識等が挙げられますが、これらは単純に"覚えるだけ"のものであり、心電図など"読解"を必要とするものではないため難しいことではないです。特に、看護学校や専門学校ではなく大学の医学部内だと勉学に費やす比重が重く、手技や技術的な面に不安を持った方には手術室看護は現場で一から学ぶことも多く、スタートが同じなので他の同期と比べてコンプレックスになる心配がありません。また手術室特有といえるのが、手術中は常に"医師が傍にいる"ことです。病棟などでは医師がいない場合に急変があった際に医師が駆け付けるまでの対応等の不安がなく、手術室での急変時にはすぐに医師の指示のもと動けるため安心です。
全身麻酔等、患者さんが眠っていることが多く患者さんとあまり深く関わりが持てず、看護をしている気になれない?
そんなことはありません。
10対1看護配置(入院患者10人に対して、 常時看護師1人以上を配置すること)から7対1看護配置が叫ばれる中、手術室での看護は1対1。
看護師不足の中、転職や求人を募集しても中々看護師として仕事を続けられない面もありますが、手術室の看護は少し世界が異なって感じられると思います。手術中はもとより、術前術後を通じてその患者さんただ一人のために看護ができます。手術室看護は直接看護と間接看護に分けられ、直接看護は器械出しと呼ばれ、執刀医の補助として手術が円滑に、執刀医がストレスなく動けるようにサポートします。同じ手術内容でも各医師によって好みの器械や手術スピード、術式まで異なり、そういった意味では患者さんの個別性とともに医師の個別性にも合わせる必要があります。
間接看護は外回りと呼ばれ、患者さんの手術室までの搬入、術中のバイタルや薬剤調整、室内環境などトータルで観察し、医療スタッフの中でも何より患者さんに関わる立場です。手術にあたって緊張と不安でいっぱいの患者さんをいかにしてその患者さん個々に合った看護で安心させられるか。手術前に事前に患者さんを訪問し、術前看護を行います。ここで得られた情報を器械出し看護師や医師に伝達し、より個別性のある看護、医療を提供できるように組み立てます。つまり最も患者さんに接する役目を担います。
手術室に入り、手術台に横になると目に入る手術灯の灯り。これを目にすると急に不安に襲われる患者さんも少なくなく、手を握ってほしいと患者さん側から頼まれることも多く、また、患者さんからは申し出る勇気がなくこちらから察して手を握ってあげると安心して顔を緩ませて下さる患者さんがほとんどです。「あなたが傍にいてくれるなら…」と仰りながら麻酔で眠っていかれる患者さんと接する時には、看護を心から実感できると思います。
実際の手術室の経験から思うこと
私は新卒ではICUへ配属され、手術室へは異動として経験しました。私以外にも中途採用で手術室へ配属される看護師も見てきましたが、やはり新卒で配属された看護師たちは、ひとつの新卒グループとしてまとまって学習する機会をしっかりと与えられます。異動や中途採用ではこういったしっかりとした時間は与えられません。新卒ならではの特別な境遇は、手術室での特殊な勉強を始める上で非常にありがたいことだと思います。新卒時にはたいてい、どこの病院でもメンターやチューターなど指導者が付くと思いますが、器械出し中は隣にそういったチューターがマンツーマン体制で付き、同じ目線に立って指導を受けられます。
外回りも、もちろん先輩看護師が付いてくれますが、外回り看護師も医師と同じく各個人でやりやすい動線確保の仕方や物品配置等異なり、独り立ちするまでは各先輩のやり方に合わせて覚える必要があったりと、人間関係の面では複雑でもあります。
私は新卒でICUに配属で、ICUでは医師が傍にいないにも関わらず患者さんの重症度は高く、看護師に求められる観察眼や技術や知識のレベルが高く、新卒として学ぶにはあまりにも周りの環境としても厳しいものがあると感じました。その点、手術室は学ぶ上では非常に恵まれた環境にあると思います。解剖学的にも実際に解剖された状態で臓器の位置関係や神経の配置、出血量インアウトや、シャントの作る段階を見て学ぶことができたり、薬剤の調合機会も多く、一般病棟では医師しか扱っているのを見ない薬剤等も扱います。
手術室看護はテレビドラマでも引っ張りだこ。次から次に新しいドラマやドキュメンタリー番組が放送されては人気のジャンルです。器械出しは特にそれを自分自身が味わうことができます。ドラマでよく見る「メス」と執刀医に言われるシーンは現場ではまずありません。ドラマではなくて現場にはある。ドラマにはあっても現場にはない。それがほぼ大半を占めます。それは現場に来て見て体験してみて初めてわかります。是非手術室看護をキャリアの中でも経験してみてはいかがでしょうか。
知識を得ることの楽しみが手術看護にはある
知識としては覚えることが非常に多いのは事実なので、その点ではやはり手術看護を経験するのなら新卒で学ぶことを強くオススメいたします!私は異動としての配属で、新卒の子たちとの待遇がまったく異なり、ひとつのことを学ぶのにも本当に大変でした。それでも手術看護自体は魅力に溢れており、私も新卒では手術室配属だったらどれだけ良かったかと、異動経験から振り返っても、そう強く感じました。
自分の勤めていた大手の病院以外に、小さな病院でひとつの診療科…例えば整形手術のみに特化した手術室の雰囲気はどんなものか気になった私は当時、手術室看護師を募集している求人転職サイトに登録し、実際に現場を訪問させてもらい、その雰囲気を感じて来た経験もあります。
ナース服へのこだわりから、あらゆる手術につける看護師でなくともひとつの科だけを極めることも素晴らしいことだという認識まで沢山のことを転職サイトでも経験することができますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?新卒で入る手術室の強みと魅力が少しでも皆さんに伝われば幸いです。是非、希望の配属先選びの際に参考にしてみて下さい。
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